オリンピック 柔道女子 素根輝が金メダル 78キロ超級

東京オリンピック柔道女子78キロを超えるクラスで、初出場の素根輝選手が金メダルを獲得しました。この階級での日本の金メダルは、2004年のアテネ大会以来、4大会ぶりです。

オリンピック初出場の素根選手は初戦の2回戦から準決勝までの3試合をすべて一本勝ちし抜群の安定感で勝ち上がりました。

決勝は前回のリオデジャネイロ大会の銀メダリスト、キューバのイダリス・オルティス選手と対戦しました。

試合はともに決め手を欠く中、延長戦にもつれ込みました。

延長戦に入って素根選手が足技や投げ技などで終始、攻め続けたのに対して、オルティス選手はなかなか技が出なくなり、3つ目の指導が与えられました。

素根選手は相手の反則負けにより勝って金メダルを獲得しました。

素根選手は畳を降りたあと、コーチと抱き合いながら涙を流して喜びをわかち合っていました。

この階級での金メダルは、日本女子のコーチを務める※塚田真希さんが2004年のアテネ大会で獲得して以来、4大会ぶりです。

この結果、今大会、日本の柔道の金メダルは9個となり、2004年のアテネ大会の8個を上回って最多になりました。

女子78キロを超えるクラスは▼銀メダルがキューバのイダリス・オルティス選手、▼銅メダルがアゼルバイジャンのイリーナ・キンゼルスカ選手とフランスのロマンヌ・ディコ選手となりました。

素根輝「先に攻めて 絶対負けない気持ち」

素根選手は「コロナ禍の中でオリンピックが開催されて、感謝の気持ちでいっぱいだ。この大会のために練習を頑張ってきたので、それが出せてよかった」と涙ながらに話しました。

決勝については「とにかく先に攻めて、絶対負けないという気持ちだった」と振り返りました。

表彰式に臨んだ素根輝選手は、落ち着いた表情で深く一礼して表彰台に上がり、金メダルを手にとって確認してから自分で首にかけていました。表彰式のあとインタビューに応じた素根選手は「決勝から時間がたったが今でも信じられない。表彰台の1番上に立ってすごくうれしい」と笑顔を見せました。これで、今大会の日本柔道の金メダルが9個となり、これまでで最も多くなったことについては「うれしいです。ほかの選手が頑張っていたので自分も続かないといけないと思っていた。金メダルを目標に必死に頑張ってきた。本当に取ることができてよかった」と心境を話していました。

圧倒的な稽古量で急成長 「人の3倍は努力する」

21歳、初出場の素根選手。
体格に勝る海外の強豪を次々と破り、ジュニアの世界大会を制してから4年で、一気にオリンピックの金メダリストに上り詰めました。

素根選手は、柔道を始めたばかりの小学校低学年のころ、すでに「オリンピックで金メダルを取りたい」と自然に思うようになっていたと言います。
地元、福岡県久留米市の高校2年生だった2017年の世界ジュニア選手権で優勝し、オリンピックが現実の目標として描けるようになりました。

ここからの成長速度は、周囲の期待をはるかに上回るものでした。
当時、女子最重量級の第一人者だった朝比奈沙羅選手に5連勝、初めて出場したおととしの世界選手権では、オリンピックの金メダリストを倒して金メダルを獲得。続く国際大会でも優勝し、柔道の日本選手で最も早くオリンピック代表の座をつかみました。

急成長を支えたのは圧倒的な稽古量です。「人の3倍は努力する」と言い、多い日には1回4分の乱取りを30本以上も繰り返しました。
身長1メートル60センチ余りの素根選手は、この階級では小柄で、体格で勝る海外選手との対戦を意識して稽古相手はほとんどが男子選手でした。

常に意識して取り組んできたのは、相手の襟をつかむ「釣り手」を上げ続けることです。釣り手を下げ、上背で勝る相手に上から圧力をかけられると、技を出すことができなくなるためです。

自分よりも背の高い相手に対し、「釣り手」を高く保ち続けることはつらく苦しい体勢ですが、素根選手はこの体勢を試合で貫くことについて「もちろんきついが、ずっとそれを続けられるのは日頃の練習の力。練習は裏切らないと信じている」と話しています。

釣り手を上げ続けて相手の圧力を封じてしのぎ、隙をついて懐に潜り込んで技をかけるのが自分の柔道という素根選手。「自分のペースに持ち込めれば負けないのかなと思う。名前の通り”輝”きたい」と自信を持って大舞台に立ちました。

初めてのオリンピックは大きな相手との対戦が続きましたが、圧倒的な稽古量で培った自分の柔道を貫きました。
ジュニア世代での優勝から4年で、一気にオリンピックの舞台でも頂点に立ちました。

恩師「3倍の努力が大きな花を咲かせた」

福岡県久留米市出身の素根輝選手が金メダルを獲得し、地元の恩師は「人より3倍努力したことが、金メダルという大きな花を咲かせてくれた」と活躍をたたえました。

素根選手を久留米市の南筑高校で指導した柔道部の松尾浩一監督は東京オリンピック、柔道女子78キロ超級の決勝戦を学校内にある柔道場の監督室にあるテレビで見守りました。

素根選手がキューバのイダリス・オルティス選手と対戦し、延長戦の末、勝って金メダル獲得が決まると松尾監督は「やったー」と歓声を上げ、教え子の快挙を喜んでいました。

松尾監督は「人より3倍努力したことが、オリンピックの金メダルという大きな花を咲かせてくれたと思います。よくやった、すごいぞ『あきら』と声をかけたいです」と話し、活躍をたたえました。

また、学校内の別の教室でテレビで応援していた柔道部の女子の主将、須田菜月さんは、「技を最後までかけて1本を取る柔道を貫いていた姿がすごいと思いました。後輩であることがうれしいです」と話していました。

日本 柔道 金メダル9個で過去最多に

この結果、今大会日本の柔道の金メダルは9個となり、2004年のアテネ大会の8個を上回って、最多になりました。