原子力白書「新たな安全神話が生み出される懸念」指摘

東京電力福島第一原子力発電所の事故発生から10年となったことしの「原子力白書」が公表されました。

白書では新潟県の柏崎刈羽原発でテロ対策をめぐる問題が相次いだことなどに触れ「原発の規制基準を満たせば安全だという慢心がはびこり『新たな安全神話』が生み出される懸念がある」と指摘しました。

ことしの原子力白書は、原発事故の発生から10年がたち福島県内の除染などが進む一方、廃炉の完了までにさらに20年以上かかることや、およそ3万6000人の県民が避難生活を継続しているほか、風評が国内外で固定化されていることなど、課題が山積している現状を「特集」の中で記述しています。

また、原発の「抜き打ち検査」ができる国の新たな検査制度の運用が去年4月から始まったほか、東京電力柏崎刈羽原発でテロ対策をめぐる問題が相次いだことなどが触れられています。

白書では事故を教訓に策定された規制基準について「基準を満たせば安全だという慢心がはびこり『新たな安全神話』が生み出される懸念がある」とし、原子力に携わる関係者は「安全性向上や安全文化の醸成に取り組み続けることが必要だ」と指摘しています。
白書をまとめた原子力委員会の上坂充委員長は「事業者が規制基準をただ守るだけでいいと受け身になるのが非常に心配だ。事業者は常に能動的に改善できないかを考える必要がある」と話しています。