オリンピック 陸上男子100m 日本 3人予選敗退に衝撃走る

東京オリンピック、陸上男子100m。日本選手89年ぶりの決勝進出=ファイナリスト。そんな夢は、あっけなく破られました。かつてない激戦となった代表選考レースの日本選手権から1か月。男子100mの代表切符を勝ち取った3人の「予選敗退」に衝撃が走りました。

ハイレベルだった予選通過ライン

山縣、多田、小池の3選手が予選敗退した男子100m予選。準決勝に進むためにはどのくらいのタイムが必要だったのでしょうか。

タイムに関係なく各組の3着に入れば自動的に準決勝に進出できます。問題はタイムで拾われる4着以下の場合です。今回、タイムで拾われたのは3人。それぞれのタイムは10秒05、10秒10、そして10秒12でした。

一方、おととしの世界選手権の準決勝を振り返ると、10秒11のタイムでも決勝に進めていました。つまり、今大会の「予選通過」ラインはおととしの世界選手権の「決勝進出」ラインとほぼ同じレベルだったことがわかります。

山縣の誤算

日本選手トップの10秒15でフィニッシュした山縣選手は、結果的に予選通過に0秒03及びませんでした。
インタビューに応じたのは次の4組が走るころで、まだ敗退が決まる前。
「これではまだまだ勝負にならない。何かしらの修正を加えて準決勝にいったらもっといいレースをしないといけない」と準決勝進出を諦めていませんでした。

しかし、5組の選手の結果で予選敗退が決定。過去2回のオリンピックではいずれも自己ベストをマークし、準決勝に進んだ勝負強さから「オリンピック男」と言われてきましたが、今回は100分の3秒に泣きました。

山縣選手が走りの課題に挙げたのはスタート。「もうちょっと楽に飛び出せば自分のレースが作れたと思う。ちょっと力みました」と話し、大舞台独特の雰囲気の中、最大の持ち味を発揮できなかったことが予選敗退の最大の要因と自己分析しました。

多田 力みがあった初の大舞台

みずからの持ち味を十分発揮できなかったのは多田選手も同じでした。多田選手の持ち味も「スタート」。その爆発的なスタートは世界のトップ選手を驚かせてきました。
レースを振り返って悔やんだのも、またスタートでした。
「隣の選手に前に出られてそこで力んでしまった」
スタートの反応時間こそこの組のトップでしたが、自己ベストが自分より速い選手がずらりと並ぶ中で、力みと緊張から本来の走りは影を潜めました。先頭に立ってそのまま逃げきる「勝ちパターン」に持ち込むことができず、「自分のレースを貫くのは難しい」と悔しさを隠しませんでした。
初の大舞台はほろ苦い経験だけが残りました。

小池 後半の追い上げ見られず

多田選手と同じ10秒22のタイムだった小池選手の持ち味は対照的にレースの後半です。この後半の走りについてレース後、「想定どおり伸ばせていけたと思う」と話しましたが、前にいる選手をまくるようないつもの追い上げを見ることはできませんでした。
「調子はある程度整えてこられたが、これが今の実力。今できることはしっかりやった」
淡々と話した一方で、予選で敗退した原因を尋ねると「どうでしょう、わからないですね」とまだ整理がついていない様子でした。

リレー 金メダルへ立て直しが急務

男子100m予選から見えたのは、世界のレベルが想像以上に高かったこと。そして、それぞれの持ち味を発揮しきれなかった日本勢の3人の姿でした。

この3人は金メダルを目指す400mリレーで主力を担うことが期待されています。

リレーの決勝は6日後の8月6日。洗練されたバトンパスに一人一人の走力向上を課題にしてきたリオデジャネイロからの5年間をここで結実させるために、それぞれの走りの課題をいま一度見直すことが急務となります。