オリンピック開会式 組織委 橋本会長・IOCバッハ会長スピーチ

東京オリンピックの開会式。205の国と地域の選手団が入場したあと大会組織委員会の橋本聖子会長とIOC(=国際オリンピック委員会)のバッハ会長があいさつしました。あいさつの全文です。

橋本会長 スピーチ全文

天皇陛下のご臨席を仰ぎ、ここに、東京2020オリンピック競技大会の開会を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。IOCバッハ会長はじめ、委員の皆さま、各国からご列席賜りましたご来賓の皆さま、この開会式をご覧になっている世界の皆さま、日本へようこそ、ようこそ東京へ。心から歓迎申し上げます。
東京大会は、オリンピック史上初の延期という大きなチャレンジの中で、本日、開幕します。多くの方々の手によって、一つ一つ、希望が繋がれ、今日この日を迎えました。
世界中がコロナ禍の厳しい状況にある中、医療従事者の皆さまをはじめ、この困難を乗り越えようと日々尽力されている全ての方々へ、敬意と感謝を申し上げます。
そして、この大会の開催を受け入れていただいた日本の皆さま、開催実現のために、ともにご尽力をいただいたIOC、日本国政府、東京都、関係者の皆さま、ありがとうございます。
振り返れば、東京にオリンピックを迎えようとしていた10年前、東日本大震災によって、私たち日本人は大きな困難と、深い苦しみの中にありました。
立ち上がり、前に進む力も失いかけていました。その時、世界中の方々が手を差し伸べてくださいました。「さあ、共に前に進もう」と。
今、あれから10年が経ち、私たちは、復興しつつある日本の姿を、ここにお見せすることができます。改めて、全ての方々に感謝申し上げます。
あの時、社会においてスポーツとアスリートがいかに役割を果たすことができるかが問われました。そして、こんにち、世界中が困難に直面する中、再びスポーツの力、オリンピックの持つ意義が問われています。
世界の皆さん、日本の皆さん、世界中からアスリートが、五輪の旗の元に、オリンピックスタジアムに集いました。互いを認め、尊重し合い、ひとつになったこの景色は、多様性と調和が実現した未来の姿そのものです。
これこそが、スポーツが果たす力であり、オリンピックの持つ価値と本質であります。そしてこの景色は、平和を希求する私たちの理想の姿でもあります。
オリンピックとともに、休戦決議期間が始まりました。平和という理想に、まだ遠い現実に生きている人々にとって、わずかでも、平穏を求める救いとなるのではないでしょうか。これもまた、オリンピックだけが持つ、重要な価値であります。今この瞬間も戦火に苦しみ、紛争に翻弄されている人々に対して、平和の祈りを捧げます。
アスリートの皆さん。この舞台に集まっていただき、ありがとうございます。
困難な中でも決して立ち止まることなく、前を向いて、努力を続ける姿に、私たちは励まされて今があります。
同じアスリートして私は、世界の全てのアスリートを誇りに思います。そして讃えたいと思います。自らを信じて、一心に進んできた、これまで皆さんが描いてきた軌跡は、自分自身の未来に、大きな、そしてかけがえのない宝物になります。
自信を持って舞台に上がってください。今こそ、アスリートとスポーツの力をお見せするときです。その力こそが、人々に再び希望を取り戻し、世界を一つにすることができると信じています。世界は皆さんを待っています。
私たち組織委員会は、半世紀ぶりとなるこの東京大会が、後世に誇れる大会となるよう、最後までこの舞台を全力で支えてまいります。
ありがとうございました。

