「緊急事態宣言」「まん延防止」対象地域の方針は(30日現在)

新型コロナウイルス対策で、政府は、緊急事態宣言の対象地域に、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加するほか、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県に、まん延防止等重点措置を適用し、期間は、いずれも8月2日から31日までとするとともに、東京と沖縄の宣言の期限も、これにあわせて延長することを決めました。

それぞれの地域ではどのような措置の方針がとられるのか。
政府の「基本的対処方針」とともに30日に示された各地の方針をまとめました。

政府の「基本的対処方針」 これまでとの違いは?

政府は、今回の「基本的対処方針」の変更で、まん延防止等重点措置の適用地域では原則、飲食店に対し、酒の提供停止を要請するとしたうえで、知事の判断により酒を提供できるとする緩和条件を厳しくする方針で、感染が下降傾向がある場合に限るとしています。

それによりますと、緊急事態宣言の対象地域では、引き続き酒を提供する飲食店に休業を要請するとしています。

さらに、まん延防止等重点措置の適用地域では、引き続き、原則、酒の提供停止を要請するとしたうえで、一定の要件を満たした店は、知事の判断により午後7時まで酒を提供できるとする緩和条件を厳しくして、感染が下降傾向にある場合に限るとしています。

緊急事態宣言追加4府県などの方針

埼玉県 酒類提供の飲食店には休業要請

緊急事態宣言の対象に追加されたことを受けて、埼玉県は30日夜、対策本部会議を開き、8月2日から31日まで県内全域を対象に協力を要請することを決めました。

具体的には、県民に対して日中も含めた不要不急の外出や移動を自粛し、特に午後8時以降の外出を控えるよう要請することにしています。

事業者に対しては、出勤者の7割削減を目指し、午後8時以降の勤務を抑制するよう求めることにしています。

また、酒類を提供したりカラオケ設備を使用したりする飲食店や結婚式場に対しては休業を要請し、該当しない場合は営業時間を午前5時から午後8時までに短縮するよう要請するほか、劇場や商業施設などでも酒類の提供やカラオケ設備の使用を行わないよう求めることにしています。
一方、中小企業への協力金は売上高に応じ4万円から10万円を支給するとしています。

また、重症化のリスクの高い中高年の患者を確実に入院させ、家庭内で子どもが感染対策を呼びかける「感染防止リーダー」を導入するほか、宿泊療養施設を合わせて2523室確保するとしています。

会議のあと大野知事は「これまで戦術的な対策を講じてきたが、効果が確認される前に異なる感染拡大のパターンに移り手遅れになりつつある。新規陽性者を増やさないため県民や事業者には、愛する人や家族を守るため協力をお願いしたい」と理解を求めました。

千葉県 全域の飲食店などに酒類提供の終日自粛を要請

千葉県は緊急事態宣言の対象地域に追加されることを受けて、8月2日以降、県内全域の飲食店などに営業時間の短縮と酒類の提供の終日自粛を要請することを決めました。

県は、来月2日から31日まで県内全域の飲食店などに対し、▽酒類の提供を終日自粛するほか、▽営業時間を午後8時までとするよう要請することを決めました。

またカラオケ店については新たに休業を求めるほか、県民に対して日中も含め不要不急の外出自粛を要請し、中でも都道府県間の移動は極力避けて出発前または到着地での検査を検討するよう呼びかけています。

30日の感染者の発表が753人と過去最多を更新したことについて熊谷知事は「爆発的な増加のスピードに最大限の危機感を抱いている。このままでは医療体制がひっ迫し交通事故や、死にいたる急病でも、最善の医療が受けられない可能性が出てくる」と述べました。

また、今回の要請について「大変心苦しいが、飲食店の事業継続のため、協力金の早期支給に努めていく。飲食店の協力なくして、出口にいたることは不可能なので最後の我慢の期間となるよう協力をお願いします」と呼びかけたうえでワクチン接種の進捗(しんちょく)状況を宣言解除の目安にするよう引き続き政府に求めていく考えを示しました。

