バイデン政権半年 中国政策で同盟強化も対話の糸口見いだせず

アメリカのバイデン政権の発足から半年がたちました。外交政策の中で最も優先度が高い対中国政策では、同盟国との連携強化で一定の成果を上げる一方、中国との対話の糸口を見いだすことができるかが課題となっています。

バイデン大統領はことし3月、就任後初めて行った記者会見で中国との関係について「21世紀における民主主義の有用性と専制主義との闘いだ」と位置づけました。

バイデン政権は中国に対し、人権や安全保障の分野で行動を改めるよう要求する一方、気候変動対策などでは協力を取り付けたい考えで、日本など同盟国や友好国を後ろ盾に対中政策を前に進めようとしています。

6月のG7サミット=主要7か国の首脳会議では、台湾海峡の平和と安定の重要性を首脳宣言に初めて盛り込み、ヨーロッパの国々とも足並みをそろえていくことを確認しました。

また、3月には、日本とアメリカ、オーストラリア、インドの4か国による「クアッド」と呼ばれる枠組みの首脳会合をオンラインで初めて開催するなど同盟国や友好国との連携の強化を進め、一定の成果を上げています。

一方で、中国との間では、ことし3月、アラスカ州で両国の外交トップによる会談を行ったものの、双方の主張が真っ向から対立し、それ以降、外交当局の高官による直接協議は行われていません。

現在、アメリカの外交を担う国務省のナンバー2のシャーマン副長官が北東アジアを歴訪中で、バイデン政権発足後、国務省高官としては初めての中国訪問を調整しています。

バイデン政権としては核軍縮や気候変動など地球規模の課題への取り組みを進めるとともに、米中両国の偶発的な衝突から深刻な危機に発展するのを防ぐためにも中国との対話の糸口を見いだすことができるかが課題となっています。

供給網から中国締め出し強化

中国への対抗姿勢を鮮明にするバイデン大統領の、この半年間の象徴的な方針が、サプライチェーンからの中国の締め出し強化です。

バイデン政権は、中国が半導体や電池といった先端技術の開発、それにレアアースなどの重要資源の確保を国策で強化していることは、アメリカにとって経済安全保障上の脅威だと主張しています。

こうした技術や資源の国内生産を拡大する計画を打ち出し、さらに民主主義の理念を共有する同盟国や友好国にも問題のある中国の技術や製品の締め出しを求めていて、中国のハイテク企業と関わりのある日本企業も戦略の見直しを迫られています。

軍事転用のおそれや、ウイグル族に対する人権侵害への関与を根拠に、▼4月には、中国でスーパーコンピューターの開発に関わっている7つの企業や国立の研究団体を貿易の制裁リストに加えたほか、▼6月には株式投資を禁じる措置の対象を、ハイテク監視の技術などを持つ中国の59社に拡大する大統領令に署名しました。

とりわけ、人権侵害には厳しい姿勢をとっていて、新疆ウイグル自治区で強制労働によってつくられた疑いがある太陽光パネルの材料や綿製品など幅広い製品を輸入禁止の対象とし、アメリカで事業を行う企業には、中国企業と直接取り引きしていなくても、製品を仕入れる場合には原材料まで徹底して調べるよう警告しています。

ことし1月にはアメリカの税関当局が、新疆ウイグル自治区での強制労働をめぐる輸入停止措置に違反した疑いがあるとして、日本のユニクロのシャツの輸入をロサンゼルス港で差し止める事例も起きるなど、影響が広がっています。

米専門家「台湾との関係強化で進展」

アメリカにあるシンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドの中国の専門家、ボニー・グレイザー氏はバイデン政権の対中国政策について「習近平国家主席に、アメリカや同盟国などの国益を害している政策を改めさせることを目標としている」と指摘し、その政策は半年がたった現在、「進行中」だと述べました。

そして、日本をはじめとしたアジアやヨーロッパの同盟国との関係を強化していることについて「価値観を共有する国とともに行動することは、中国に対し、自分の行動の代償が高くつくというシグナルを送るうえで、『てこ』の役割を果たしている」と分析しました。

また、グレイザー氏は、バイデン政権が台湾との関係を強化し、ほかの国々にもそれを強く求めたことで、日米首脳会談の共同声明やG7サミット=主要7か国首脳会議の成果文書に「台湾海峡の平和と安定」という文言が入れられるなど「一定の進展を生み出した」と評価しました。

その一方で、「バイデン政権内には、東南アジア諸国の中国に対する懸念に対し十分な対応ができていないという認識がある」と述べ、今後、東南アジア諸国との関係強化に向けた取り組みを進めるという見方を示しました。

また、グレイザー氏は、こうしたバイデン政権の対中戦略をにらみつつ日本のとるべき対応について「中国は、圧力をかけ、態度を変えさせることに成功すれば、その国は『弱い』と見てつけ込んでくる。日本やオーストラリアは、国益を守るために断固たる態度を示しており、それを継続していくことが重要だと思う」と述べました。