オリンピック 柔道男子73キロ級 大野将平 金メダル 2連覇

東京オリンピック柔道男子73キロ級で、大野将平選手が金メダルを獲得しました。大野選手は前回のリオデジャネイロ大会に続く金メダルで、2連覇を果たしました。

2連覇を目指す大野選手は、初戦の2回戦と続く3回戦をいずれも一本勝ちし、順当に準々決勝に進みました。

準々決勝は前回大会の決勝と同じ相手、アゼルバイジャンのルスタム・オルジョフ選手と対戦しました。

大野選手は開始2分すぎに内股で技ありを奪い、3分すぎには小内刈りで再び技ありを奪って「合わせ技一本」で勝ち、貫禄を見せました。

続く準決勝はモンゴルの選手に延長戦の末、小外がけで技ありを奪って決勝に進みました。

迎えた決勝は、ジョージアのラシャ・シャフダトゥアシビリ選手と対戦しました。
大野選手は序盤から積極的に攻めたものの投げ技などを警戒して距離を取ろうとする相手に対して技を決めきれず、決勝も延長戦にもつれ込みました。

延長戦でもしっかりと両手で組んで攻め続けた大野選手は、延長5分半ごろに支え釣り込み足で技ありを奪って勝って金メダルを獲得しました。

前回、リオデジャネイロ大会で金メダルを獲得した大野選手は、2連覇を果たしました。オリンピックの2連覇は、日本の柔道では7人目です。

今大会の日本柔道は、24日の競技初日から26日まで出場した男女合わせて6人全員がメダルを獲得しました。このうち男子は3日連続の金メダルです。

柔道男子73キロ級は、銀メダルがジョージアのラシャ・シャフダトゥアシビリ選手。銅メダルが韓国のアン・チャンリン選手とモンゴルのツォグドバータル・ツェンドオチル選手でした。

ともに涙…

大野選手は2連覇を決めて畳を降りた直後、コーチボックスから出てきた日本代表の金丸雄介コーチと抱き合いながら笑みをこぼし、ほっとした様子を見せました。

また男子日本代表の井上康生監督と抱き合ってともに涙を流しました。

井上監督は、選手時代にみずからも連覇を目指しながら果たせなかったことから「自分なんかを簡単に超えていってしまった。しかし、リオデジャネイロ大会以降、ここまで来るのに苦しいことも相当あったと思う。その中で、きょうの戦いを見て監督という立場を超えて本当に感動した。『お前は今まで自分が見てきた中で最高の柔道家だ』と声をかけた」と最大級の賛辞を送っていました。

“自分は何者なのかを確かめるため戦った“”

オリンピック2連覇を果たしたあと表彰式に臨んだ大野選手は、笑顔を見せることなく落ち着いた表情で表彰台に上がりました。

表彰式でプレゼンターを務めたIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長から金メダルを差し出されことばを交わしたあと、自分でメダルを首にかけていました。

大野選手は表彰式のあとのインタビューで「子どものころ好きで始めた柔道がリオ大会以降、嫌いになって、何のために稽古をやっているのだろうと自問自答する日々でした。この大会も自分は何者なのかを確かめるために、証明するために戦うことができました」と連覇をかけて戦ってきた日々を振り返りました。

また金メダルを誰に見せたいですかという質問に対しては「母親に見せたいです」と話しました。

そして最後に子どもたちに向けて「つらさやしんどさを乗り越えた先に学べるものがあると思うので、日々の稽古を頑張ってほしいです」とエールを送っていました。

大野「心が動く瞬間があれば 光栄」

オリンピック2連覇を果たした大野将平選手は「厳しい戦いが続いて、オリンピックで理想の柔道を体現することの難しさを感じた。自分自身、まだまだだと思った」と振り返りました。コロナ禍での開催となった今大会については「アスリートの姿を見て、心が動く瞬間があれば、光栄に思う」と話していました。
柔道家としての礼儀正しさに、圧倒的な強さで、世界中の柔道選手から尊敬のまなざしを受けてきた大野将平選手。

期待にたがわぬ強さを見せつけて2連覇を達成するとともに日本柔道の神髄を再び世界に知らしめました。

2016年、前回のリオデジャネイロ大会を圧倒的な強さで制し金メダルを獲得した大野選手。

優勝してもすぐには喜びのしぐさを出さず、深々と礼をした姿は世界から称賛され、日本では道徳の教科書の題材にもなりました。

ここからの5年間、大野選手は「2016年のひとつ完成した大野将平がいちばん最大の最強の大きな敵。そこにいかに勝ち、超えていくか」と話し自分との戦いがテーマとなりました。

稽古では「自分で自分を倒す感覚」と例えるようにあえて自分不利の組み手を作ってからの攻めを繰り返したり、本来とは逆の左の組み手で一日中、稽古をしたりしてきました。

大野選手を徹底的に研究しまともに組もうとしない相手に対しても、いかにそこから組み手争いを制し、両手で組んで投げる日本伝統の柔道に持ちこむか。

地道な稽古をひたすら繰り返して来ました。

しかし、その大野選手も去年は新型コロナの感染拡大の影響を受け、試合から遠ざかることでモチベーションの維持に苦労しました。

海外選手と本気で組み合う機会を求めてことし5月に向かったのはロシアでした。

この国際合宿で、1つ上の階級のオリンピック、金メダリストなどと試合を想定した稽古をしました。

大野選手は「自分の戦ってきた場はなまぬるくなかった。海外の遠征をへて時が満ち、今、戦いたいと思えた」とこの合宿で再び心に火がついたと話しています。

2014年から海外選手相手にはけがによる不戦敗を除いて負けなし。

今回も圧倒的な金メダル候補として臨んだ本番で期待にたがわぬ戦いぶりを見せ、日本柔道7人目のオリンピック連覇を達成。

柔道の聖地、日本武道館で「柔道スタイル・姿勢・組手・技、すべてで差をつけて圧倒的な差をつけて勝つ」という柔道家のきょうじを世界に示しました。

大野 7人目のオリンピック2連覇

大野選手は、日本の柔道では7人目となるオリンピック2連覇を果たしました。男子では4人目です。
これまでに2連覇を達成した6人です。
▼斉藤仁さんは、男子100キロを超えるクラスで、1984年のロサンゼルス大会と1988年のソウル大会で金メダルを獲得し、日本柔道で初めてのオリンピック2連覇を成し遂げました。
▼谷亮子さんは、女子48キロ級で2000年のシドニー大会と2004年のアテネ大会で金メダルを獲得。
▼野村忠宏さんは男子60キロ級で、1996年のアトランタ大会と2000年のシドニー大会で連覇を果たし、さらに2004年のアテネ大会でも金メダルを獲得し3連覇を果たしました。日本柔道でこれまで3連覇を果たしたのは野村さんだけです。
▼谷本歩実さんは女子63キロ級で、
▼内柴正人さんは男子66キロ級で、
▼上野雅恵さんは、女子70キロ級で、いずれも2004年のアテネ大会と2008年の北京大会で金メダルを獲得し2連覇を果たしました。