コロナ 在宅で酸素吸入行う「酸素濃縮装置」確保の自治体増

新型コロナウイルスに感染し自宅で療養する人が増える中、在宅で酸素吸入を行う「酸素濃縮装置」を確保する自治体が増えていて、装置の製造会社は増産を行って対応しています。

「酸素濃縮装置」は、周辺の空気を取り込んで酸素を濃縮し患者が鼻や口からチューブで吸入するもので、医師の処方の下で在宅で使用されます。

この装置を製造する医療機器メーカーによりますと、新型コロナウイルスの感染拡大で自宅で療養する人が増える中、急に症状が悪化し在宅での酸素吸入が必要になる事態に備えて、装置を確保する自治体が増えているということです。

このメーカーのグループ会社の工場では、ことしの春ごろから1日の製造量をおよそ40%増やして対応しています。

これまでにおよそ500台を各地の自治体にリースで提供しているということで、この日は、東京都に提供するおよそ30台を配送する準備が進められていました。

医療機器メーカーの医療事業部長、小林靖司さんは「感染拡大に伴って問い合わせが増えていて、増産を続けている。自宅療養中の患者さんへの対応をサポートしていきたい」と話していました。

増える自宅療養者「症状悪化した場合の備えに必要」

新型コロナウイルスの感染が急拡大し、自宅で療養する人が増える中、医師の往診を行う会社には、自宅療養者の症状が悪化した場合に備え、東京都から酸素濃縮装置30台が貸与されました。

首都圏を中心に複数の医療機関と連携して夜間や休日に医師の往診を行っている会社では、東京都の委託を受けて、登録している医師が新型コロナに感染した自宅療養者を訪問して診療も行っています。

感染の急拡大で自宅療養者が増加する中、この会社に都から酸素濃縮装置が貸与されることになり、新宿区にある事務所に30台が運び込まれました。

この装置は、肺炎などの症状が悪化した場合に、医師の指示の下、自宅で利用できる医療用機器で、装置を起動させると周辺の空気から酸素を濃縮し、チューブで投与することができます。

第4波のとき、大阪では、入院調整が難航して自宅療養を余儀なくされた高齢の患者を中心に、この装置が必要になったケースが相次いだということです。
ファストドクターの菊池亮医師は「第4波の大阪では、かなり多くの患者が入院できずに自宅に取り残されたので、そのときに酸素濃縮装置を多く使いました。これだけの勢いで感染者数が増えてくるのは、これまでにないことで、今後、東京で同じようなことが起きるのではないかと、すごく不安に感じています」と話しました。

そのうえで「本当は入院してもらうのが安心ですが、最悪の場合に備えて、こうした準備をしていくことも必要だと思っています。ワクチンを接種した人についてはリスクは下がりますが、若い人が重症化しないかというと、そんなことはありませんので、そこについては認識を改めて、いま一度、危機感を持って行動していくことが大事だと思います」と話していました。