オリンピック 日本卓球 “最強中国”破った勝因は

“最強中国”を破ってつかんだ悲願の金メダルでした。
東京オリンピック、卓球の新種目、混合ダブルスの決勝で日本の水谷隼選手と伊藤美誠選手のペアが中国のペアにゲームカウント4対3で勝って金メダルを獲得。
一方、敗れた中国の選手は「チームに申し訳ない」と涙を流しながら取材に応じ、中国チームに与えた衝撃の大きさを感じさせました。

笑顔と涙

表彰式のあと、選手が取材を受けるミックスゾーン。
涙を流す中国選手の隣で、満面の笑顔でインタビューに答える水谷隼選手と伊藤美誠選手。これまで何度となく跳ね返されてきた中国の厚い壁を日本が打ち破った現実を感じる光景でした。

東京オリンピックの卓球、新種目の混合ダブルスで水谷選手と伊藤選手が日本卓球界初となる金メダルを獲得。
勝因は、世界屈指の威力を誇る中国の男子選手のボールに対応した伊藤選手と、それをアシストした水谷選手の技術力でした。

“最強中国”

2008年の北京大会から前回のリオデジャネイロ大会までの3大会のすべての種目で金メダルを独占してきた中国。今大会も男女シングルスと男女団体、そして、混合ダブルスとすべての種目での金メダルを目指して乗り込んできました。

伊藤選手が3種目に出場する日本とは違い、中国は日程が近い混合ダブルスとシングルスの選手は別々に分け、許※キン選手と劉詩※ブン選手は混合ダブルスと団体のみに出場。2人はオリンピックの日程の前半は、混合ダブルスに集中できる態勢でした。

勝因

中国の男子の許選手は、現在ではあまりいないペンを握るようにラケットを握る「ペンホルダー」。フォアハンドのドライブはほかの選手とは違った独特の軌道で大きく曲がり、世界屈指の威力を誇ります。男子選手でも打ち返すのが難しい許選手のボールを混合ダブルスでは女子選手が返さなければいけません。

決勝では、伊藤選手も序盤は許選手のボールの威力に押されて対応にてこずり、2ゲームを連取されました。
しかし、第3ゲームに入ると、許選手のボールに徐々に慣れた伊藤選手が返す場面も多く見られ、長いラリーでも力負けせずに打ち返して中国ペアのリズムを崩しました。

許選手
「伊藤選手は自分のボールにだんだんと慣れてきたと感じていた。伊藤選手にはほかの男子選手よりも迷いなく、諦めずに打ち返す強い精神力がある」

伊藤選手
「とにかく気持ちで負けてはいけないと思ったし、私自身が許選手のボールに対応できたことによって、どんどん流れが変わっていった」
「水谷選手が思い切って攻めてくれたり、厳しいコースをついてくれたりしたことで、許選手に100%の力で打たせないことができた」
許選手の前に打つ水谷選手が厳しいコースをついて許選手の体勢を崩すなど許選手のボールの威力を少なくして、伊藤選手が返しやすくなるようにアシストしていたのです。

これまであと1歩のところまで追い詰めながら中国の前に屈してきた日本。水谷選手は表彰式後の記者会見でこう話しました。
水谷選手
「昔も今も中国の壁は皆さんが思っているより高い。これから先もずっと中国という壁はものすごく高いと思う。その中で今回は少し活路を見いだせたというか、オリンピックという特別な舞台だと、中国選手も同じ人間だと感じた。ただ中国を越えるというのはここまで苦しいんだなというのを感じた」

決勝後、観客席にいた中国卓球協会の劉国梁会長は、その場からなかなか立ち上がることができず、敗れた劉選手は「最初の種目で金メダルを取れずにチームに申し訳ない」と涙を流しながら取材に応じ、中国チームに与えた衝撃の大きさを感じさせました。
このあとも続く男女のシングルスと団体でも、日本が打倒中国を果たすのか。それとも中国が卓球王国の威信をかけてリベンジを果たすのか。
今後の戦いからも目が離せません。

(※キンは「日」に「斤」。※ブンは「雨」の下に「文」)