東京都 新型コロナ 2人死亡 新たに2848人の感染確認 過去最多

東京都内では27日、新たに2848人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、1週間前の火曜日の倍以上となり過去最多となりました。
都の幹部は「大きな数字だ。これだけ感染者が出ると市中に無症状の感染者もたくさんいる。L452Rの変異があるウイルスは想像以上に手ごわいのでしっかり対策をお願いしたい」としています。

東京都は27日、都内で新たに10歳未満から100歳以上までの男女合わせて2848人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

1週間前の火曜日の倍以上となり、過去最多となりました。

1日に2000人を超えるのは、第3波のことし1月15日以来です。

27日までの7日間平均は1762.6人で前の週の149.4%となり、感染の急拡大に歯止めがかかりません。

感染確認が過去最多になったことについて東京都福祉保健局の吉村憲彦局長は「大きな数字で非常に厳しい。4連休が影響しているのは間違いない。これだけ感染者が出ると市中に無症状の感染者もたくさんいる。L452Rの変異があるウイルスは想像以上に手ごわいのでしっかり対策をお願いしたい」と話していました。

2848人の年代別は
▽10歳未満が97人
▽10代が275人
▽20代が951人
▽30代が610人
▽40代が466人
▽50代が301人
▽60代が91人
▽70代が25人
▽80代が23人
▽90代が8人
▽100歳以上が1人です。

感染経路がわかっている953人の内訳は、「家庭内」が最も多く584人、「職場内」が119人、「施設内」が81人、「会食」が52人などとなっています

東京オリンピック関連では、外国人の競技関係者3人、外国人の選手2人、日本人の組織委員会の職員1人のあわせて6人の感染が確認されました。

これで、都内で感染が確認されたのは20万3568人となりました。

一方、27日時点で入院している人は26日より147人増えて2864人で、「現在確保している病床に占める割合」は48%です。

都の基準で集計した27日時点の重症の患者は26日より4人増えて82人で、重症患者用の病床の20.9%を使用しています。

重症者が80人を超えるのは、ことし5月18日以来です。

また、都は、感染が確認された60代の女性と50代の男性が死亡したことを明らかにしました。

これで、都内で感染して死亡した人は2279人になりました。

インド型変異ウイルス感染 2日連続で半数超え

東京都は27日、都内で新たに280人がインドで確認された「L452R」の変異があるウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

検査数は557件で、陽性と確認された割合は50.3%と、26日に続いて半数を超えました。

都の担当者は、「この変異ウイルスの陽性率が上がり続けていて、市中で置き換わりがさらに進んでいる」と分析しています。

280人のうち感染経路がわかっているのは103人で、家庭内が65人、会食が10人、職場内が9人などとなっています。

このうち、会食が原因で感染したとみられる20代の女性は、知人の自宅に10人以上で集まり、夕方から翌日の朝にかけて会食していたということです。

また、この場にいた別の2人もPCR検査の結果、ウイルスの型はまだ分かっていませんが、陽性が確認されたということです。

これでこの変異ウイルスへの感染が確認されたのは、都内で4171人となりました。

東京都福祉保健局 吉村局長「第3波の時とは本質的に異なる」

東京都福祉保健局の吉村憲彦局長は、27日に過去最多の2848人の感染が確認されたことをうけて報道各社に今の状況などを説明しました。

このなかで、これまでの過去最多だった第3波のことし1月7日と比べると、重症化しやすい60代以上の割合はおよそ3分の1に減ったほか、30代以下の若い世代の割合はおよそ10ポイント増加していると説明しました。

吉村局長は「30代以下は重症化率が極めて低く、100人いたらせいぜい十数人しか入院しない」と述べました。

そのうえで、第3波のころよりは病床の確保が進んだほか、高齢者の感染が減ったことで重症の患者数もおよそ半数に抑えられていると説明しました。

さらに、軽症や無症状の人向けの宿泊療養施設を確保し、自宅療養の人向けの健康観察などの体制も整えているとしています。

吉村局長は、「年明けの第3波のピークの時とは本質的に異なっているので、医療に与える圧迫は変わっている。入院患者は確かに増えてきているが、すぐに第3波のような状況になるとは認識していない」と述べました。

そのうえで「医療機関の負担が増えていないことはないと思うが、第3波の1月と比べれば格段の差があると思う。いろいろな、医師に聞いた感覚的な話だが、まだ1月みたいな雰囲気ではないと思っている」と述べました。

また、「いたずらに不安をあおることはしていただきたくない」と述べました。

一方、吉村局長は、現在開かれている東京オリンピックが都内の感染状況に影響を与えているかと聞かれると「悪い方向に影響しているとは私は考えていない。オリンピック関係者で150何人、感染者が出ているが、きょうの2848人に比べれば軽微だ。東京の感染状況に大きな影響を与えているとは思っていない」と述べました。

専門家「人の動きを抑える対策を」

東京都内で27日、新たに新型コロナウイルスの感染が確認された人が過去最多となったことについて、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで東邦大学の舘田一博教授は「緊急事態宣言が出されて2週間がたち、これまでであれば感染者数が減ってくる時期に過去最多の感染者数となったことは緊急事態宣言の効果が出ていないということだ。今の感染者数は2週間前に感染した人であり、人の流れが減っていないことを考えると感染者数はさらに増える可能性がある」と指摘しました。

