オリンピック 陸上 廣中璃梨佳 大舞台で前に出る走り貫く

東京オリンピック、陸上、女子5000メートル予選の1組で、廣中璃梨佳選手が14分55秒87の自己ベストのタイムを記録して9着となり、着順で決勝に進出できる上位5着には届かなかったもののタイムで上位5人に入ったため、決勝に進出しました。

大舞台でも彼女は先頭に飛び出しました。
廣中璃梨佳選手、20歳。女子5000メートルで自己ベストを更新する14分55秒87という日本歴代3位の好タイムをマークし、日本選手唯一の決勝進出を決めました。

ちょうど日の暮れた午後7時のスタートライン。廣中選手は、いつものように帽子をかぶってレースに臨みました。帽子は廣中選手のトレードマークで、試合でも練習でもほとんどの場面で帽子をかぶって走ります。中学から勝負に勝ってきた験担ぎの面もありますが、大きな理由がつばで視界を狭くして「自分の走り」に集中することです。廣中選手の強さの秘密ともいえるものなのです。

この日も帽子をかぶってレースに出場した廣中選手は、ほかの選手に惑わされないようにと先頭に立って集団を引っ張りました。前に出るレース運びは廣中選手の信条で「ここまで来たらやってきたことを信じて、最初から思いっきり走ろう」と覚悟を決めて果敢に攻めました。

持ちタイムを大きく上回る選手たちを相手に3000メートルまで先頭を走る姿は、ほかの選手に前を走られたくないという国内のレースをほうふつとさせるものでした。強力なライバルが相手でも自分の走りを貫き通したいたいという廣中選手の思いの表れのように感じました。

この裏には廣中選手にとって苦い教訓がありました。それが東京オリンピックの5000メートルの代表をかけて行われた去年12月の日本選手権です。同世代のライバル、田中希実選手と廣中選手の勝ったほう、どちらか1人が出場権を得る大一番で、後ろの田中選手を気にしすぎた廣中選手は得意のロングスパートをかけられず、逆に田中選手の武器のラストスパートに屈しました。

わずか1秒46差の敗戦で、その後は思うような走りができない日が続き、目標すら見失うこともあったと言います。そこで「粘り強い走り」という自分の強みを見つめ直し、春からはスタミナづくりの一環として10000メートルに挑戦する形で再スタートを切りました。

この挑戦は廣中選手の可能性をさらに広げました。日本選手権では10000メートルと5000メートルをいずれも制し、2つの種目でオリンピックの代表をつかみとったのです。

そして30日のレースで象徴的だったのは、スタート前の笑顔。そこには「前だけを見て走る」という、大舞台でも変わらないいつもの彼女の姿がありました。

8月2日の決勝では、さらなる高みを目指して走ります。