5歳園児送迎バス内で死亡 死因は熱中症 業務上過失致死疑いも

29日、福岡県中間市の保育園の送迎バスの車内で見つかり、死亡した5歳の園児の死因が熱中症であることが警察への取材で分かりました。警察は業務上過失致死の疑いもあるとみて、バスを運転していた40代の園長から話を聞くなどして当時の状況を調べることにしています。

29日夕方、福岡県中間市にある「双葉保育園」で、倉掛冬生くん(5)が登園の際に使われた送迎バスの中で倒れているのが見つかり、死亡しました。

保育園にバスが到着してから車内で見つかるまでおよそ9時間車内に取り残されていたとみられ、死因は熱中症であることが警察への取材で分かりました。

警察によりますと、バスは40代の女性の園長が運転し、ほかに同乗した職員などはいませんでしたが、保育園に到着して園児を降ろす際には別の職員1人が手伝ったということです。

警察に対し、園長は「園児は保育園で降りたと思っていたが確認はしていない。バスには鍵をかけた」と話しているということです。

警察は、バスから園児を降ろす際の確認が不十分だった可能性があり、業務上過失致死の疑いもあるとみて、園長から話を聞くなどして当時の状況を調べることにしています。

死亡園児の母親「息子を返して」

亡くなった倉掛冬生くんの母親が30日午後、取材に応じ、冬生くんについて「カレーライスがいちばん好きだと言ってよく『作ってほしい』と言っていました。水族館にも行く予定を立てていました」と話しました。

そのうえで「私にとってはすごくかわいい子でいるだけで私は幸せでした。いつも笑顔を見るだけで幸せで、その笑顔を見ることができなくなるなんて許せません。冬生に帰ってきてほしい。冬生を返してほしい」と涙をにじませながら話していました。

園児死亡受け福岡県が安全確認徹底を通知

福岡県中間市の保育園で5歳の園児が送迎バスの車内で倒れているのが見つかり死亡したことを受け、福岡県は市町村を通じ県内すべての保育施設に対し園児の安全確認を徹底するよう通知を出しました。

福岡県子育て支援課が県内の保育園や認定こども園など合わせて2300余りの保育施設に対して出した通知では、園児が送迎バスなどを使って登園や降園をする際に園児の人数や状況の確認を徹底することや、各保育施設で作成している事故防止のマニュアルを再度見直し、必要に応じて修正することなどを求めています。

一方、県によりますと、保育施設の安全管理について定めている国の指針には、施設内外の安全点検に努めることや安全対策のための体制づくりを図ることなどは記載されていますが、送迎についての具体的な記載は無いということです。

この指針をもとに各保育施設が作成しているマニュアルにも盛り込まれていないことが多いということで、県が行う監査の対象にならず指導も難しいのが現状だということです。

園児放置死のケースは過去にも

保育園の送迎バスなどで園児が放置され死亡したケースは福岡県で相次いで起きています。

平成19年7月には北九州市小倉北区の保育園で、2歳の園児が遠足から戻ったあと炎天下の車内に4時間近く放置され、熱中症で死亡しました。

園児全員が車から降りたかどうかなどの確認を怠ったとして、保育園の元従業員らが業務上過失致死の罪に問われ、有罪判決が確定しました。

さらに去年8月には、久留米市で2歳の男の子が保育園の送迎バスの車内に保育士が気付くまでのおよそ8分間、放置されました。

送迎バスは市が事業者に委託して運行していて、保育士が園児の乗り降りの確認を怠っていたということです。

久留米市は「一歩間違えば命に関わる事故だ」として事業者に再発防止の徹底を指導しました。