感染急拡大 お盆の帰省や旅行はどうする? 忽那教授に聞く

新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。

29日に発表された感染者の数は全国で初めて1万人を超え、過去最多となりました。2週間後にはお盆の時期を迎えます。

「帰省先の両親はワクチン接種を終えているからことしこそは帰ろう」

このように考えている人もいるかも知れません。

ことしのお盆の帰省や旅行についてどう考えればいいのか、専門家に聞きました。

「東京で増えると必ず大阪でも増える」

話を聞いたのは、感染症が専門で東京の国立国際医療研究センターから、今月、大阪大学に着任したばかりの忽那賢志教授です。

東京では、29日に発表された感染者の数が3800人を超えて過去最多を更新。

同じ日、関西でも、900人を超えるなど感染の急拡大に歯止めがかからない状況です。

忽那教授は、東京の感染者が増えれば大阪で増えるという関係にあり、今後、各地でさらに増加するおそれがあると指摘します。
忽那教授
「すでに東京を中心に関東では感染者が急増していますが、関東と関西では人の行き来があるので、東京で流行するとその後、必ず大阪でも増えてきます。第4波の時は今とは逆で、大阪で増えたあと東京で増えていました。日本のどこかで爆発的に増えると、人の行き来の多い大都市はどうしても影響を受けてしまいます。感染者の数は、東京ではすでに過去最多を更新、大阪はまだ第4波のピークには達していませんが、増え方が鈍化する兆しが全く見えません。感染力の強いデルタ株の影響もあり、今のペースで増え続けると大阪でも過去最多を更新する恐れは十分あるだろうと思います」

「ワクチン接種しても、感染リスクはゼロではない」

今は夏休み期間中で、2週間後にはお盆の時期を迎えます。

ワクチン接種も進んできたので、帰省や旅行を検討している人もいるかもしれません。

しかし、忽那教授はリスクはゼロではないといいます。
忽那教授
「私も新型コロナが流行し始めてから1度も帰省していないのでその気持ちはよくわかります。ただ、個人的には、感染を広げないため、今の時期はできるだけ移動を控えていただき、感染が収まるまで待ってから帰省・旅行するのが一番安全だと思います。ワクチンを接種していたとしても、感染するリスクはゼロではありません」

帰省や旅行を検討する場合の注意点は

では、もし帰省や旅行を検討する場合は、どんな点に注意すればいいのでしょうか。

ポイントは、
▽住んでいる地域と帰省・旅行する先の流行状況
▽ワクチン接種の状況
だといいます。

宣言地域は都道府県またいだ移動やめて

忽那教授
「東京のように緊急事態宣言が出ているところは、基本的に都道府県をまたいでの移動はやめましょうということになっています。まん延防止等重点措置に関しても基本的にはそれに準じる考え方がいいと思います」

「ワクチンに関しては、例えば実家の両親が接種を2回完了していて、自分も2回接種を完了しているということであれば感染を広げるリスクは低くなります。そうした状況で、さらにお互いの住んでいる地域がそれほど流行していなければ、帰省はある程度許容されると思います。ただ、その場合も食事を一緒にしないようにするなど対策を徹底して欲しいですね」

旅行も控えるのが安全 もしくはリスク下げて

旅行についての考え方も、注意するポイントは帰省と同じだといいます。
忽那教授
「旅行も人が移動することによって感染が広がる可能性があるので、今は控えてもらうほうが安全です。一方、移動するだけで感染が広がるわけではないので、例えば、一人旅でどこかの秘境に行くといったことで感染が広がるとは考えにくい。旅行をもし検討する場合は、人混みを避け、なるべく人がいない時間帯に移動する、あるいは観光地ではなくて人が少ないところを行き先に選ぶ、といったことで感染のリスクをできるだけ下げる工夫を徹底して欲しいと思います」

ワクチン未接種の40~64歳で重症化増える懸念

第5波では高齢者が感染する割合は低くなっていて、これまでと大きく違うといいます。

明らかにワクチンの効果がみられていて、重症者が減るという意味でとてもいいことだと忽那教授は指摘しています。

それでも、ワクチンを接種を受けていない人たちが重症化してしまう恐れもあるということです。
忽那教授
「デルタ型の変異株は重症化のリスクが高く、入院するリスクが2倍くらいになると言われています。そのため、40~64歳のワクチン接種を受けていない人たちの中で重症化する人が増えるのではないかと懸念されています」

もう少しの我慢 慎重な行動を

感染急拡大が続く夏。

忽那教授は、慎重に行動してほしいと繰り返し呼びかけています。
忽那教授
「やはり感染が収まるのを待ってから帰省や旅行をしたほうが安全だとは思います。感染対策をいつまで続けるのかうんざりしている人も多いと思いますが、ワクチン接種が進むことで少しずつ希望も見えてきているという状況です。もう少しの我慢だと思うので、人の移動が増えるこの時期、慎重な行動をお願いしたいと思います」