タイ 新たに1万4575人感染 過去最多を更新 政府対応に批判

新型コロナウイルスの感染が拡大しているタイでは、23日、新たな感染者数が1万5000人近くとなり、過去最多を更新しました。タイ政府は公共施設を閉鎖するなど行動制限をさらに強化しましたが「ワクチンの調達が遅い」などと政府の対応に批判の声が高まっています。

タイでは新型コロナウイルスの感染者数が連日1万人を超えています。

タイ政府は今月12日から首都バンコクなどで夜間の外出を禁止し、県をまたぐ移動を制限するなどの措置を取っていますが、感染拡大に歯止めがかからず、23日に発表された1日の感染者数は1万4575人と過去最多を更新しました。

タイ政府は行動制限をさらに強化する必要があるとして、23日からバンコクなどで公園や図書館などの公共施設を閉鎖したほか、理容室や美容室などの営業を禁止しました。

美容室で働く女性は「政府の方針が定まらず、遅い対応に失望している。状況がいつ収まるのか見通しも立たない」と話していました。

SNS上では「ワクチンの調達が遅い」などと政府を批判する声が相次いで投稿されるようになっていますが、警察は22日、ネット上で政府を批判した18歳の歌手の女性に対し、プラユット首相の名誉を棄損したとして2000バーツ(日本円でおよそ6700円)の罰金を科したと明らかにしました。

市民の間では意見を表明する自由までも奪われているとして、政府を批判する声が一段と高まっています。

感染拡大でバーツが急速に値下がり

感染拡大によってタイの経済の先行きに懸念が強まっていることで、外国為替市場ではタイの通貨 バーツが急速に値下がりしています。

外国為替市場ではこのところタイの通貨・バーツを売る動きが強まっていて、23日は1ドル=32.9バーツと1年3か月ぶりの安値水準となりました。

バーツはドルに対して1か月前と比べておよそ5%、ことしに入ってからはおよそ9%、それぞれ値下がりし、急速に通貨安が進んでいます。

新型コロナウイルスの感染拡大が続き、主力産業の観光業への影響が避けられなくなるなど経済の先行きへの懸念が強まっているためです。

市場関係者は「タイでは政府への抗議活動が再び出ていることもあって、先行きへの懸念は強い。バーツは世界の通貨の中でも売られる動きが特に目立っていて、物価の上昇などの影響が懸念される」と話しています。

市場では、景気回復が続くアメリカの大規模な金融緩和策が転換されれば、景気回復が遅れる新興国で一段の通貨安や資金流出につながるおそれがあると指摘されていて、今後の新興国通貨の動きに警戒感が出ています。