神奈川県 営業時間の短縮と酒類提供全面停止の要請を全域に

神奈川県は、緊急事態宣言の対象地域に追加されたことを受けて対策本部会議を開き、現在、清川村を除いた地域の飲食店などに出している営業時間の短縮と酒類の提供の全面停止の要請を8月2日以降、県内全域に広げることを決めました。

また、いわゆるカラオケボックスなど飲食業の許可を受けていないカラオケ店に対して、新たに休業を要請することも決めました。

そのうえで県民に対し、改めて生活に必要な場合を除く外出自粛や夜8時以降の外出自粛を要請するとしています。

黒岩知事は、「このままでは救える命が救えなくなるいわゆる医療崩壊が現実のものとなりかねない。一人一人が強い危機感を持って、感染拡大防止の行動を徹底してもらうしかない。コロナを甘く見ないでほしい」と話していました。

大阪府 国の「対処方針」に沿って措置内容を決定

大阪府は対策本部会議を開き、国の「基本的対処方針」に沿って、宣言に伴う措置内容を決定しました。

具体的には▽酒を提供する飲食店などに対しては休業を要請するとともに、▽提供しない場合は営業時間を午後8時までに短縮するよう要請します。

また、▽百貨店などの大規模施設に出している午後9時までの時短要請は、1時間前倒しして午後8時までとします。

さらに▽イベントの開催制限については会場の収容定員の50%までか、5000人のいずれか少ない方を上限とします。

一方、学校に対しては、▽部活動は感染対策を講じたうえで継続するほか、▽修学旅行についても、行き先の都道府県が受け入れを認めれば、実施するとしています。

吉村知事は、「今の大阪は感染力の強いデルタ株の置き換えが進み、第5波のまっただ中にある状況だ。東京・首都圏とほぼ同じ割合で感染者の増加が進んでおり、今後、病床がひっ迫していくことも予想される。何度もお願いして申し訳ないが第5波の山を抑えるために、ご協力をお願いしたい」と述べました。

そのうえで「今の傾向では20代と30代で感染が広がっており、40代、50代が入院していて重症化しやすいのも事実だ。20代・30代の人は他人にうつさない行動をお願いしたい。40代・50代の人は、自分がかからない行動をお願いしたい」と呼びかけました。

東京都 いまと同じ要請を継続 1都3県で足並みそろえて

東京都に出されている緊急事態宣言の期限が8月31日までに延長されたことを受けて、都は、延長の期間中も酒を提供する飲食店の休業など、いまと同じ要請を継続することになりました。

小池知事は、都内の感染確認が連日、過去最多を更新していることについて「極めて切迫した状態だ」と述べました。

そして、「大きな要因の1つがデルタ株だ。専門家によれば、感染力はこれまでより2倍近く強い」と述べました。

そのうえで、「専門家からは、繁華街の滞留人口を減少させる必要があるという指摘があった。医療提供体制は大変厳しいが、第3波と第4波では質が違うという指摘もあり、質の変化に迅速に対応していくことが必要だ」と述べました。

さらに、小池知事は、隣接する3県に緊急事態宣言が出されることを踏まえ、「都や県の境を越える移動を連携して慎むことで効果を出していきたい。基本的にはステイホームでお願いしたい」と述べ、1都3県で足並みをそろえて協力を呼びかけて感染を抑え込みたいという考えを示しました。

まん延防止等重点措置5府県各地の方針

北海道 札幌市を「まん延防止」の重点措置区域に

北海道の鈴木知事は、重点措置の適用に伴う対策について、「措置区域は札幌市を考えており、市内で緊急事態措置と同等の措置を実施していくことを基本に考えたい。措置区域とするよう求めていた北見市については、市との協議で、札幌市と同じ対策を講じる段階にはないということで一致したので、措置区域とはしない方向で議論している」と述べました。

一方、飲食店への支援金をめぐり、鈴木知事は「飲食店だけで見ると、緊急事態宣言の地域と、まん延防止等重点措置の地域で要請内容に違いがない一方で、支援金の中身は違うという状況がある。重点措置の対象となったほかの府県との間で課題として認識を共有しており、緊急の要望を行いたい」と述べ、政府に対し、支援金を緊急事態宣言が出される地域と同じ水準とするよう求めていく考えを示しました。

