東京オリンピック競技始まる コロナ禍 無観客の異例な形

史上初めて延期された東京オリンピックの開幕を前に、33競技の最初となるソフトボールが21日午前、福島県の会場で始まりました。
大会は、新型コロナウイルスの感染の再拡大によって、ほとんどの会場が無観客で行われ選手や関係者の感染も相次ぎ、オリンピック開催に対し、国民から厳しい視線も向けられる中で異例な形での競技開始となりました。

57年ぶりに東京で開催されるオリンピックは、新型コロナの影響による史上初めての1年延期を経て、21日、大会の理念である復興にちなんで、東日本大震災の被災地の一つ、福島市の県営あづま球場で33の競技の最初となるソフトボールが始まりました。

午前9時からの開幕戦の日本対オーストラリアでは、地元の中学生が大会組織委員会の橋本会長などが見守る中で始球式に臨みました。

無観客で行われた試合は、両チームの選手たちの掛け声が響く中で行われ、得点シーンでは、バックネット裏に座る競技団体や自治体の関係者などから拍手が送られていました。

東京大会は感染の再拡大によって、21日の開幕戦をはじめ、ほとんどの競技が観客を入れずに行われ、選手や大会関係者は厳格な行動管理を求められます。

入国が本格化する選手や関係者の感染が相次ぎ、コロナ禍のオリンピック開催に対し、国民から厳しい視線も向けられる中で異例な形での競技開始となりました。

加藤官房長官は、午前の記者会見で「オリンピック・パラリンピックは、世界中の人々の心をひとつにする力があり、新型コロナという大変大きな困難に直面している今だからこそ、世界がひとつになれること、全人類の努力と英知によって、難局を乗り越えていけることを東京から発信する意義もある」と述べました。

そのうえで「選手の皆さんは、オリンピックを目指し、今回は1年延期するという過去に例のない現実と向き合い、コロナ禍で大変厳しい練習環境でもあったと思うが、トレーニングを重ねて本番を迎えている。最高のパフォーマンスをぜひ発揮していただきたい」と述べました。

そして、加藤官房長官は「大会期間中も終了後も日本国内の感染拡大を抑え、感染防止につなげていくことが重要だ。選手や関係者だけでなく、国民の皆さんの力も大会の成功には大変必要で、家庭でのテレビ観戦を通じて、アスリートの皆さんに精いっぱいの応援を送っていただくなど、ご協力をいただきたい」と述べました。

東京オリンピックは、23日開に幕するのを前に、21日から一部の競技が始まりました。

開催都市 東京都の小池知事は都庁で記者団に対し「ソフトボールは、さい先のよい快勝で、日本とすればとてもうれしい。女子ソフトボールの皆さん、おめでとうございます」と述べました。

そのうえで「無観客とコロナ禍が両方関係するなかで、安心・安全な大会で開かれることを、1つずつ積み重ねていきたい」と述べました。

また、小池知事は、選手村で感染が確認された場合、地元の保健所の負担を減らすため、都が支援拠点を設けているとしたうえで「選手や大会関係者の皆さんに安心してもらい、1年延期にあわせて体調を整え、満を持して来ている方々がベストパフォーマンスを繰り広げることが、大会を意味のあるものにする」と述べ、選手が力を発揮できるよう支援していく考えを示しました。