競技会場近くの病院 発熱患者急増で診察室満室のケースも

東京オリンピックは24日から競技が本格的に始まっていますが、新型コロナウイルスに対応する医療現場は厳しい状況が続いています。競技会場近くの病院では発熱患者が急増して診察室が満室になるケースが相次ぎ、救急車で対応する場面もみられるなど、影響が出ています。

東京 江戸川区の東京臨海病院では救急患者を受け入れとともに、発熱がある人などのPCR検査などを行う「発熱外来」を行っています。

高熱があるなど新型コロナの感染が疑われる患者は、気圧を調節しウイルスを飛散させない「陰圧室」で診察していますが、今月になって5つある「陰圧室」が満室になるケースが相次いでいるということです。病院が撮影した映像には「陰圧室」が満室のため、救急車に防護服を着た医師が乗り込み、車内で点滴を行う様子がみられました。

この20代の男性は新型コロナに感染して自宅で療養していましたが、体調が悪化し搬送されてきました。入院後、酸素を投与する治療が続けられているということです。

25日からは病院の近くにある会場でカヌー・スラロームの競技が始まり、熱中症などで大会関係者が搬送されてくる可能性もあるということです。

佐藤秀貴救急科部長は「コロナ疑いの患者が発熱外来に押し寄せている。そこに熱中症や脳卒中の患者も搬送されてきたとしても、受け入れる場所がなくなってきている。いわゆる医療崩壊、ふだんなら医療を受けられる方が受けられなくなることを危惧している」と話しています。

そのうえで「たくさんの人が会場周辺やブルーインパルスを見ようと集まっていた。以前と比べて慣れてしまっているように感じるので、私たちは患者が増えることを覚悟しないといけないが、人が集まるところに行かないようお願いしたい」と話していました。

東京消防庁の電話相談窓口 相談件数1.5倍に

東京消防庁の電話相談窓口「#7119」に寄せられた発熱などの相談件数が今月に入って増加しています。

相談件数の7日間平均は1か月前は60件前後でしたが、22日時点では91.1件となり、およそ1.5倍に増えました。すでに第4波のピークの89.9件を上回っています。

都の担当者は「感染が拡大していることが相談が増えている背景にある」と話しています。

また、都の専門家は今週のモニタリング会議で「今後も感染拡大が続く可能性があり、警戒が必要だ」としています。

東京都内の医療機関ではワクチン接種続く

東京オリンピックの開幕から一夜明け、24日から競技が本格的に始まるなか、都内の医療機関などではワクチン接種が行われています。

このうち、東京 東久留米にある東京都医師会の尾崎治夫会長のクリニックでは60人がワクチン接種を受けました。

24日接種した人のほとんどが65歳以上の高齢者で、2回目の接種だということです。待合室では接種を終えた人たちが東京オリンピックの中継をテレビで見ていました。

70代の女性は「2回目の接種が終わって少しほっとしています。オリンピックが始まって出歩きたい気持ちになりますが私は感染予防のために外出を控えて対策を続けていきたい」と話していました。
尾崎会長は「オリンピックが始まり、選手を応援したい気持ちと感染者が増えるのではという気持ちで複雑な心境です。医療従事者としてはオリンピックが始まったからといって特別なことはなく、一般診療をしながらワクチン接種を進めていくだけです。皆さんには引き続き感染対策を続けてほしい」と話していました。