不妊治療 保険適用拡大向け議論開始 年内にも結論の方針

不妊治療の保険適用の拡大に向けて、中医協=中央社会保険医療協議会は、どこまで対象を広げるかの議論を21日から始めました。今後、議論を本格化させ、年内にも結論を出す方針です。

不妊治療は、現在は一部を除いて公的保険が適用されず、経済的な負担が大きいことから、政府は、治療を受ける人の負担軽減を図ろうとことしから助成制度を拡充したのに続き、来年度からは自己負担が原則3割となる保険適用の対象を拡大する方針です。

これに向けて、厚生労働大臣の諮問機関である中医協=中央社会保険医療協議会は、21日、オンラインで総会を開き、保険適用の対象とする治療や検査などをどこまで拡大するか議論を始めました。

総会では、日本生殖医学会がまとめた不妊治療の標準的な治療法などを記したガイドラインが報告され、これに基づいて、保険適用の対象を検討する方針で一致しました。

また、効果や安全性が確認できず、保険適用の対象とならない治療については、一部を「先進医療」と位置づけて、保険適用された治療との併用を可能にすることも確認しました。

出席した委員からは「有効性や安全性が確認できたものは、保険適用するのが原則だ」とする意見や「年齢によって効果も異なるのでエビデンスに基づく議論が重要だ」といった指摘が出されました。

中医協では、今後、議論を本格化させ、年内にも結論を出す方針で、厚生労働省は、来年度の診療報酬の改定にあわせて、保険適用の対象を拡大することにしています。

経済的負担の現状は

不妊治療をめぐっては、6年前、2015年の時点で、5.5組に1組の夫婦が経験があるとしていて、体外受精などで生まれた子どもは、2018年で、およそ5万7000人にのぼっています。

一方で、治療を受ける人の経済的な負担が、課題の1つとなっています。

厚生労働省がことし発表した調査結果によりますと、1回あたりの治療の平均費用は、精液を採取して、良好な精子を取り出し、妊娠しやすい時期に子宮内に注入する「人工授精」が3万円余り、卵子を採取して受精させたあと体内に戻す「体外受精」が50万円余りとなっています。

医療費の総額で見ますと、治療を受けたことのある5分の1を超える人が、100万円以上かかったとしていて、経済的な支援を求める声が高まっています。

学会ガイドラインでは

日本生殖医学会が先月まとめた、不妊治療の標準的な治療法などを記したガイドラインでは、効果や安全性などに基づいて、治療や検査ごとに、「強く勧められる」「勧められる」「実施が考慮される」の3段階で評価しています。

このうち、卵子を採取して受精させたあと体内に戻す「体外受精」のほか、受精卵を子宮に戻す前に発育させる培養、それに性機能改善薬による勃起障害などの男性不妊の治療などは「強く勧められる」としています。

また「勧められる」には、2回続けて流産した女性の治療の際に、受精卵の染色体をあらかじめ調べる「着床前検査」や、35歳以上の女性に、体外受精した2つの受精卵を戻す方法などが含まれています。

一方、子宮内の細菌の種類などを調べる検査や一部の医療機関で着床しやすくするとして実施されている、子宮内膜に小さな傷を付ける手法などは、「実施が考慮される」としています。

今後、中医協では、このガイドラインも踏まえ、どの治療や検査に保険を適用するのか検討が進められる見通しです。