感染急拡大で入院調整が徐々に困難に 東京・墨田区

新型コロナウイルスの感染の急拡大が続く中、東京・墨田区では新型コロナウイルスの専用病床を増やして対応にあたっていますが、徐々に入院の調整が難しくなってきていて、危機感を強めています。

東京都内では新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、療養が必要な人は、今月に入って1.2倍から1.7倍のペースで週ごとに増加していて、1日の新規感染者数も連日、過去最多となっています。

墨田区では療養が必要な人は先月上旬と比べて4.7倍に急増し、今月に入って専用病床をさらに1.3倍の237床に増やしましたが、すでに4割の病床が使用されています。

特に、中等症の中でも酸素の吸入が必要な患者が入院する病床が足りなくなってきていて、徐々に入院の調整が難しくなってきているということです。

このため、自宅で酸素を吸入できる装置を新たに確保したほか、パルスオキシメーターを第4波までの3倍にあたる900台に増やすなど、自宅療養者への支援を強化していますが、さらに感染の急拡大が続くことに危機感を強めています。
墨田区保健所の西塚至所長は「自宅で療養中に突然状態が悪くなる、呼吸が苦しくなるケースも増えてきているが、急変したときにすぐに入れるベッドがいつもあるわけではない。感染をおさえていかないと、救える命が救えなくなるという懸念を持っている」と話しています。

“民間救急” 先月の2倍以上に

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、患者の病院への搬送を担う、民間の会社には、保健所などからの依頼が相次ぎ、今月はこれまでに180件にのぼり、先月の2倍以上に急増しています。

患者の特徴も変化がみられ、多くは基礎疾患のない若い世代になっているということです。

東京・日野市にある「民間救急フィール」は、保健所や自治体などからの依頼を受けて、自宅で療養していたものの状態が悪化した患者などを病院に搬送する業務を担っています。

患者の搬送件数は、今月22日までに184件にのぼり、先月の77件の2倍以上に急増しています。

なかには、自宅近くで受け入れ先が見つからず、1時間以上かけて搬送するケースもみられるということです。

また、患者の特徴も変化がみられ、第3波や4波では、基礎疾患のある高齢者が全体の7割を占めていましたが、今月は40代以下の搬送がおよそ7割を占めていて、多くは基礎疾患のない患者だということです。

取材で同行した27日は、気温が高くなる中、感染対策のため防護服を着用し、患者の元に向かっていました。

この日、搬送された40代の男性は自宅で療養していましたが、数日間、熱が下がらず、さらに血液中の酸素の数値が悪化し、入院することになったということです。

ワクチンの接種はできておらず、感染経路は分からないということです。
患者の搬送を担当した八島悟さんは「同じ地域だけで何か所も回って患者を運ぶこともあり、市中感染が広がっているように感じる。今までは若い人は無症状が多かったが、今の若い人は胸が苦しい、息が苦しいといった人が目立つ。変異株では重症や中等症の方が多く、座っているのもつらそうだ」と話していました。