【五輪あす競技開始】北海道で 東北で そして東京で準備進む

開幕まであと3日に迫った東京オリンピック。これに先立って一部の競技はあす21日から、東京のほか北海道、宮城、福島でスタートします。21日の試合日程のほか、各地の状況をまとめました。

札幌 「なでしこジャパン」が21日の初戦前に調整

サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」が、21日に行われる予選リーグ初戦のカナダ戦を前に会場がある札幌市で練習を行いました。

午前中に行われた練習は冒頭の15分が公開され、エースナンバーの10番を背負う岩渕真奈選手やキャプテンの熊谷紗希選手などがおよそ1時間、時折笑顔を見せながらボール回しなどをしてコンディションを調整していました。

練習後、岩渕選手は「今までに出場した国際大会の中でいちばんコンディションがいいので楽しみだ。あすは強敵が相手だが自分たちの持っているものをすべてぶつけて、勝っていいスタートを切りたい」と意気込みを話しました。

宮城 サッカー 観客入れた開催に向け準備

各地の会場でも準備が進んでいます。

21日に試合が開催される会場では唯一観客を入れて行われる、宮城県利府町にある「宮城スタジアム」の会場周辺では、町民や観客にオリンピックの雰囲気を楽しんでもらおうと記念撮影のスポットなどの準備が行われていました。

このスポットには直径およそ2メートルのサッカーボールなどのオブジェが設けられ、その下にはスタジアムでも採用された東日本大震災の被災地、山元町で育てられた『復興芝生』が敷かれています。

『復興芝生』のそばには幅5メートル余り、高さ1.5メートルのメッセージボードも置かれ、復興へのメッセージなどを立ち寄った人たちが自由に書くことができます。

利府町のオリンピック推進室の村田晃室長は「一生の思い出を作ってもらえるように準備を進めてきたので、この機会を楽しんでもらいたい」と話していました。

福島 「無観客」で復興五輪イベントほぼ中止

一方で、無観客での開催となった会場周辺ではイベントのほとんどが中止を余儀なくされました。

特に福島県では、今回のオリンピックは東日本大震災と原発事故からの「復興五輪」と位置づけられ、被災地の復興状況などを世界に発信する機会となるはずでした。

このうち福島県は、21日から福島市の県営あづま球場でソフトボールと野球の試合が行われるのに合わせて、球場周辺で伝統芸能などのステージイベントを行い農産物などを販売するブースを設ける計画でした。

また福島市も、競技開催に合わせてJR福島駅西口の駅前広場でパブリック・ビューイングを行ったり、中心市街地でステージイベントや競技体験などを実施したりする予定でした。

このほか会津若松市の鶴ヶ城公園といわき市のアクアマリンパークでも、東京都と大会組織委員会が被災地支援として「ライブサイト」を計画していましたが、いずれも中止され、競技も無観客開催となったため、被災地からの発信の機会や世界各国から訪れた人々と交流する機会は失われました。

東京 サッカーが行われる調布市で子どもたちが準備

21日に女子サッカー2試合が行われる調布市では、大会を盛り上げようと市民などに呼びかけて100日前から1日ずつ開幕までの日数を知らせる、いわゆる「カウントダウンボード」を制作し、市のホームページやSNSに掲載しています。

20日は「調布市立なないろ第一・第二学童クラブ」で子どもたち48人が参加して「残り1日」を表すボード作りに取り組みました。

色とりどりのテープで飾りを作ったり画用紙などに応援メッセージを書いたりしたあと、48人が並んで「あと1日」と人文字を作り写真に収めました。

参加した小学4年生の児童は「本当は試合を見に行くはずだったけど行けなくなった。選手たちに気持ちが伝わるといいなと思う」と話していました。

またサッカー部に所属する児童は「サッカー日本代表チームに優勝してほしいです」と話していました。

調布市でオリンピック・パラリンピックを担当する荒川達弥さんは「学校の競技観戦など企画していたことが中止になってしまったことは残念ですが、市民の皆さんがオリンピックを盛り上げようと前向きに元気に参加してもらえることはとてもうれしいです。調布市には競技会場があるので、盛り上がっていることをアピールしていきたい」と話していました。

撮影された写真は、22日に調布市のホームページやSNSなどに掲載されます。

東京には選手など輸送用のバス 各地から続々と到着

大会組織委員会などによりますと、東京オリンピックでは選手や大会関係者の輸送に1日当たり最大2200台のバスが運行し、延べ6万3000人の運転手が携わる見通しです。

都内や近郊のバス会社だけではまかなえないため、全国およそ600社のバス会社から運転手と一緒に派遣されることになっていて、開会式を目前に各地を出発したバスが続々と集まってきています。

このうち佐賀県のバス会社からは、バス5台と運転手5人が都内に到着しました。

18日に地元を出発し2泊3日かけて来たということで、20日は途中、神奈川県内のサービスエリアで休憩をとったあと東京 江東区にある輸送バスの拠点に向かいました。

この会社の運転手は研修を受けたうえで、21日から業務を開始するということです。

運転手の江原浩二さんは「東京は30年ぶりなので道もかなり変わったと思いますが、世界的なイベントなので自分なりに頑張りたいです。ウイルスは目に見えないのでこわい気持ちはありますが、乗客も自分自身も感染しないよう気をつけて、無事に終わってほしいです」と話していました。

大会公式ショップの店長 今は盛り上がりに欠けるが…

各地で開催準備が進む東京オリンピック。開幕後の機運の変化を期待する声も聞かれました。

東京 台東区に今月14日にオープンした東京大会の公式グッズのオフィシャルショップ「上野御徒町店」の運営を担っている奥尚美さんは、これまで長野オリンピックやサッカーの日韓ワールドカップなど国際的なスポーツ大会での公式グッズの販売に携わってきました。
奥さんは、過去の国内で開かれた国際大会の直前の雰囲気と比べ客足や盛り上がりに欠けると感じています。

奥さんは「コロナの影響を多少なりとも受けていると感じている。店に来た客から『頑張って』と私たちが応援されるようなこともあります」と話していました。

一方で、これまでの経験から、大会が始まり日本人選手が金メダルを獲得すると、名前や日付を刻印できる記念メダルなどを買い求める人が増えるということで、奥さんは「大会が始まって選手が活躍すると、グッズに対するニーズも変わってくる傾向があります。大会の開催にはいろいろな意見があると思いますが、1人でも多くの人に商品に触れていただけたらと思います」と話していました。