俳優 竹中直人さん 五輪開会式出演辞退 過去の作品など理由に

俳優の竹中直人さんが過去に出演した作品に障害者をからかうような場面があったことなどを理由に、7月23日に行われた東京オリンピックの開会式への出演を前日に辞退していたことが所属事務所への取材で分かりました。

所属事務所によりますと、竹中さんは大工の棟りょうの役で7月23日、東京オリンピックの開会式に出演する予定でした。

こうした中、作曲担当の1人だったミュージシャンの小山田圭吾さんが、障害がある生徒などへのいじめの告白が批判を受けて、開会式の4日前に辞任したほか、ショーディレクターを務めていた小林賢太郎さんは、過去に演じたコントの中でユダヤ人の大量虐殺をやゆするセリフを使っていたとして開催前日に解任されました。

竹中さんは、1985年に発売されたビデオ作品の中で、目の不自由な人が携行する白じょうを振り回しながら横断歩道を渡って笑いをとる場面があったことから、障害者団体から批判を受けて謝罪していたということで、そのまま開会式に出演した場合には「選手や大会に関わる皆さんにご迷惑がかかる」として辞退を申し入れ、大会組織委員会も受け入れたということです。

“表現に愛情があるかどうか”

東京オリンピックを巡り、障害のある人をいじめたり、やゆしたりしたような過去の表現が問題となるなか「お笑い芸人界で初の寝たきり障害者」を名乗って活動している「あそどっぐ」さんに取材しました。
「あそどっぐ」さんは、全身の筋力が低下していく難病=脊髄性筋萎縮症で、顔と左手の親指しか自由に動かすことができませんがさまざまな工夫で笑いを生み出し、NHK Eテレの「バリバラ」などに出演しています。

今回は俳優の竹中直人さんが過去に出演した作品に障害者をからかうような場面があったことなどを理由に東京オリンピックの開会式への出演を辞退したことについて聞きました。

「あそどっぐ」さんは「誰かに危害を加えたわけでもないし、あくまで表現の一環で、悪意があるようには思いませんでした。竹中さんはその後、謝罪し、当時と今では考え方も違うと思うので、出演を辞退する必要はなかったのではないか」と話しました。

そのうえで「今回の件の影響で、『障害者と関わるととばっちりを食うから近づかないでおこう』と思う人が増えてしまうと心配です」と懸念を示しました。

また、障害をお笑いのネタにすることについては「扱い方によっては差別だと捉えられるおそれもあるので難しい部分はあります。私は見る人が嫌な気持ちにならないか、常に注意しています」としたうえで「大切なのは、愛情があるかどうかです。それがなければ、お笑いはただの攻撃になってしまいます。バカにする気持ちではなく、愛を持って表現してほしい」と訴えました。

そして「どこまでが許される表現なのかを考えるときに、演じ手や制作者の心の中に、障害のある人のことが存在しているかどうかが重要です。表現の世界で、障害者の存在が当たり前になるような社会になればいいなと思っています」と話していました。