4府県“宣言”追加 5道府県“まん延防止”適用を決定 政府

新型コロナウイルス対策で、政府は緊急事態宣言の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加するほか、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県にまん延防止等重点措置を適用し、期間はいずれも来月2日から31日までとするとともに、東京と沖縄の宣言の期限もこれに合わせて延長することを決めました。

政府は30日夕方、総理大臣官邸で新型コロナウイルス対策本部を開き、菅総理大臣のほか西村経済再生担当大臣や田村厚生労働大臣らが出席しました。

この中で、東京都と沖縄県に出されている緊急事態宣言の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加し、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県にはまん延防止等重点措置を適用することを決めました。

期間はいずれも来月2日から31日までとし、来月22日までとなっている東京と沖縄の宣言の期限もこれに合わせて延長されます。

この場合、東京パラリンピックはオリンピックに続いて宣言のもとで来月24日に開幕を迎えることになります。

一方、対策本部では重点措置の適用地域では原則、飲食店に酒の提供停止を要請し、提供できる条件を厳しくすることも決めました。

菅総理大臣は30日夜7時をめどに記者会見し、宣言の対象地域を追加することなどを説明して国民に理解と協力を呼びかけることにしています。

菅首相“感染防止対策とワクチン接種に全力”

菅総理大臣は政府の対策本部で「きのうの全国の感染者は1万人を超え、東京をはじめとする首都圏と関西圏でこれまでにない急激なスピードで感染が拡大している。感染力の強いデルタ株への置き換わりが急速に進んでおり、このまま感染者数の増加が止まらなければ重症者数もさらに増加し、病床のひっ迫が進む可能性がある」と指摘しました。

そのうえで「今後も飲食による感染リスクを減少させることが感染対策の肝だ」と述べ、要請に応じた飲食店への協力金の早期支給に加え各都道府県による見回りも拡大し対策の実効性を高めていく考えを示しました。

また、国民に対し、夏休みやお盆を迎えるにあたり不要不急の外出や移動は自粛し、帰省なども極力慎重に対応するよう求めました。

一方、ワクチン接種をめぐり菅総理大臣は今月末には65歳以上の高齢者のおよそ8割近くが2回の接種を終える見込みとなり、すでに65歳以上の高齢者は感染者や重症者が大幅に減少していると説明しました。

そして「今後は若い世代の接種に注力し来月下旬にはすべての国民の6割を超える人が1回の接種を終え、4割を超える人が2回の接種を終えることを目指す。また、重症化リスクを減らす画期的な治療薬について50代以上の軽症者などに積極的に提供していく」と述べ、関係閣僚に対し感染防止対策とワクチン接種に全力で取り組むよう指示しました。

海外メディア“実効性に疑問”

海外メディアからは、その実効性に疑問を投げかける指摘が相次いでいます。

イギリスの公共放送BBCは「専門家は、オリンピック開催の一方で日常生活の制限を求めることは混乱を招くのではないかと懸念している」と伝えています。

そのうえで、日本では、個人の行動に対する法律上の制限がほかの国ほど厳しくないと指摘し「新しい対策がどれほど効果があるかは疑問だ」としています。

またBBCは、東京で取材する記者が、若者にインタビューして効果を疑問視する声を紹介し、政府と若者の間でコミュニケーションに問題が生じていると指摘しています。

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは「日本の感染状況はかつてないほど悪化していて、オリンピックが中盤にさしかかった今、安全安心な大会という約束が守られるか試されている」と伝えています。

さらに、オリンピックの開催が市民の気の緩みにつながっているという専門家の分析を紹介したうえで「緊急事態宣言の拡大・延長が大きな効果を持つかどうかは、もはや定かではない」と指摘しています。

ロイター通信は、日本の緊急事態宣言は、ほかの国の都市封鎖のような厳格な措置を課すものではなく、国民に自粛を求めるものだと指摘したうえで「多くの人が自宅待機の要請に嫌気がさし、居酒屋の中には要請を拒否する店もある」と伝えています。

韓国の有力紙、朝鮮日報は、緊急事態宣言がすでに2週間続いている東京で感染者数が増えているとして「宣言が繰り返され市民の警戒心がなくなったためだ」という厳しい見方を示しています。