韓国 ムン大統領任期中の日韓関係改善 一段と難しいとの見方

韓国大統領府は、ムン・ジェイン(文在寅)大統領が東京オリンピックの開会式に合わせて検討していた日本訪問を見送ると発表しました。
韓国では、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題などで冷え込んだ日韓関係が、残り10か月を切ったムン大統領の任期中に改善に向かうのは一段と難しくなったとの見方が出ています。

韓国大統領府は、3年前、ピョンチャン(平昌)オリンピックが開幕した際、当時の安倍総理大臣が韓国を訪れたことを念頭に、ムン・ジェイン大統領が東京オリンピックの開会式に合わせて日本を訪問し、菅総理大臣と初めて対面で首脳会談を行うことを検討してきましたが、19日、訪問を見送ると発表しました。

声明では「首脳会談で成果を出すには依然として不十分で、諸般の事情を総合的に考慮して決めた」と説明しています。

韓国政府は大統領の日本訪問の前提として、日韓首脳会談を、短時間の儀礼的なものではなく、じっくり意見をかわす形で開催し、国内向けに外交成果をアピールすることを重視していました。

具体的には、東京電力福島第一原子力発電所の処理水を海に放出することや韓国向けの輸出管理の厳格化などで一定の成果を期待していたものの、日本側との事前協議の感触から実利を得るのは難しいと判断したとみられます。

一方、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題については、日本側にとって受け入れ可能な解決策を示すのではなく、冷え込んだ日韓関係の改善の重要性の確認にとどめたい考えとみられていました。

韓国では、おととし12月以来となる日韓首脳会談が実現しなかったことで、残り10か月を切ったムン大統領の任期中に日韓関係が改善に向かうのは一段と難しくなったとの見方が出ています。

加藤官房長官「外交当局間の意思疎通は維持」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などにより、非常に厳しい状況にある。両国間の懸案の解決のため、韓国が責任を持って対応していくことが重要で、懸案の解決のための韓国側の具体的な提案を注視しているとこれまでも言ってきた。日本の一貫した立場に基づき、引き続き、韓国側に適切な対応を強く求めていく立場であり、日韓関係を健全な関係に戻すためにも、外交当局間の意思疎通は維持していきたい」と述べました。