RSウイルス流行拡大中 症状は? 登園目安は? 調べてみた

RSウイルス流行拡大中 症状は? 登園目安は? 調べてみた
かぜの症状が出るRSウイルスへの感染がかつてない勢いで広がっています。
乳幼児が感染するとまれに重症化することもあるといい、SNSには小児科の病床が患者でいっぱいになっていると危機感を伝える医療現場の声があふれています。

感染したらどんな症状が出るの?
新型コロナとの違いは?
保育園に行くかどうかの判断は?

専門家に聞いてみました。

(ネットワーク報道部記者 吉永なつみ 野田麻里子 國仲真一郎/SNSリサーチ 三輪衣見子)

娘の通う保育園でも流行

「RSウイルス感染症に注意してください」

7月初め、私(吉永)の2歳の娘が通う保育園にこんな貼り紙が出されました。
担任の先生はすでにちらほらRSウイルスで休む子が出てきていると教えてくれました。

それから数日後、仕事中に園から電話が。

「娘さん、お熱が38度5分あります」
娘が発熱したという連絡でした。

急いで迎えに行くと、思ったよりも元気な様子の娘。
家で熱を測り直すと37度5分で、夕飯もよく食べケラケラとよく笑いました。

熱もそこまで高くないし、寝れば治るのではと考えて、病院には連れて行きませんでした。

だんだん機嫌が悪く…

翌日、私は仕事を在宅勤務に切り替え、家で娘の様子を見ることにしました。

熱は下がっていましたが、娘はだんだんせきをする回数が増え、機嫌が悪くなり始めていました。とはいえカゼの時は大体こんなもの…という経験則で、翌日も在宅で仕事をしながら娘と過ごすことにしたのです。

しかし、せきは悪化していくばかり。夜はそのせいで眠りが浅く、眠ったかな?と思って体を離すとすぐに目を開け、火がついたように泣き叫びました。

私は家事を終わらせることもままならず、2人して眠れぬ夜を過ごしました。

油断して肺炎に!

発熱から4日目。
娘の呼吸の音が少し変だと気付きました。

息をするたびにのどの奥のほうに何かがからまっているような、ゼロゼロ…という音がします。

この時点でようやく病院に連れて行こうと決意しました。

医師は胸の音を聞くと「肺炎になってるかもしれない」とひと言。レントゲンを撮ると右の肺が軽い炎症を起こしていることが分かりました。検査でRSウイルスへの感染も確認され、入院するほどではありませんでしたが、つらい思いをさせてしまったと罪悪感を感じました。

ただ、子どもが熱を出すのはよくあること。仕事などさまざまな生活の都合もある中で、どのタイミングで感染を疑い、病院に連れて行くべきだったのか、判断が難しいと感じました。

動画で見るRSウイルス感染拡大

RSウイルス流行の広がりを動画にしてみました。1つの医療機関当たり何人の患者がいるかを色分けして示しています。色が濃いほど多いことを示しています。
ことし初め、色がついていた(0.5人以上)の都道府県は3つだけでした。それが時間がたつにつれて全国的に色がつき、患者数が多い事を示す濃い色に変化。
7月11日時点では逆に色がついていない(0.5人未満)のが3つだけという状況でした。

濃い赤(5人以上)なのは全部で19都県。10を超えた所も6県ありました。

“季節外れ”の流行

時系列で見ても、ことしの流行はいつもと様子が違います。
ふだんの年であれば、患者数は7月を過ぎてから増え始め、9月ごろにピークを迎えます。それがことしは、いつもより3か月ほど早い4月すぎから患者が増加。最新の患者数はすでに例年のピーク時を上回りました。

同時期(7月上旬)で比べると、おととしの13倍、感染が広がらなかった去年の345倍と、まさに“季節外れの感染爆発”といえる状況になっているのです。

どうしたらよかったの? 医師に聞いた

「すべての熱、せき、鼻水で病院に連れて行くとなったら、とんでもなく大変になっちゃいますよね」
2歳の娘の発熱やせきを「よくあるかぜ」と考えて、自宅で様子をみるうちにこじらせてしまったことを悔やむ私をこうフォローしてくれたのは、オンラインで医療相談を行う「小児科オンライン」代表、小児科専門医の橋本直也さん。

受診のタイミングを迷い、相談する保護者は少なくないそうです。
橋本医師
「今回は娘さんの呼吸の変化に気付いて病院に行ったんですよね。2歳という年齢と、基礎疾患がないことを考え合わせると、受診のタイミングはそれでよかったと思いますよ」
「ウイルスが見つかった段階で飲んで治る特効薬があるなら一刻も早く受診すべきですが、RSウイルスはそうではないんです。呼吸が苦しいサインを見逃さないようにしつつ、ゆっくり休もうねというのが基本的な対応。必要以上に自分を責めないでください」

症状は? 登園は? 気になることを聞いてみた

気になることをさらに詳しく聞いてみました。
Q 新型コロナとの症状の違いはありますか?
どちらも一般的なかぜ症状である発熱や鼻水、せきが現れます。そのため症状のみでの判別は困難です。新型コロナ感染の判断には接触状況の情報が重要です。もし感染者との接触があった場合は、必ずその情報をクリニックに伝えてください。
Q 受診するタイミングは?
年齢が小さいほど重症化する可能性があります。生後6か月未満でRSウイルスに感染した子どもとの接触歴があり、せきや鼻水が出ていたりミルクや母乳の飲みが悪くなったりした場合には早めに受診しましょう。

生後6か月以上であっても、呼吸の変化を見逃さないようにしてください。

注意するポイントは苦しそうに息をしていないか

顔の表情だけではわかりにくいことがあります。シャツを上げて呼吸の様子を観察してください。息を吸うときに胸がくぼみ、おなかが膨らんだり、ろっ骨の間がくぼみろっ骨が浮き出たりする様子がないか。また口元に耳を近づけてみて、ヒューヒューという音がしていないかを注意してみてください。
Q 症状が回復したら保育園に通わせてもいい?
厚生労働省のガイドラインでは、登園の目安は呼吸器症状(せきやゼイゼイ)が消失し全身状態がいいこと、となっています。無理して登園してしまいますとこじらせる結果になることもあります。周囲にまき散らして同じ思いをする子を増やしてしまうかもしれませんので、配慮していただければと思います。
Q 大人でも感染しますか?
RSウイルスは大人でも感染します。ただ、症状が軽いため感染に気がつかず、赤ちゃんにうつしてしまうことがあります。

乳幼児がいる家庭では、
▽外から帰ってきたら必ず手を洗う
▽せきやくしゃみは飛まつが飛ばないよう注意する
▽おもちゃやドアノブなどをこまめにアルコールで消毒するといった感染対策を心がけましょう。