熱海 土石流 立ち入り制限解除もおよそ360人が避難生活

静岡県熱海市の大規模な土石流による災害では、一部地域の立ち入り制限が解除されても、自宅が大きな被害を受けたり帰ることができなかったりする人は、およそ360人にのぼっています。このため熱海市では、20日から別のホテルに移ってもらって支援を続けることにしています。

今月3日、熱海市伊豆山地区で起きた大規模な土石流による災害では、これまでに18人が亡くなりいまも行方不明者の捜索が続いています。

今回の災害では、自宅が流されたり大きな被害を受けたりした人や、立ち入りを制限された人などが市中心部のホテルで避難生活を続けてきました。

しかし、このホテルとの契約が期限をむかえることから、熱海市は別のホテルに移ってもらうことにし、20日午前からバスで移動を始めました。

避難している人たちは20日朝の時点でおよそ420人いたということですが、このうち60人は一部の立ち入り制限が解除されたことを受けて自宅に戻るということです。

一方でおよそ360人は、自宅が流されたり大きな被害を受けたりしたほか、インフラの復旧状況などから自宅に帰ることが難しいということです。

このため熱海市は、今後も当面、ホテルを用意して自宅に帰ることができない人の支援を続けるとともに、県とともに住宅の確保も急ぐことにしています。

見通しが立たない避難生活

20日、熱海市内の別のホテルに移った鈴木寛治さん(64)は、自宅の1階部分に土砂が流れ込み、今月3日から避難生活を送ってきました。

鈴木さんは伊豆山地区で生まれ育ち、60年以上暮らしてきましたが、再び土石流に襲われるのではないかという不安から、元の場所に自宅を再建することにためらいを感じています。

県は熱海市や周辺の自治体に公営住宅など130戸余りを確保していて、鈴木さんは今月15日、市が設置した相談窓口を訪れ、市内にある公営住宅に入居したいという希望を伝えたということです。

ただ、これまでに今後の住まいについての具体的な案内は受けておらず、この先の見通しが立たないことが不安だといいます。

ホテルが利用できるのは来月末までで、鈴木さんは「ホテルで避難生活を送ることができ、関係者の方には感謝していますが、避難所の移動は大変です。熱海市で暮らし続けることができるのかわからず不安なので、この先の見通しを早く示してほしい」と話していました。

約2週間ぶりに帰宅の女性「ほっとしました」

熱海市の伊豆山地区の沿岸部の地域に住む中田春子さん(76)は20日、避難先のホテルからおよそ2週間ぶりに自宅に戻りました。

今月3日の土石流では、自宅の直接の被害は免れましたが、およそ10メートル手前まで土砂が押し寄せ、自宅がある場所は立ち入りが制限されたため避難を余儀なくされていました。

ホテルから乗ってきた送迎用のバスから降りた中田さんは、生まれ育った地域の様子を見回したあと、「ほっとしました。帰ってこられてうれしいです」と涙を浮かべて話しました。

自宅に戻る途中には、避難をせずに地域に残っていた近所の人たちと久しぶりに顔を合わせてことばを交わし、再会を喜んでいました。

ただ、自宅に入ってキッチンの蛇口をひねると、水が出ず断水した状態であることが分かりました。

さらに2階建ての自宅の屋上に上がると付近に堆積した土砂の上を茶色い水が流れていく様子も見えました。

中田さんは「避難所がホテルだったので不便はありませんでしたが、やはり家に帰ってきたかったので、本当によかったですし安心しました。ただ、水道が出ないのはとても困ります。これから大変だと思いますが、近所の人たちと助け合って頑張っていきたいです」と話していました。