世界自然遺産に登録 奄美大島と徳之島 沖縄本島北部など

ユネスコの世界遺産委員会は、鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にある森林などを世界自然遺産に登録しました。

新たな世界遺産を決めるユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会は、日本時間の26日午後6時半すぎからオンライン形式で審議を行い、鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島にある森林などを、新たに世界自然遺産に登録しました。

奄美大島と徳之島、それに沖縄本島北部と西表島にあるおよそ4万3000ヘクタールの森林などについて、政府は「アマミノクロウサギ」や「ヤンバルクイナ」、「イリオモテヤマネコ」といった固有の生き物が生息し、生物の多様性が残る貴重な地域だとして、世界自然遺産への登録を目指してきました。

国内の世界自然遺産はこれで5件目になります。

世界遺産委員会は、27日には北海道と青森県、岩手県、それに秋田県に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、世界文化遺産への登録を審議する予定です。

鹿児島県 塩田知事「しっかり環境の保全と活用に取り組む」

鹿児島県庁では、世界遺産登録が決定する瞬間を見届けようと塩田知事や県の幹部などおよそ40人が集まりました。

関係者らは午後6時すぎから世界遺産委員会の審議の様子をインターネット中継で静かに見守りました。

午後6時40分ごろ世界遺産への登録が決定すると、集まった人たちからは大きな拍手が上がりました。

そして会場に用意されたくす玉が知事らの手で割られると「祝 世界自然遺産登録決定」と書かれたのぼりが中から現れ、拍手とともに祝福されました。

その後オンラインで沖縄県や奄美市の会場とつなぎ、沖縄県の玉城知事やそれぞれの市町村長らがあいさつし、喜びの気持ちを共有していました。

塩田知事は「コロナがなければ、決定を飛び上がって喜んだと思うが、おとなしく拍手で喜びをかみしめた。10数年にわたる国や地域の取り組みが評価され喜ばしく思うし、沖縄県と連携しながらしっかりと環境の保全と活用に取り組みたい」と話していました。

沖縄県 玉城知事「持続可能な地域づくりに取り組んでいく」

沖縄県内では、候補地となっている、国頭村など県内4か所で、ユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会の審議の様子をオンラインで見守りました。

このうち、沖縄県庁では、玉城知事や県の幹部が集まり、登録が決まった瞬間、一斉に拍手を送って喜び合いました。

そして、玉城知事が「希少な固有種が数多く生息・生育する自然環境が非常に豊かな地域であり、登録基準である『生物多様性』に関する顕著な普遍的価値が認められ本当に喜ばしいことだ。この貴重な自然環境を百年、千年後の子々孫々に引き継いでいくため、引き続き、国、鹿児島県や地元町村と連携し、世界自然遺産にふさわしい持続可能な地域づくりに取り組んでいく」と決意を述べました。

このあと、東京の環境省や鹿児島県、それに沖縄県内4つの会場で同時に登録を祝うくす玉が割られ、喜びを分かち合いました。

このほか会場では、いずれも沖縄県出身で俳優の仲間由紀恵さんや歌手の夏川りみさんなどから寄せられたお祝いのビデオメッセージが流されました。

沖縄県竹富町長「重要な節目だがゴールではない」

沖縄県竹富町役場には、町長など5人が集まり、オンラインで審議の様子を見守り、直径25センチのくす玉を割って世界自然遺産への登録決定を祝いました。

西大舛高旬町長は「われわれが先祖から受け継いできた西表島の豊かな自然環境が選ばれ誠に喜ばしいかぎりです。しかし、すでに自然環境保全上の課題を抱えていて、遺産登録によって自然が失われることはあってはならない。遺産登録は町にとってゴールではなく、これを契機に一層取り組みを加速させ今後も島の価値を世界に引き継いでいくために多くの関係機関と共に取り組んでいきたい」と話していました。

鹿児島 奄美市長「新しい歴史の節目」

世界遺産の登録を受けて、奄美市の朝山毅市長は「新しい歴史の節目となりました。一度推薦を取り下げられたが国や県、すべての方々が指摘された事項を整えたからこそきょうが喜びの日となりました。関係機関と協力しながら世界の宝を守り、次の世代にもつなげていきたい」と話していました。

