オリンピック 岩渕真奈 なでしこのエースが背負ってきたもの

東京オリンピック、サッカー女子の日本は30日の準々決勝でスウェーデンに1対3で敗れ、2大会ぶりのメダル獲得はなりませんでした。「なでしこジャパン」のエース、岩渕真奈選手は多くのものを背負って今大会に臨みました。

“栄光”と“どん底”

2011年、ワールドカップドイツ大会の優勝のメンバーでもある岩渕選手。
一転して2016年のリオデジャネイロオリンピックは出場を逃しました。

「女子のサッカーはどうなっちゃうんだろうと。次は(東京オリンピック)は自分が頑張らなきゃと強く思った」

この5年間、誰よりも危機感を感じながら東京大会に向けて走り続けてきました。

エースとして、10番として

エースとしてチームを引っ張る責任も進んで背負いました。
その覚悟が認められ、高倉麻子監督からは今大会、背番号10を託されました。
澤穂希さんや宮間あやさんなど、これまで「なでしこジャパン」をけん引してきた選手がつけてきた背番号です。
岩渕選手
「自分もどこかで背負いたいなという気持ちは長年持ってきた番号なので素直にうれしい。本当にチームを勝たせなきゃいけない存在になったというか、今まで以上にいろいろな覚悟だったり責任を感じる」

笑顔で話しながらも、その顔には東京大会への強い思いがうかがえました。

右膝の不安

一方で、選手として悩まされてきたのが右ひざの状態です。
これまでに2回手術を受け、「世界一」とも称されるドリブルも、ひざに負担がかかりすぎてしまいイメージする動きに体がついていかないことがありました。

不安を抱えながらも東京オリンピックに向けてトレーナーに負担のかからない練習方法を学ぶなど、これまでにないチャレンジを続け、備えを怠ることはありませんでした。

“やれることはやった”

ところが、大会本番は苦戦を強いられ続けました。
予選リーグ2試合を終えて1敗1引き分け。
崖っぷちに追い込まれて臨んだ27日のチリとの第3戦も厳しい展開が続きました。

攻め込みながら「1点」が遠いもどかしい状態。それでも後半32分に決勝点をアシストし今大会初勝利。チームを準々決勝に導きました。
試合後、いつも気丈な岩渕選手が見せた涙が、ここまで背負ってきたものの大きさを感じさせました。

「正直、今まで感じたことがないプレッシャーもあったけど勝ってよかった。ここで終わるわけにもいかなかったし、本当に不安もたくさんありましたけど、みんなの力で勝ててよかった」

しかし30日の、準々決勝でチームはスウェーデンに敗れ東京オリンピックでの戦いは終わりました。
「ここで勝つことを目標に自分は行動してきた。本当に勝ちたいという気持ちだけで4試合頑張れた。難しい大会だったけど、やれることはやった自分がやってきたことは間違ってなかったというか、通用する部分もあった」

身長1メートル56センチの小さな両肩に誰よりも重い覚悟と責任を背負って臨んだ東京オリンピック。2大会ぶりのメダルには届きませんでしたが、28歳のエースは「次の大きい大会に向かって各個人がしっかり自覚を持ってレベルアップできるようにまた頑張りたい」と、悔しさを押し殺してまた歩み出そうとしています。