“巣ごもり”でデジタル家電国内出荷好調上半期3年ぶり増加

ことし6月までの半年間のデジタル家電の国内出荷額は6900億円余りと前の年の同じ時期を20%余り上回りました。いわゆる巣ごもり需要として家電量販店などでテレビの販売が好調だったことが主な要因です。

電機メーカーなどでつくるJEITA=電子情報技術産業協会によりますと、デジタル家電の国内出荷額は先月までの6か月間で6932億円となり、前の年の同じ時期を22%上回りました。

上半期としては3年ぶりの増加で、地上テレビ放送の完全デジタル化に伴う買い替え需要が一部あった2012年以来の高い水準となりました。

製品別で見ると、巣ごもり需要を背景にテレビが前の年の同じ期間と比べて20%増加し、このうち50インチ以上の大型テレビは40%増加と大幅な伸びとなりました。

このほかブルーレイレコーダーが13%、スピーカーが7%、それぞれ増加しました。

今後の見通しについて、業界団体は「巣ごもり需要による伸び率はこれから下がると見られる。世界的な半導体不足による家電への影響も注視する必要がある」と話しています。

一方、国内のパソコンの出荷台数はことしの上半期で540万台で、テレワークの普及で持ち運びに便利なノート型パソコンの需要が増え、前の年の同じ期間よりも36%増加しました。

大型テレビやレコーダーなど売れ行き好調

大手家電量販店では、いわゆる“巣ごもり需要”で家電の販売が増えていますが、最近ではその需要が最新の調理用家電などにも広がっています。

このうちテレビは55インチ以上の大画面で画質がいい商品の売れ行きが好調です。

巣ごもり需要に加え東京オリンピックの開幕を控え今月に入って売り上げがさらに伸びています。

去年の同じ時期はすでに巣ごもり需要で販売が伸びていましたが、その水準よりもさらに1割ほど増えているということです。

大会は同じ時間帯に複数の競技が行われることから、大容量のレコーダーの売れ行きも先月は去年の同じ時期より1割ほど伸びています。

一方、これまで巣ごもり需要はテレビやエアコン、冷蔵庫などの買い替えが中心でしたが、最近では最新の自動調理鍋やホットプレートなどにも広がっています。

このうち、自宅で炭酸水を作れる機器は都内などで飲食店での酒類の提供停止が続いていることを背景に、ハイボールやサワーを自宅で作って“家飲み”をしたいというニーズを背景に人気が高まっているということです。

売れ筋の商品は水道水と二酸化炭素の入ったシリンダーをセットして好みの炭酸水を作ることができるタイプで、厳しい暑さが続く最近はとくに販売が伸びています。

ビックカメラ有楽町店の柴野生真さんは「巣ごもり需要は当初、冷蔵庫や洗濯機の売れ行きが好調だったが、コロナの影響が長引くなかで需要が変化しさまざまな調理家電を試そうという動きが広がっている」と話していました。

コンビニも、巣ごもり需要に期待

コンビニ業界では感染拡大によるリモートワークの普及などでオフィスが集中する都市部の店舗で売り上げが伸び悩み、全体では依然、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準を下回ったままです。

大手チェーンでは近くの住民のいわゆる“巣ごもり需要”を取り込もうと新たな戦略を打ち出しています。

このうち東京・千代田区のオフィス街にあるコンビニでは感染拡大以降、昼食用の弁当やサンドイッチなどを買う人が減り、来店客の数だけでなく売り上げも落ち込んでいるということです。

挽回を目指して取り込もうとしているのがいわゆる“巣ごもり需要”です。

会社の従業員ではなく、近くのマンションなど近隣の住民を主なターゲットにして店内の陳列棚を増設。冷凍食品のケースの上にも新しく棚を作りました。

取り扱っている商品は3000種類から1割程度増やし、なかでも自宅での料理に使う調味料やレトルトカレー、酒、魚の缶詰などの品ぞろえを増やし巣ごもり需要に対応した店づくりを進めています。

セブン&アイ・ホールディングス広報センターの中田智史さんは「コロナをきっかけに来店客の消費動向や来店する頻度などが大きく変わっている。こうした変化に対して店舗ごとに柔軟に対応し消費者のニーズに応えていきたい」と話していました。

専門家「安心して消費できる環境を」

景気の現状について「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」の藤田隼平研究員は「緊急事態宣言などによる営業自粛などサービス消費の戻りが弱い一方で、在宅時間が長引く中、家電の需要がコロナ前よりも好調になっている。ただコロナ禍から1年あまりがたち、巣ごもりも長引いている。去年は定額給付金で需要が押し上げられていたが、それが剥落するとこの先は次第に一服感が強まるとみている」と話しています。

一方、この先のリスク要因については「世界的な資源価格の上昇や足元の円安で物価が上昇していくことが消費のリスク要因だ。雇用・所得環境が悪化する中で、消費者はこれまで以上に値上げに対して抵抗感を強めている。商品転嫁の動きが進んでいけば、消費者の購買意欲を削ぐような形でマイナス影響が出ることも考えられる。一方、企業側が価格転嫁できない状況になると利益にマイナスの影響が出てしまう。企業の利益が戻らなければ、雇用や賃金にプラスの効果が波及せず、めぐりめぐって消費にも悪影響が出る形になる」と話しています。

その上で、今後の回復に向けては「緊急事態宣言のように経済活動を制約するような措置が繰り返されると個人消費は一進一退を繰り返す。感染対策やワクチン接種をしっかり進めることで安心して消費できる環境をしっかり作っていくことが求められる」と話しています。