オリンピック “3人”でつかみ取った銅メダル バドミントン

東京オリンピック、30日に行われたバドミントンの混合ダブルスで銅メダルを獲得した渡辺勇大選手と東野有紗選手。試合直後のインタビューで、パートナーよりも先に感謝の気持ちを表したのは、渡辺選手が男子ダブルスでペアを組み、前日の試合で敗退していた遠藤大由選手でした。

渡辺選手「遠藤さんも合わせて3人でゲームができた」
東野選手「3人で頑張ってきたので3人で取ったメダルだと思う」

ことしで35歳になる遠藤選手は、前回のリオデジャネイロ大会でも同じ種目に出場し、ベスト8まで勝ち進んだベテランです。大会終了後に当時のパートナーが引退したことで、「1度は気持ちが折れた」と引き際が頭をよぎったといいます。

そんな時、遠藤選手に「ペアを組んでくれませんか」と声をかけたのが、同じチームに加入したばかりの渡辺選手でした。渡辺選手と遠藤選手の年の差は「11」。異例の年齢差でしたが、渡辺選手とともに東京オリンピックを目指すことに決めました。

東野選手も含めた3人は都内に拠点を置く同じチームに所属する仲間です。若手の2人にとって兄貴分である遠藤選手は、チーム練習などでシャトル打ちの練習相手を買って出るなど、先輩として、代表の仲間としていつも2人をそばで支えてきました。

ベテランに引っ張られる形で、渡辺選手は、ペア結成当初からバドミントン日本一を決める全日本総合選手権で準優勝を果たすなど活躍し、目標としてきた東京オリンピックにこの種目で日本歴代最高の世界ランキング4位として臨むことになったのです。

渡辺選手は、もう1つの種目、混合ダブルスでも東野選手とともに出場し、いわば“二刀流”での挑戦となりました。
このとき3人で誓ったのが「3人でメダルを取る」ことでした。

大会に入ると渡辺選手は、ほかの選手の倍の試合数をこなさなければならず、ぎりぎりの体力で戦っていました。本来であればペアで戦略を練ったり一緒に練習をしたりしたい場面でも、渡辺選手がいないことはしばしばありました。
それでも、遠藤選手は状況を理解して渡辺選手の背中を押し続けました。
迎えた29日の男子ダブルスの準々決勝。
世界3位の台湾のペアとの対戦は接戦となりましたが、最後は相手に押されストレート負けとなり、遠藤選手の東京オリンピックは終わりました。

試合直後には、それまでクールな表情で取材に応じていた渡辺選手が遠藤選手の隣で大粒の涙を見せるなど、先輩と約束したメダルに届かなかった悔しさは相当なものでした。

この試合のあと、渡辺選手は遠藤選手から「3人の夢であるメダルを取ってほしい」と果たせなかったオリンピックのメダル獲得という夢を託されました。
日本選手の多くが実力を発揮できずに敗退していく中で、渡辺選手は30日の混合ダブルスの3位決定戦で気持ちのこもったプレーを連発しました。

今大会10試合目で疲れがたまっているのは明らかでしたが、最後までコート上で躍動し続けました。

思いはペアを組む東野選手も一緒でした。3人で誓い合った約束を果たそう。
そのことばを胸に最後までシャトルを追い続けた渡辺選手と東野選手のペアは見事に最後のポイントを奪い取りました。

今大会、日本唯一となったメダルは3人でつかみ取ったメダルでした。