石川県 金沢市を重点措置の対象に

石川県は、対策本部会議を開き、重点措置の対象を「金沢市」とすることを決めました。

そのうえで金沢市の飲食店対象の営業時間の短縮要請を、従来の「午後9時まで」からさらに1時間早めて、「午後8時まで」とすることを決めました。

また県は同居の家族などが感染対策の認証店を利用した場合にかぎり酒類を提供することを認める方針を示していましたが、これについても「酒類の提供は原則停止」と対応を改めました。

感染対策の認証店で要請に応じた店については、協力金の額を上乗せして対応するということです。

金沢市については、大型商業施設にも営業時間を午後8時までとするよう要請します。

さらに県は、近隣でも感染者が増加傾向にあるとして白山市と野々市市の飲食店にも「営業は午後9時まで、酒類の提供は午後8時まで」とする時短を要請することを決定しました。
2つの市の大型商業施設にも営業を午後9時までとするよう協力を求めます。

谷本知事は会議の中で、「要請に応じた店への協力金について、おなじ重点措置の対象の県と一緒に、国に支援を充実させるよう求めていきたい」とと述べています。

兵庫県 神戸市や阪神間地域などの15の市と町を適用地域に

兵庫県は、対策本部会議を開き、重点措置を適用する具体的な地域を神戸市や阪神間地域、それに姫路市などの15の市と町とすることを決めました。

対象地域の飲食店などに対しては、▽営業時間を午後8時までとし▽酒類の提供を自粛するよう要請します。

要請に応じた事業者には、前の年の1日当たりの売り上げ規模に応じた協力金を支給するとしています。

一方、そのほかの地域の飲食店などには▽営業時間を午後9時まで▽酒類の提供は午後8時までと、これまでより30分短縮するよう要請します。

さらに、イベントの参加人数の上限は、これまでより厳しくし5000人とします。

このほか、対策本部会議では、患者の急増に備えて、▽入院病床を900床程度、▽宿泊療養施設1200室程度を運用できるよう体制を整備するほか、▽軽症や症状がない人は、自宅での療養も行うことを決めました。

京都府 京都市を重点措置の適用地域に

京都府は、重点措置の適用地域は京都市とし、市内の飲食店などに対し、▽営業時間の短縮要請を今より1時間前倒しして午後8時までとするほか、▽酒類の提供を原則、停止するよう要請するとしています。

また、床面積が1000平方メートルを超える百貨店などの大規模施設には、営業時間を午後8時までに短縮するよう要請します。

一方、京都市以外の25の市町村では、飲食店などに対し、引き続き来月31日まで▽営業時間を午後9時まで、▽酒類の提供については感染対策の条件付きで午後8時半までに短縮するよう要請します。

また、これからお盆を控え、府民に対しては府外への移動を控えることや外出する際には家族など少人数で移動するよう求めることも確認しました。

福岡県 福岡市・北九州市・久留米市などに重点措置を適用

福岡県は、対策本部会議を開き、県民や事業者に要請する新たな措置を決めました。

具体的には、繁華街がある福岡市やその周辺などの「福岡地域」と、北九州市、久留米市に重点措置を適用します。

そして重点措置の対象地域では飲食店に営業時間を午後8時までに短縮し、酒の提供は停止するよう要請します。それ以外の地域では、飲食店に営業時間を午後9時までに短縮し、酒のオーダーは午後8時までとするよう求めます。

また、百貨店など大規模施設にも、重点措置の対象地域では営業時間を午後8時までに、それ以外の地域では午後9時までに短縮するよう要請します。

一方、県民に対しては引き続き不要不急の外出や県境をまたぐ移動の自粛を求めます。

福岡県は、県独自のコロナ警報を出して8月1日から県内全域の飲食店に営業時間を午後9時までに短縮するよう要請することを決めていましたが、より強い重点措置の適用で感染拡大を抑え込みたい考えです。

福岡県の服部知事は、県の対策本部会議で「感染の急拡大に備えて、さらなる病床確保に努めたい。県民や事業者の皆様には、重ね重ね大変なご苦労をおかけするが、1日も早く感染拡大を抑え込み、日常を取り戻すことができるようご協力をお願いしたい」と述べました。