オリンピック ソフトボール決勝 日本 金メダル!【詳細】

東京オリンピックのソフトボールの決勝で、日本はアメリカに2対0で勝ち、13年前の北京大会以来となる金メダルを獲得しました。

ソフトボールの決勝は横浜スタジアムで行われ、世界ランキング2位の日本は世界1位のライバル・アメリカと対戦しました。

試合は0対0の4回、日本が2アウト一塁三塁から9番・渥美万奈選手のタイムリー内野安打で1点を先制しました。

続く5回はアメリカのエース、モニカ・アボット投手から5番・藤田倭選手がタイムリーヒットを打って追加点をあげました。

投げては先発したエースの上野由岐子投手が5回まで無失点に抑えました。

6回に先頭バッターをヒットで出したところで今大会絶好調の後藤希友投手にスイッチし、後藤投手は一塁二塁のピンチを招きましたが、味方の好守もあって無失点で切り抜けました。

そして、7回には再び登板した上野投手が3者凡退で抑えて、日本が2対0で勝ち、金メダルを獲得しました。

ソフトボールは13年前の北京大会から3大会ぶりに復活し、日本はその時以来となる金メダルです。

“日本の顔”2人が金をもたらす

北京大会の金メダルから13年。アメリカを下し、日本に再び金メダルをもたらしたのは、その時からのエースでチーム最年長の39歳・上野由岐子投手と、今大会の活躍で日本の新たな顔になったチーム最年少・20歳の後藤希友投手の2人のピッチャーでした。

上野由岐子“競技生活の集大成でエースの存在感”

上野投手は26歳の時に出場した北京大会で準決勝から決勝までの3試合を1人で投げ抜き、初めての金メダルに導きました。その北京大会とは「180度変わっている」と言いながらも、25日のカナダ戦では力のあるボールで金属バットを真っ二つに折るなど、力の衰えを感じさせないピッチングを続けました。

上野投手は今大会、7日間で4試合に先発。合わせて389球を投じ、大黒柱としてチームを引っ張りました。バッテリーを組むキャッチャーの我妻悠香選手は「決勝で投げているようなボールの感じを1週間ずっとキープしている。点数がなかなか入らない試合が多い中でも集中力を切らさず投げきってくれている」とそのタフさを証言していました。

決勝では、13年前も顔を合わせたモニカ・アボット投手やキャット・オスターマン投手などとの投げ合いになりました。「ここまで積み重ねてきた努力や年月を自分自身が裏切らないよう、そして悔いが残らないように最後の最後まで戦い抜きたい」と話していたとおり、力任せではなく緩急を使いながらコースを丁寧に突く、ベテランらしいピッチングを続けました。

6回に一度降板しましたが、合わせて6イニングを投げてヒット2本無失点の好投で勝利を呼び込みました。競技生活の集大成といえる東京オリンピック最後の試合で、エースとしての存在感を改めて示した上野投手。日本に金メダルをもたらし、競技への恩返しをするという使命を果たしました。

上野「金メダルで感無量 監督に恩返しできた」

上野投手は「金メダルを取ることができて感無量。地元開催で前回の金メダルよりもプレッシャーは大きかったが、少しでも宇津木監督の力になりたいと思っていた。恩返しができてよかった」とほっとした表情を見せました。

投球については「13年間、いろんな思いをしてここまで来たので、投げられなくなるまで絶対投げてやろうと思って投げた」と振り返っていました。

今回の金メダルが今後のソフトボール界に与える影響について聞かれると「13年という年月を経て、あきらめなければ夢はかなうということをたくさんの人に伝えられたと思う。またソフトボールは次の大会からなくなってしまうが、前に進んでいきたい」と話していました。

後藤希友“練習と自信が決勝での好投に”

決勝の舞台にもう1人登板したのが、今大会で日本の“守護神”となった後藤投手でした。決勝までの5試合中4試合にすべてリリーフで登板。緊迫した展開の中で9回と3分の2イニングを投げて21個の三振を奪い無失点。宇津木麗華監督から強い信頼を得ました。

大会中には「あまり想像していなかったような場面で回ってきたりしてびっくりしている。いろいろな方からのメールやラインもたまって返せていなくて、申し訳ないがうれしい」と話し、グラウンドで見せる引き締まった表情から一転、20歳らしい笑顔も見せていました。

後藤投手は決勝でも世界ランキング1位のアメリカ相手に、ものおじすることなくインコースを強気に攻め、終盤の6回を無得点に抑えました。

今大会で好投を続けた背景にはコントロールの安定がありました。昨シーズンまでは同じコースに2球続けて投げようとすると、2球目が甘く入ることが多くあったといいます。

このため、ふだんの投球練習からバッターボックスに人を立たせてストライクゾーンぎりぎりに投げ込むことに意識して取り組みました。地道な練習の成果とオリンピックの大舞台で好投を続けた自信が、決勝での好投にもつながったといえます。

後藤投手は「コントロールがよくなって自分自身の求めていたものが今回の大会で出せているのではないかと感じている」と手応えを口にしていました。

上野投手も後輩が見せる圧倒的なピッチングについて「彼女はダークホース的な存在で各国にデータがない分、すごくいいピッチングをしてくれている。ダイナミックに投げている姿がすごくチームに勢いを与えてくれている」と試合ごとに大きくなっていった存在感を話していました。

後藤「金メダル重い 夢のよう」

後藤投手は「登板したときは今までに感じたことのない緊張感を感じた。金メダルは重く、夢のようで実感がわいていない」と笑顔で話していました。
ソフトボールは3年後のパリ大会で実施されないことが決まっています。19の年の差があるエースと新星がこの東京オリンピックで放った輝きは競技の持つ魅力を改めて多くの人に伝えたことは間違いありません。

