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基礎的財政収支“黒字化達成は目標より2年遅れ” 内閣府が試算

内閣府は21日開かれた経済財政諮問会議で、財政の健全性を示す「基礎的財政収支」の最新の試算を示しました。
高めの経済成長が続くという想定でも、黒字化の達成は政府の目標より2年遅れて2027年度になるとしています。
政府は政策にあてる経費を国債などに頼らず、税収などでどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」という指標を国と地方を合わせて2025年度に黒字化する目標を掲げています。
内閣府は、21日開かれた経済財政諮問会議で最新の試算を示し、実質で年間2%程度の高めの経済成長が続くという想定でも、2025年度は2兆9000億円の赤字で、黒字化は政府の目標より2年遅れの2027年度になるとしています。

ことし1月に示した試算では、黒字化の時期は目標より4年遅れの2029年度になるとしていましたが、昨年度の税収が見積もりより大幅に増えたため、2年前倒しされました。

また内閣府は、高い経済成長を実現したうえで、歳出改革を行えば2025年度に1兆7000億円の黒字化も可能だという試算も提示しました。
一方、経済成長が年間1%程度という想定では、2025年度は7兆9000億円の赤字、2030年度でも6兆円の赤字だとしています。

政府は、ことしの「骨太の方針」で、今年度中に新型コロナの経済財政への影響を検証し、目標年度を再確認するとしていて、感染拡大によって経済への打撃が長期化すれば財政状況の悪化が続くことも懸念されます。

債務残高を引き下げても厳しい状況

政府は財政健全化に向けて、「基礎的財政収支」を黒字化するとともに、GDPに対する債務残高の比率を安定的に引き下げるという目標を掲げていますが、高い経済成長を実現しなければ達成は厳しい状況になっています。

内閣府が21日示した「中長期経済財政試算」によりますと、昨年度末の国と地方を合わせた債務残高は1121兆6000億円に上るとしています。

これは、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の去年1月に示した試算よりも40兆円余り多く、債務残高の規模はGDPの2倍を超える巨額なものとなっています。

政府は、GDPに対する債務残高の比率を安定的に引き下げていくという目標を掲げていますが、試算によりますと、実質で年間2%程度の高めの経済成長が続く想定では、債務残高の比率は、今年度の2.11倍をピークに来年度以降は低下が続き、試算の最終年度である2030年度には1.67倍まで下がるとしています。

しかし、経済成長が年間1%程度の想定では、債務残高の比率は2030年度になってもGDPの2倍を下回らないとしていて、コロナへの対応で財政支出が膨らむ中、高い経済成長を実現しなければ目標の達成は厳しい状況になっています。

首相 経済成長と改革で2025年度の黒字化可能を強調

菅総理大臣は経済財政諮問会議で、経済成長を実現し、歳出改革を継続することで、2025年度の「基礎的財政収支」の黒字化は可能だと強調し、予算の重点化と規制改革により、雇用の確保や賃金の上昇を実現する考えを示しました。

会議で菅総理大臣は「今後の経済・財政運営については、まずは感染防止対策を徹底しながら、ワクチン接種を進め、1日も早く新型コロナの感染を収束させるべく全力を挙げる」と述べました。

そして会議で示された、国と地方を合わせた「基礎的財政収支」の最新の試算について「昨年度の税収は、これまでで最も高い水準となった。これを反映し、試算では経済成長を実現し、歳出改革を続けていくことにより、2025年度に『基礎的財政収支』の黒字化が実現する姿が示された」と強調しました。

そのうえで、菅総理大臣はグリーンやデジタル、活力ある地方づくり、少子化対策に予算と税制を大胆に重点化し、思い切った規制改革を進め、既存の仕組みをゼロベースで見直すことにより、雇用の確保や賃金の上昇、投資の拡大を実現していく考えを示しました。

首相 雇用調整助成金の特例措置 年末まで維持の考え示す

また新型コロナウイルスの経済への影響が長期化しているとして、菅総理大臣は緊急事態宣言が出された地域などを対象にした9月末までの雇用調整助成金の特例措置を年末まで維持する考えを示しました。

経済財政諮問会議では、今年度の最低賃金について、厚生労働省の審議会が、すべての都道府県で過去最大の28円引き上げる目安をまとめたことを踏まえ、引き上げに向けた環境整備などが議論されました。

そして、菅総理大臣は「新型コロナの影響が長引く中で、多くの中小企業は厳しい業況の中にあり、売り上げの減少や、最低賃金の引き上げに伴うコスト増を十分に踏まえ、事業の存続と雇用の維持に向け、丁寧に支援していく必要がある」と指摘しました。

その上で、緊急事態宣言が出された地域などを対象にした9月末までの雇用調整助成金の特例措置を年末まで維持し、事業者の要望の強い、助成金の要件の緩和や、事業再構築のための補助率の引き上げを行う考えを示しました。

そして、菅総理大臣は「新型コロナの影響や、最低賃金の引き上げの状況に対応し、きめ細かな支援を行っていく」と述べました。

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