感染が急速に拡大している要因としては「4連休や東京オリンピックの開幕、それに夏休みなどで濃厚接触の機会が増えているほか、感染力の高いデルタ株への置き換えが急速に進んでいることが背景にあると考えられる。都内ではすでに2000人以上が入院先が決まっておらず、このまま感染者数が増えるといつ医療体制がひっ迫してもおかしくない状況だ」としています。

そして今後、必要な対策については「東京の感染者数の増加は今後、全国に拡大するおそれがある。現時点のワクチン接種が十分に進んでいない状況ではより強い対策が必要で、飲食店だけではなくほかの業種の店舗の営業の自粛を検討するなど、人の動きをより抑える対策を早めに打つことが重要だ」と話していました。

田村厚労相「思いを一つに 命守ることに協力を」

田村厚生労働大臣は記者団に対し「世界中で『デルタ株』により感染が急拡大し、東京も『デルタ株』に置き換わりつつある状況なので、感染者数が一定程度増えることはウイルスの性質上あり得ることだと思う」と指摘しました。

そのうえで「緊急事態措置を発令しているにもかかわらず、要請に応じずアルコールを出している店が散見されるが、酒を出す店は開かないということを守っていただきたい。オリンピックのアスリートも制約の中で試合に出て頑張っている。思いを一つにして感染をなんとか抑え、命を守ることに協力いただきたい」と述べました。

過去最多 都内の街の人は

都内で過去最多となる2848人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたことを受けて、渋谷駅前で話を聞きました。

このうち、ワクチン接種の帰り道だという50代の女性は「ただ、びっくりで驚いています。人流を減らそうとしていますが効果が現れていないと感じますし、改めて手洗いやマスクの着用など周囲の人にも注意するように言っていきたいです」と話していました。

また、仕事帰りの70代の男性は「緊急事態宣言中なのにこれだけ人が出ているともっと感染者が増えてもおかしくないと感じます。外出を制限するなどより強い政策をとらないと、感染は止まらないのではないかと思います」と話していました。

一方、20代の男性は「自分たち若い世代は行事ができなくなって我慢している中で、オリンピックをやっているなら外出してもいいのではと思う人もいるのではないかと感じます」と話していました。

厚労省 幹部「感染者の増加 想定より早い」

厚生労働省の幹部の1人は「インドで確認された変異ウイルスの『デルタ株』の感染が広がっているので感染者がこれくらいまで増えることは想定内だったが、予想していたより早かった。緊急事態宣言が出て2週間になるので本来なら効果が出てくる時期だが、以前のようには効かなくなってきている。オリンピックの盛り上がりも人流の増加につながっている印象で、感染者はさらに増えるのではないか」と話しています。

また、別の幹部は「数字は重く受け止めている。夏休みを迎え旅行などで人流が増える時期なので一層の注意が必要だ。重症者も増えて医療への負荷が高まっているので、感染対策の基本を守ってもらえるよう、どうにかして国民の協力を得て感染を抑え込んでいくしかない」と話しています。

別の幹部は「もともとこうなることを想定して不要不急の外出を控えるよう国民にお願いしてきたが、対策の積み上げがうまくいかなかった。政府への信頼がなく、どんなメッセージを出しても共感を得るのが難しくなっている」と話しています。

都内の病院は危機感強める

新型コロナウイルスの中等症の患者を中心に受け入れている都内の病院では専用病床がほぼ満床で、PCR検査の陽性率も急速に高まっているということで危機感を強めています。

東京 北区の「東京北医療センター」は新型コロナの専用病床を30床確保し、主に中等症の患者を受け入れています。

ここ数日、入院調整を行う東京都から受け入れ要請の電話がひっきりなしにかかってきますが、27日時点で26床が埋まっていて、医療スタッフもフル稼働しているため新たな受け入れは難しい状態になっているということです。

また、この病院が設けている新型コロナ外来ではPCR検査の陽性率が急速に高まっています。

先週は1日平均でおよそ60人が検査を受け陽性率は15%ほどでしたが、26日は122人に検査を行い陽性率は35.2%と倍以上だったということです。

東京北医療センターの宮崎国久医師は「PCR検査の陽性者が週末あたりから一気に増えた。3人に1人が陽性というのは異常事態だと思う。きのうは20代の患者が重症化して転院した。若い人でも重症化するし、入院できなくなる人が増えると命を落とすことにもなりかねない。患者の半分ほどは家庭内感染だが、話を聞いてみるときっかけは会食や飲食のようだ。自分や家族を守る意味でもよく考えて行動してほしい」と話しています。

立民 福山幹事長「衝撃的 下降すべきが最多」

立憲民主党の福山幹事長は記者会見で「緊急事態宣言が出され、本来ならば感染者数が下降していくべき時に最多になるというのは衝撃的だ。先の4連休の影響に加え、オリンピックでたくさんの人出もあり、今後どのような形で感染が広がっていくのか極めて心配だ。政府は専門家会合を開くとともに今の考えを国民に説明する必要があり、対策を強く求めたい」と述べました。

公明 山口代表「先が思いやられる状況」

公明党の山口代表は、水戸市で行った講演で「きょうの感染者数が2週間前の行動の結果だとすると、きょうまでは、むしろ人の流れが増えるような傾向が出ているので、先が思いやられる状況だ。基本的な感染対策をしっかり行っていくことが重要だ」と述べました。

一方で「高齢者へのワクチン接種を優先した結果、きょうの東京の感染者の中でも、高齢者が占める比率は3%程度と低くなっていて、これは明らかにワクチン接種の効果だ」と述べました。