バッハ会長 スピーチ全文

(英語で)
天皇陛下親愛なるアスリートの皆さま菅義偉内閣総理大臣、小池百合子東京都知事、橋本聖子東京2020大会組織委員会会長、ご来賓の皆さま、そしてお集まりの全ての皆さま、東京2020オリンピック競技大会へようこそ。
今日という日は希望の瞬間です。そうです、私たちが想像していたものとはまったく異なっています。私たちが今ここに集っているこの瞬間を大切にしましょう。
205の国と地域のオリンピック委員会と難民選手団のアスリートたちは、選手村の一つ屋根の下で生活しています。
これが、ひとつになるスポーツの力です。これは、連帯のメッセージ、平和のメッセージ、そして困難から立ち上がる力のメッセージです。これは、私たちのさらなる旅に希望を与えます。
私たちが皆でここに集うことができるのは、私たちをホストいただいている日本の皆さまのおかげです。心からの感謝と敬意を表したいと思います。
組織委員会、そしてあらゆる日本の関係機関が、大変素晴らしい準備をしてくださいました。オリンピックに出場するアスリートたちに代わり、心から感謝を申し上げます。
10年前、皆さまは卓越した東京1964オリンピック競技大会に続いて、オリンピックの精神を再び東京に戻すための旅にに漕ぎ出しました。
それは、東日本大震災からの復興と、コロナウイルス感染症という、これまでにない挑戦を伴う困難な旅でした。
だからこそ、私たちの感謝と皆さまへの称賛の気持ちは一層大きくなります。私たちは、この感染症を封じ込めるために尽力されている、縁の下のヒーローたち、医師や看護師、そしてすべての日本の皆さまに感謝いたします。
そして、ボランティアの皆さま、あらゆる課題に直面しながらも、心から私たちを歓迎してくれた多くの皆さまに深く感謝いたします。
皆さまは、日本の最高のアンバサダーです。ボランティアの皆さま、本当にありがとうございます!
(日本語で)
東京2020オリンピック大会を開催できるのは、日本の皆様のおかげです。心から感謝しています。
(英語で)
日本の皆さまの不屈の精神は、オリンピックアスリートの皆さまにも当てはまります。このオリンピックという旅において、皆さまは、私たちと同様に、感染拡大で大きな不確実性の中で生活をされてきました。
いつまたトレーニングができるかも分かりませんでした。明日、コーチに会うことができるかどうかも分かりませんでした。チームメイトが次の大会にともに参加できるかどうかも分かりませんでした。
それどころか次の大会が開催されるかどうかも全く分かりませんでした。
皆さまはもがき、耐え、決してあきらめず、そして今日、皆さまは、オリンピックの夢を実現しました。
皆さまは真のオリンピックアスリートです。皆さまは、私たちIOCとすべてのオリンピックコミュニティをインスパイアしました。皆さまのように戦い、皆さまのためにこの瞬間を実現するため、私たちをインスパイアしました。だからこそ、私はともに力を合わせてくれた、すべての国と地域のオリンピック委員会、国際競技団体、すべてのTOPパートナー、パートナー、放送権者に、心からの感謝を表したいと思います。これは私たち皆を真のコミュニティ、すなわちオリンピックコミュニティにしました。
親愛なるアスリートの皆さま。このオリンピックコミュニティは、今夜、そしてオリンピック競技大会期間中、皆さまと共にあります。世界中から何十億もの人々が、画面に夢中になり、皆さまへ熱狂と、エネルギー、声援を送ります。
私たちのオリンピックコミュニティは、私たちがともに立ち上がる時にのみ、この時代の数々の大きな困難に対処できることを学びました。
私たちが学んだことは、一層の連帯が必要だということです。社会の中の一層の連帯、そして、社会間の一層の連帯が必要です。連帯とは、単なる尊敬や差別がないこと以上のものを意味します。連帯とは、助け合い、分かち合い、思いやることを意味します。これは、私たちが、オリンピックコミュニティで行っていることです。
私たちは、立ち上がり、連帯し、オリンピック大会を実現し、世界の各国・地域のオリンピック委員会から、規模の大小やお金の有る無しに関わらず、すべてのオリンピックスポーツから、皆さんのオリンピック大会への参加が実現しています。
この連帯は、スポーツを通じて世界をより良い場所にするという私たちの使命を加速します。この連帯のおかげで、私たちは今夜共にここにいることができます。
連帯はまた、3000年の歴史を持つオリンピックの平和へのコミットメントを映しています。連帯がなければ、平和はありません。連帯と平和のこのオリンピックの精神で私たちはIOC難民選手団を歓迎いたします。
親愛なる難民アスリートの皆様。皆さまの才能と人間的な精神で、皆さまは難民が社会にもたらすものを示しています。皆さまは、暴力、飢餓、または、周りと異なるという理由だけで故国から逃れなければなりませんでした。
今日、私たちは両手を広げて皆さまを歓迎し、皆さまに平穏なホームを提供します。
私たちのオリンピックコミュニティへ、ようこそ。このオリンピックコミュニティでは、私たちは皆平等です。私たちは皆、同じルールを尊重します。
このオリンピックの経験で、私たちは、自らよりも大きな何かの一部であることに気づき、私たち自身を謙虚な姿勢にしてくれます。
私たちは世界を結びつけるイベントの一部です。私たちは、多様性の中で団結することで、私たち自身の総和よりも大きくなります。私たちはいつも一緒に強くなれます。だからこそ、私たちは、アスリートの皆さまにとても感謝しています。
新しい宣誓に込められた、連帯、差別のないこと、ドーピングのないスポーツ、包摂と平等というオリンピックの価値に対してのコミットメントに対し、感謝を申し上げます。我々はより速くいくほかありません、より高く目指すほかありません、より強くなるほかありません。連帯して、ともに立つならば。
これが、IOCが、オリンピックのモットーを私たちの時代に適応させた理由です。
より速く、より高く、より強く、ともに。
この一体感は、すなわち、パンデミックの暗いトンネルの終わりにある光です。
パンデミックは私たちを分断しました。お互いに距離をとらせます。愛する人から離れることすら求めます。この分断は、このトンネルをとても暗くしました。
しかし、今日、あなたが世界のどこにいても、私たちはこの瞬間を共に共有することで団結しています。聖火は、この光をより明るく輝かせます。
ここで、私は天皇陛下をお招きし、第32回近代オリンピアードの東京2020オリンピック競技大会を開くことを宣言いただくことを大変光栄に思います。
(日本語で)
開会宣言をここに謹んで天皇陛下にお願い申し上げます。