オリンピック サッカー男子準決勝へ 守備陣の奮闘で苦戦制す

東京オリンピック、サッカー男子の日本代表は準々決勝でニュージーランドにペナルティーキック戦の末、勝って準決勝進出を果たしました。守備陣の奮闘で苦しいゲームを制した日本。優勝候補のスペインが相手となる次の準決勝では攻撃陣が仕事をする番だと誓っています。

キャプテンの吉田麻也選手は準々決勝のあと、ことばをしぼり出すように言いました。

「厳しいゲームだった。後ろがよく耐えたなと思う」。

この試合、攻撃陣は21本のシュートを打ちながらニュージーランドの堅い守備を崩しきれず120分間得点を奪えない苦しい展開でした。それでも守備陣はセンターバックの吉田選手と冨安健洋選手を中心に、イングランドプレミアリーグで活躍するストライカーのクリス・ウッド選手に決定的な仕事をさせませんでした。
その他の選手が絡んだピンチも体を張ってしのぎ、120分間を無失点に抑えて、試合はペナルティーキック戦へと持ち込まれました。
そのペナルティーキック戦を森保一監督が任せたのは、みずから「蹴りたい」と立候補した選手たちでした。

1人目に志願したのは、後半から途中出場したフォワードの上田綺世選手。
決定的なシュートもありましたが、得点を奪うことはできず「この状況を作ってしまったのは僕の責任。最初に蹴ってチームを勢いづけたい」という思いでした。観客のいないスタジアムが緊張感に包まれる中、上田選手はゴールキーパーの動きを見て冷静に決めました。
その直後に魅せたのが、ゴールキーパーの谷晃生選手。
川口能活コーチから「自信を持ってやれば絶対に止められる。ヒーローになってこい」と送り出されたと言い、相手の2人目をコースを読み切って止めました。
このセーブが日本の勝利を呼び込み、谷選手は「ようやく自分がチームの役に立てる場面が来たと思った。やってやったぞという気持ちだった」と笑顔で振り返りました。
最後に、みずからもペナルティーキックを蹴って勝利を決めた吉田選手も「攻撃陣がたくさん点を取れるときもあれば守備陣がうまくしのげるときもある。そこは持ちつ持たれつだから。こういう苦しいゲームを勝っていくのはチームが成長するうえで大事なこと」と充実感をにじませました。

いよいよ準決勝は優勝候補のスペインが相手です。守備陣の奮闘で苦しいゲームを制した日本。こんどは攻撃陣が仕事をする番だと誓っています。
堂安律選手
「この試合は本当にディフェンス陣に助けられた。次はオフェンス陣が助けてあげられるような活躍をしたい」

上田選手「もっと厳しいゲームになると思うので次は僕自身がゴールを決められるようにいい準備をして次を迎えたい」と話していました。
この試合のペナルティーキック戦で日本の1人目として成功させたフォワードの上田綺世選手。試合直後のインタビューでまず出てきたのはストライカーとしての反省の弁でした。

「こういう状況を作ってしまったのは僕の責任。(ゴールを)決め切れなかったのが悔しい」

東京オリンピック世代のチームで最多のゴールを挙げている上田選手はこの試合、後半24分から途中出場。終盤に決定的なチャンスが訪れました。
しかしシュートはゴールキーパーに止められ、30分間の延長戦でも得点を奪うことはできませんでした。

迎えたペナルティーキック戦。森保監督が蹴りたい選手を立候補させると上田選手はすぐに手を挙げました。森保監督は2017年に東京オリンピック世代のチームが初出場した国際大会のことが頭をよぎっていたといいます。このとき、上田選手はペナルティーキック戦で外していましチームは敗れていました。それでも森保監督は「勇気を持って名乗りを上げてくれた」と上田選手の心意気を買いました。

J1の鹿島アントラーズに所属する上田選手にとってカシマスタジアムは慣れ親しんだ場所です。しかし、観客のいない中でのペナルティーキック戦。独特の緊張感に包まれる中、上田選手は蹴る前に、ボールを顔に近づけて願いを込めました。
そしてゴールキーパーの動きを見て冷静にキック。ボールがゴール右隅のネットを揺らすと小さくガッツポーズし、少しだけ表情を緩ませました。
上田選手が成功させた直後、ゴールキーパーの谷晃生選手は相手の2人目を、コースを読み切って止めました。上田選手が作った流れが日本に勝利を呼び込んだのです。

森保監督は「俺が決めてやるという思いで先陣を切って決めてくれたのはすばらしかった」とたたえました。

こんどは得点でチームを助ける。淡々と語る上だ選手のことばの中には東京オリンピック世代のエースストライカーとしての決意がにじんでいました。

「あくまで目標は金メダル。次はこの試合以上に厳しいゲームになると思う。次は僕が決められるようにいい準備をしながら迎えたい」