コロナ搬送相次ぐ都内医療機関 医療体制を維持できるか危機感

東京都で新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、中等症や重症の患者を受け入れている都内の医療機関では、入院が必要な患者の搬送が相次いでいて、医療体制を維持できるか危機感が強まっています。

東京 板橋区の日本大学医学部附属板橋病院は、私立病院としては全国で2番目に多くの新型コロナウイルスの患者を受け入れているということです。

病院ではことし4月に新型コロナの専用病床として、高度な治療に対応できる「ハイケア病床」をそれまでの12床から50床に大幅に増やし、主に中等症と重症の患者の治療にあたっていて、この2週間で入院患者が急増しているということです。

29日朝に開かれた救命救急の医師らのミーティングでは、28日の夜から29日明け方にかけて、自宅で療養していた50代の女性と70代の男性の2人の患者が救急搬送され、入院となったことなどが報告されました。

このあとも病院には新型コロナの患者が相次いで救急搬送されてきていて、このうち救急車で運ばれてきた90代の女性患者は、感染対策の防護カバーを取り付けた車いすでCTやレントゲンの検査に向かいました。

病院によりますと29日午後3時現在ですでにICUの全6床のうち3床とハイケア病床の全50床のうち29床に患者が入院しているということで、病院では今後も患者が増えると医療提供体制を維持できるか、危機感が高まっています。
日本大学医学部附属板橋病院救命救急センターの山口順子科長は「夜間の救急搬送を受け入れられる病院は少なく、遠方から運ばれてくる患者も多くなっている。ここ数日で医療のひっ迫を実感している。中等症の患者が多いが、いつ誰の容体が悪化するか分からない状況となっていて、予断を許さない」と話していました。