自治体ワクチン配分 “在庫あれば8月後半まで1割削減” 国方針

新型コロナウイルスのワクチンについて、国は一定量の在庫があると見なした自治体には人口に応じた配分を来月後半まで1割削減する方針で、週明けに割り当てを示します。一方、都内の自治体からは独自に調査しても余っているワクチンはなかったとして削減しないよう求める声が上がっています。

厚生労働省は、来月前半に全国に供給するファイザーのワクチンのうち、人口に応じて割り当てる「基本計画枠」については「VRS」=ワクチン接種記録システムのデータをもとに、一定量の在庫があると見なした市区町村への配分を1割削減しました。

削減の対象となったのは合わせて46の市と区で、このうち東京 世田谷区は、どの程度の在庫があるのか独自に調査しました。

それによりますと、今月8日の時点で配送されたワクチンはおよそ56万回分で、国の配分方針ではVRSに接種記録が入力されていた分を除くおよそ34万回分が在庫と見なされますが、このうちおよそ30万1000回分は集団接種や個別接種で予約されている分だったということです。

また、残るおよそ3万9000回分もVRSへの入力が追いついていなかった分で、すでに接種に使われていたということです。

世田谷区は「予約の分のワクチンも確保しておかなくてはならず、余っているワクチンはない。配分が減ると新たな接種予約の受け付けができなくなる」として、基本計画枠を削減しないよう求めています。

また、足立区でも独自に調査した結果、在庫とされるワクチンの大半がすでに予約が入っている接種の分などで余っているワクチンはほとんどなかったということです。

自治体では希望する量のワクチンが届かず接種の新規予約を一時停止する動きなどが相次いでいますが、国は全国に配送したファイザーとモデルナのワクチンのうち、VRS上の記録ではおよそ4割に当たる4348万回分余りが今月18日の時点で接種に使われていないとしています。

このため、来月後半も一定量の在庫があると見なした市区町村への配分を1割削減する方針で、今月26日に割り当てを示すことにしています。

厚生労働省は「ほかの自治体からも余っているワクチンは限られているという声が寄せられている。来月末以降はすべてのワクチンを都道府県に配送したうえで市区町村へ配分してもらう方式に切り替えるので、接種状況などを踏まえて調整してほしい」としています。