キャプテン 山田「一人ひとりが役割果たした」

キャプテンとしてチームを引っ張り、北京大会に続く金メダルに輝いた山田恵里選手は「金メダルは一人ひとりがそれぞれの役割を果たして頑張った結果だと思う。重圧の中でつらくて苦しくて、初めてソフトボールをしていて怖いと思った。それでも今、ここに立てているのは仲間に支えてもらったからで、金メダルという形で恩返しができてよかった」と話していました。

宇津木監督「感謝の気持ちでいっぱい」

宇津木麗華監督は、北京大会以来13年ぶりの金メダルについて「正直に言うとこの1週間怖かった。このご時世の中でオリンピックが開催されることに迷いもあったが、国民の皆さんの支持がきょう一番の力になった。感謝の気持ちでいっぱいだ」と話しました。

上野投手とは試合直後にともに涙を流しながら抱き合う姿も見られ「今まで上野のおかげでソフトボールで優勝することは夢じゃないと思わせてくれたし、今回も上野が必ずやってくれると思った。本当に上野に感謝したい」と活躍をたたえていました。

大会を通じてノーエラーの堅い守りで頂点をつかんだ戦いぶりについて「日本の守備は世界で一番だということを忘れてはいけない。打線も相手に力負けしないくらいよくなっている。これから日本はどんどん強くなる」と話していました。

◇試合詳細◇

1回表 日本 ランナー三塁まで進めるも無得点

◇試合開始◇
1 山田 ピッチャー強襲ヒット
2 内藤 サードゴロ
3 原田 サードゴロ
4 山本 ショートゴロ

1回ウラ 上野 ピンチ背負うが得点与えず

1 マクレニー ファーストゴロ
2 リード センターオーバーのスリーベースヒット
3 チデスター 振り逃げ
 サードランナーのリードがホームを狙うもアウト
 ファーストランナーがバッテリーミスの間にセカンドに進塁
4 エリオト 三振

2回表 日本 市口の大きな当たり 好守に阻まれる

5 藤田 サードゴロ
6 山崎 レフトオーバーのツーベースヒット
7 我妻 レフトフライ
8 市口 ライトフライ

2回ウラ ダブルプレーで無得点に抑える

5 アギラー ピッチャーゴロ
6 スポールディング フォアボール
7 スチュワート ピッチャーゴロダブルプレー

3回表 日本 チャンスも投手交代で得点奪えず

9 渥美 10球粘ってフォアボール
 アメリカはピッチャーをカルダに交代
1 山田 送りバント失敗
2 内藤 三振
3 原田 デッドボール
4 山本 セカンドゴロ

3回ウラ 上野 3者凡退に抑える

8 マンロー サードゴロ
9 モルトゥリー 三振
1 マクレニー ライトフライ

4回表 日本 渥美のタイムリーで先制! 1-0

5 藤田 センター前ヒット
6 山崎 送りバント
7 我妻 ピッチャーゴロ
8 市口 フォアボール
9 渥美 セカンド内野安打
1 山田 三振

4回ウラ 上野 3イニング続けて3者凡退に抑える

2 リード ライトフライ
3 チデスター サードフライ
4 エリオト ファーストゴロ

5回表 日本 藤田のヒットで追加点! 2-0

2 内藤 ショートフライ
3 原田 サードゴロ
4 山本 センター前ヒット
 アメリカはピッチャーをアボットに交代
 バッテリーミスの間に山本はセカンドに進塁
5 藤田 ライト前タイムリーヒット

5回ウラ 上野 ピンチを三振で切り抜ける

5 アギラー フォアボール
6 スポールディング 三振
7 スチュワート ピッチャーゴロ
8 マンロー 三振

6回表 日本 チャンスも得点できず

7 我妻 センター前ヒット
8 市口 サードゴロ
9 代打 森 三振
1 山田 ショートゴロ

6回ウラ ショート渥美の好守でダブルプレー!

9 モルトゥリー レフト前ヒット
 日本はここでピッチャーを上野から後藤に交代
1 マクレニー 三振
2 リード センター前ヒット
3 チデスター ライナーアウトダブルプレー

7回表 日本 藤田の当たりは好守に阻まれる

2 内藤 セカンドファールフライ
3 原田 センター前ヒット
4 代打 川畑 三振
5 藤田 レフトフライ

7回ウラ 上野再び登板 2-0で勝利!

4 エリオト センターフライ
5 アギラー ファーストゴロ
6 スポールディング キャッチャーファウルフライ

日本の先発メンバー

【先攻 日本】
1 【中】 山田恵里
2 【一】 内藤実穂
3 【右】 原田のどか
4 【三】 山本優
5 【指】 藤田倭
6 【左】 山崎早紀
7 【捕】 我妻悠香
8 【二】 市口侑果
9 【遊】 渥美万奈
先発投手 上野由岐子

アメリカの先発メンバー

【後攻 アメリカ】
1 【中】 ヘイリー・マクレニー
2 【左】 ジャニー・リード
3 【右】 アマンダ・チデスター
4 【一】 バレリー・エリオト
5 【二】 アリ・アギラー
6 【遊】 ディレイニー・スポールディング
7 【三】 ケルシー・スチュワート
8 【捕】 オーブリー・マンロー
9 【指】 ミシェル・モルトゥリー
先発投手 キャット・オスターマン
予選リーグの通算成績は、アメリカが5勝で1位、日本は4勝1敗で2位。
26日行われた予選リーグの最終戦では、日本はアメリカと対戦し、先制しましたが、1対2でサヨナラ負けしていました。