WEB特集

ブライアン・メイ単独インタビュー「団結し、手をとりあおう」

7月23日に行われた東京オリンピックの開会式。聖火が競技場内に入るところで流れた曲はイギリスのロックバンド「クイーン」の「手をとりあって」でした。歌詞の一部には日本語も使われています。
開会式に先立って「クイーン」のギタリスト、ブライアン・メイさんに、この曲に込めた思いなどを単独インタビューで聞きました。(国際部記者 佐藤真莉子)
東京オリンピックの開会式
ブライアン・メイさんは、東京オリンピックの開会式に先立つ7月7日、オンラインでのNHKのインタビューに応じました。
Q メイさんが作詞作曲し、日本語の歌詞を入れた「手をとりあって」という曲について教えてください。
この曲は、日本のために書きました。もちろん日本のファンのためです。なぜなら、私たちは、いつもとても親しみを感じていて、それはとても貴重なものだと思っていたからです。そして、それを永遠のものにしたいと思ったのです。敬意を表したかったのです」
「ここに表現されている『みんなで集まる』ということがすべての鍵だと思っています。人類は、分断の原因となるものをかたわらに置いて、団結しなければなりません。そうしないと、私たちは前に進むことはできないからです。(新型コロナの感染が拡大する中で)『共通の敵を倒すために手をとりあおう』という歌詞に込められたメッセージを、今こそ伝えたいと思います」
Q コロナ禍では、アメリカでアジア系の住民への暴力事件が急増し、分断が深まっているように見えます。
「私はコロナ禍の世界が、今の世界の状況を象徴していると思っています。人々は誰かを非難し、誰かに固定観念を押しつけたがります。そして、誰かの欠点を見つけると、その欠点を理由にその人を攻撃します。とても悲しいことだと思います。ただ、私たちはそれを乗り越えなければなりません。お互いを人間として認め合い、敬意を払い、誰かの発言に同意できなくても、意見の相違があっていいということを理解しなければなりません。意見が合わないからといって、相手を追い込み、攻撃する必要はないのです。一方で、音楽を誰かと一緒に楽しんでいる人はどこにでもいます。音楽は、人々を結び付けるものであり、音楽は貴重なものだと思っています」
Q メイさん自身は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、写真や動画の投稿アプリを使って「マイクロ・コンサート」というライブを行っていましたが、なぜやろうと考えたのですか。
「マイクロ・コンサート」の様子
「新型コロナによって、私は家から動くことも、自分のスタジオに行くこともできませんでした。だから、インスタグラムを通じて、自分たちの演奏を世界に発信することはすばらしいことでした。たくさんの感想をもらい、ファンとの双方向のライブになりました。それは私の人生において貴重な瞬間でした。『マイクロ・コンサート』は、コミュニケーションなんだと気付くことができたからです」

「私が『マイクロ・コンサート』を始めたもう一つの理由は、音楽は人々の精神的な支えとなり、困難な状況を乗り越えるためにとても重要だからです。『音楽や演劇は必須ではない』とイギリスでも言われていました。その結果、被害を受けたのはエンターテインメントの周辺で働く人たちです。つまり、音響、照明、制作などを担当している人たちは、突然、収入源を失ってしまいました。私は、そうした人たちのためにも演奏をしたかったし、それが私にできる唯一の方法だったのです」
Q ボーカルのフレディ・マーキュリーさんが亡くなってから、ことしで30年になります。
フレディ・マーキュリーさん 
「フレディを失った時、私も行き先を見失いました。自分で自分の道を切り開いていかなければなりませんでした。ただ、そのことを後悔していませんし、それは貴重な経験でした。フレディのことや私たちが経験したすばらしいことについて話したり、それらを楽しんだり、再び誇りに思ったりできるようになったのは、かなり長い時間がたってからです。私たちが長年『クイーン』として築いてきたもの、一緒にやった仕事、それが私の人生の一部になっています。私の人生のすべてではありませんが、とても大きな部分を占めているのです」
Q コロナ禍での東京オリンピック・パラリンピックの開催について。
「日本の新型コロナの感染状況がよくわかりませんが、オリンピック・パラリンピックの開催に賛否両論があったことは知っていましたし、もっと開催に慎重になるべきだと考える人たちにとても共感しています。しかし、実際に開催したということは、全力で取り組もうという決意があったはずです。すべての人がオリンピックに注目している中で、私たちもそれぞれの責任に向き合わなくてはなりません。喜びに満ちた大会になることを願っています」
国際部記者
佐藤 真莉子
平成23年入局
福島局、社会部を経て
平成27年から国際部
アメリカ、
ヨーロッパを担当

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