アマゾン創業者ベゾス氏 宇宙旅行に成功 10分後に無事帰還

IT大手アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が20日、みずから設立した宇宙開発企業の宇宙船に搭乗し宇宙への飛行に成功しました。

IT大手アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏はみずから設立した宇宙開発企業「ブルーオリジン」が開発した宇宙船とロケットで商業ベースの宇宙旅行を提供することを目指しています。

20日、テキサス州西部にある「ブルーオリジン」のロケット打ち上げ拠点で初めての有人宇宙飛行となる宇宙船の打ち上げが行われました。

宇宙船にはベゾス氏と弟のマークさん、それにおよそ60年前に宇宙飛行士を目指していた82歳の女性ウォリー・ファンクさん、さらにオークションで搭乗する権利を落札した18歳の男性オリバー・デーメンさんの4人が搭乗しました。

宇宙船は打ち上げからおよそ2分半後にロケットから切り離され、高度100キロメートル以上の宇宙空間に到達することに成功しました。

この間、搭乗した4人は宇宙船内でおよそ3分間のいわゆる無重力状態を楽しみました。

宇宙船はこのあと地上に帰還を始め、打ち上げからおよそ10分後に無事、軟着陸しました。

ブルーオリジンはことし中にあと2回、宇宙船を打ち上げる予定で今後、民間による宇宙旅行が本格化すると期待されています。

ベゾス氏 CEO退き宇宙開発ベンチャーに注力

ジェフ・ベゾス氏はアメリカ・ワシントン州シアトルに本社を置くIT大手、アマゾン・ドット・コムの創業者です。

1994年にアマゾンを創業したあと、インターネット通販や動画配信、それにクラウド事業など幅広い分野にビジネスを広げ、アマゾンを時価総額で190兆円規模の巨大な企業グループに成長させました。

ベゾス氏は27年にわたって会社を率いてきましたが、今月5日の創業日にCEOを退き、現在は取締役会長として会社の経営に携わっています。

CEOの退任理由は自身が2000年に立ち上げた宇宙開発ベンチャー「ブルーオリジン」など本業以外の事業に注力するためです。

ベゾス氏は若い頃から宇宙旅行に強い興味を持っていたとされ、アメリカメディアは1982年にフロリダ州の高校を首席で卒業した際のスピーチで「地球を周回する200万人、300万人の人々のために宇宙のホテルや遊園地、乗り物やコロニーを建設したい」などと将来の希望を語っていたと報じています。

宇宙飛行の最高齢、最年少も達成

「ブルーオリジン」の宇宙船にはベゾス氏と、弟のマーク・ベゾス氏のほか、もう2人の民間人が搭乗しました。

ひとりはアメリカ人女性のウォリー・ファンクさん(82)です。

ファンクさんは20歳の時からプロのパイロットとして働き始め、1961年にはほかの12人の女性とともに女性宇宙飛行士を育成する民間の計画に参加しました。

計画に参加した女性は男性の宇宙飛行士と同様の試験を受け、ファンクさんは高い成績を修めましたが計画そのものが中止され、女性が宇宙飛行士に採用されることはありませんでした。

その後、ファンクさんは女性として初めて連邦航空局の検査官や国家運輸安全委員会の航空安全調査官などを務めてきました。

ファンクさんは今回、ベゾス氏から招待され念願の宇宙飛行に参加することになったということです。

現在82歳のファンクさんは、77歳で宇宙飛行をしたジョン・グレン飛行士の記録を塗りかえ宇宙を飛行した最高齢の人になりました。

もうひとりの搭乗者は18歳のオリバー・デーメンさんでこれまで宇宙に行った人の中で最年少です。

今回の宇宙飛行は宇宙船に搭乗する権利がオークション形式で売りに出され、日本円でおよそ30億円でいったんは落札されましたが落札した人が搭乗を辞退したため、2番目に高い金額で入札していたデーメンさんの搭乗が決まったということです。

アメリカのメディアによりますと、デーメンさんの父親は著名な投資家だということで実際に入札したのはデーメンさんの父親だとされています。

「地球に戻ってこないで」16万人分余りの署名も

宇宙旅行に臨むベゾス氏はアマゾンの創業者としてだけでなく世界的な大富豪としても広く知られています。

アメリカの経済誌フォーブスの世界の富豪ランキングでは4年連続でトップとなり、ベゾス氏の資産は1770億ドル、日本円で19兆4800億円余りにのぼります。

巨額の資産を持つベゾス氏に対し、インターネット上で署名を集めるサイトではベゾス氏が地球に戻ってこないことを求める署名が今月19日時点で16万人分余り寄せられています。

サイトの説明書きには「億万長者は地球上にも宇宙にも存在すべきではないが、宇宙に行くことを選んだのならずっとそこにとどまるべきだ」などと書かれています。

これについてアメリカメディアは「署名は冗談半分に立ち上げられたが、その背景にある感情は本物のようだ。貧富の差の拡大への世間の怒りは大きくなり大富豪への風当たりは強まっている」などと指摘しています。