鹿児島県内の3人の町長があいさつ

世界自然遺産の登録決定を受け、徳之島の3つの自治体の町長などはそろってくすだまを割り、それぞれあいさつをしました。

徳之島町の高岡秀規町長は「先人の残した自然の価値が認められ誇りに思う。奄美・徳之島と沖縄が今後、深い連携で結ばれ、離島における成功事例が作られることを期待している」と話しました。

天城町の森田弘光町長は「徳之島の希少動植物を守っていくためにこれから私たちがすることはたくさんある。島民の意識の醸成と適切な観光管理を行いながら、未来へと引き継いでいきたい」と話しました。

そして伊仙町の大久保明町長は希少な野生動物が交通事故に巻き込まれる問題などを指摘したうえで「緩衝地帯をどのようにしていくか、私たちの知恵も試されている。これから100年、200年先を考えて、これからがスタートだと思います」と話していました。

自然写真家「ここからが本当の意味での始まり」

世界遺産の登録を受けて、奄美の自然を40年以上見続けてきた自然写真家の常田守さんは「やっと、一般の人が大事にしないといけないと考える時代がやってきたんだと、テレビの前で昔を思い出していました」と昔を振り返りながら喜びを語りました。

そのうえで今後について「外来種問題など解決しないといけないことはたくさんある。登録は終わりではなく、ここから本当の意味での始まりです。これから新たなことを始めていかないと島の未来はない」と話していました。

徳之島 島の情景歌う 「ワイド節」で祝う

徳之島の天城町防災センターでは奄美・徳之島の動物などがデザインされたオリジナルのはっぴに身を包んだ関係者が集まり、午後6時半から始まった世界遺産委員会の審議の様子をインターネット中継で見守りました。

世界遺産への登録が決定すると集まった人からは大きな歓声が沸き上がりました。

そして闘牛に沸く徳之島の情景を歌った「ワイド節」を太鼓をたたきながら踊り、世界自然遺産への登録を祝いました。

菅首相ビデオメッセージ「世界に魅力を発信していきたい」

菅総理大臣は、総理大臣官邸のホームページにビデオメッセージを掲載し「心からうれしく思う。多くの皆様のご尽力に深く感謝申し上げ、貴重な自然を守り、育んでこられた島の方々に心から敬意を表する」としています。

そのうえで「これらの島々には地球上のほかの地域では見ることのできない多様な固有種、絶滅のおそれのある生き物が今もまだ息づいている。多くの個性的な生き物が原生的な自然の中だけでなく、民家の庭先など人々の生活のすぐそばにも現れる。関係者の皆さんと一緒になって世界に誇ることのできる貴重な環境をしっかりと守って次世代に引き継ぎ、世界に向けて魅力を発信していきたい」としています。

茂木外相が談話「世界の人々の理解深まるよう取り組む」

茂木外務大臣は談話を発表し「登録された『奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島』は、多くの固有種や絶滅危惧種などの独特な陸域生物にとってかけがえのない地域であり、独特で豊かな生物多様性の保全にとって重要な生息・生育地を含んでいる。今般の世界遺産登録を大いに歓迎するとともに、登録を契機としてこれらの資産の価値が一層広く世界に知られることを期待しており、外務省としても世界中の人々に日本の世界遺産の価値に対する理解が深まるよう取り組んでいきたい」としています。

小泉環境相が談話「質の高い保全と管理を」

奄美大島と徳之島、それに沖縄本島北部と西表島にある森林などが世界自然遺産に登録されたことについて小泉環境大臣は談話を発表し、「コロナ禍での明るいニュースとなり、心からうれしく思います。この島々の照葉樹林では大陸で絶滅した生き物が箱舟のように生き続けています。個性的な生き物が暮らす唯一無二の自然の価値が今回国際的にも認められたと言えます」としています。

そのうえで日本が世界自然遺産に推薦する候補地となってから18年間にわたる長い道のりがあったことに触れ、「この道のりは島の宝を世界の宝として守るための方法を皆で考える歩みでした。これからは世界自然遺産にふさわしく、質の高い保全と管理を一層充実させなければなりません。手を携えて世界の宝であるこのすばらしい自然の価値を将来に引き継ぐための道を歩んで行きましょう」としています。