“4連休含め夏休みは自宅で過ごして” 厚労省専門家会合

東京オリンピックの開幕や4連休を前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれました。感染が急拡大している東京を中心とした首都圏だけでなく、関西など多くの地域で感染者数が増加傾向になっているとして、これ以上の感染拡大を防ぐために22日からの4連休を含め、夏休みは家族などふだん会う人と自宅で過ごしてほしいと呼びかけました。

21日開かれた専門家会合では、現在の感染状況について「東京を中心とする首都圏だけでなく、関西をはじめ、多くの地域で増加傾向になっている」と評価し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されているにもかかわらず各地で感染者数が急速に増加していると指摘しました。

地域別にみると、東京都では、繁華街などでの夜間の人出は緩やかな減少が続いているものの、急速な感染拡大が続き、20代から40代が感染者の多くを占めています。

入院や入院調整中の人の数は増加傾向で、感染者数がこのまま増えれば入院や療養の調整が遅れ、一般の医療も含めて負担が強まることが懸念されるとしています。

東京都の周辺の埼玉県、神奈川県、千葉県でも感染者数が急速に増加し、いずれも30代以下が6割を占めるなど、若い世代で感染が広がっていて、首都圏では東京都を中心に当面は感染の拡大が強く懸念されるとしています。

沖縄県は、減少が続いていた新規感染者数が再び増加に転じているほか、関西でも大阪府で感染者数が急速に増加し夜間の人出も増加が続くなど、今後も感染拡大が続くと分析しています。

さらに、感染力が強いインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」について国立感染症研究所の推定では、すでに東京都では感染全体の60%余り、北海道では90%近くを占めるに至ったとしていて、引き続き監視体制を強化し、拡大を可能なかぎり抑えることが必要だとしました。

専門家会合は、首都圏で感染拡大が起きている中で、連休があるとこれまでにも各地で感染拡大する傾向が見られているとして、22日からの4連休を含めた夏休みで感染をさらに広げないために、家族などふだん会う人とできるだけ自宅で過ごすよう呼びかけました。

また、職場や会食、学校、家庭などの場での感染が継続しているため、軽いかぜのような症状でも早めに受診し、簡易キットを活用した抗原検査などを進め、症状があるときには家庭でもマスクをつけることが重要だと呼びかけています。

さらに、感染拡大が続くことを前提に、各自治体は宿泊療養施設の確保や自宅療養の環境整備を含め、医療体制の確保が必要だと強調しました。

デルタ株 東京6割・北海道9割か

国立感染症研究所は、21日開かれた厚生労働省の専門家会合で、「デルタ株」でみられる「L452R」の変異が含まれたウイルスがどれくらいの割合を占めているか推定した結果を示しました。

研究所は、民間の検査会社6社の「変異株スクリーニング検査」のデータを元に推定していて、東京都ではデルタ株などがすでに64%に上っていて、今月末にはおよそ80%となり、来月下旬にはほぼすべて置き換わるとしています。

首都圏の東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県でもすでに61%となっていて、来月初めにはおよそ80%を占め、来月下旬にはほぼすべて置き換わるとしています。

また、北海道では先月までほとんど確認されていませんでしたが、今月に入って急速に広がりすでに88%を占めているとしています。

デルタ株は感染力が強いため、感染者が急増して入院患者が増え、医療のひっ迫につながるおそれが指摘されています。

専門家会合のあとの記者会見で、脇田隆字座長は、「デルタ株は東京を中心に徐々に拡大し少し遅れて北海道で急速な置き換わりが進んでいることから、首都圏などから広がっている可能性がかなりあると考えられる。北海道などでは感染拡大のスピードが速くなると思う」と話しています。