将棋「王座戦」挑戦者決定戦 木村一基九段が挑戦権獲得

将棋の八大タイトルの1つ「王座戦」の挑戦者決定戦で、木村一基九段が佐藤康光九段に勝ち「王座」のタイトルへの挑戦権を獲得しました。

「王座戦」の挑戦者を決めるトーナメントでは、51歳の佐藤康光九段と48歳の木村一基九段のベテラン2人が決勝に駒を進め、挑戦者決定戦が19日、東京で行われました。

対局は、後手の木村九段が、相手の攻めを封じる持ち前の“受け将棋”で次第に優勢に持ち込み、午後8時半ごろ、132手までで佐藤九段を投了に追い込み、挑戦権を獲得しました。

木村九段は去年、初の防衛戦となった「王位戦」で藤井聡太二冠に敗れ、タイトルを譲りましたが、ことし9月から再びタイトルをかけて永瀬拓矢王座(28)との五番勝負に臨みます。

木村九段は「永瀬王座は充実している方なので、体調も整えて、精いっぱい頑張りたい」と話していました。

敗れた佐藤九段は「最善を尽くしたかったが残念な結果だった。この年齢からでも強くなれると思うので、ミスをなくしたい」と話していました。

将棋界で若手の活躍が目立つ中、今回の対局は、タイトルの通算獲得数13期で日本将棋連盟の会長を務める51歳の佐藤九段と、おととし史上最年長の46歳で初タイトルを獲得し、涙を見せた木村九段というベテランどうしの対決で、ファンの間でも話題となっていました。

木村一基九段「王座戦 最後のチャンスと思って臨む」

「王座」のタイトル挑戦を決めた木村一基九段は、対局後の記者会見で、「結果が思わしくない時期もあった中で、王座戦だけは運よく勝つことができました。うれしく思っています」と心境を語りました。

そして、永瀬拓矢王座との五番勝負に向けては「非常に強い方なので、きつい戦いになると感じています。永瀬王座とは対局数が少なく“謎の相手”という部分がありますが、将棋を指すことに熱心な人という印象なので、熱意だけでも負けないように、そして最後のチャンスだという思いで臨みたいです」と意気込みを語っていました。

ベテランが風穴開けるか注目

今期の「王座戦」の挑戦者を決めるトーナメントには、渡辺明三冠や豊島将之二冠、藤井聡太二冠などのタイトルホルダーをはじめ、強豪が参加する中、佐藤康光九段と木村一基九段のベテラン2人が挑戦者決定戦に駒を進めました。

このうち、現在51歳の佐藤九段は、羽生善治九段らとしのぎを削った世代の1人で、平成5年には羽生九段を破って初タイトルの「竜王」を獲得しました。

その後は、タイトルを通算「13期」獲得するなどトップ棋士として活躍を続け、4年前の平成29年からは日本将棋連盟の会長も務め、会長の職務と並行して対局を続けていますが、棋士のランクを決める順位戦では今も最高位の「A級」に在籍するなど、活躍を続けています。

一方の木村九段も、25年近く活躍するベテランで、23歳でのプロ入りはトップ棋士の中では遅咲きでしたが、その後「新人賞」や「年度勝率1位」などを獲得し、粘り強い「受け」の棋風から“千駄ヶ谷の受け師”の異名で知られています。

タイトル戦では、初登場となった平成17年の竜王戦以来、たびたび挑戦しながらも、あと1歩で獲得を逃す苦しい戦いが続きましたが、おととし、7回目のタイトル挑戦となった王位戦を逆転劇で制して、悲願の初タイトルを獲得しました。

46歳で初のタイトル獲得は史上最年長で、終局直後には家族への思いを問われて、涙を見せていました。

翌年の防衛戦で藤井聡太二冠に敗れてタイトルを1期で失った際には「また一から出直します」と語っていた木村九段ですが、今回のベテラン対決を制し、わずか1年で再びタイトル戦に挑むことになりました。

現在の将棋界は、渡辺三冠、豊島二冠、藤井二冠、それに永瀬拓矢王座の4人が、互いのタイトルを奪い合う“4強時代”となっていますが、ベテランの木村九段が、この構図に風穴を開けられるか、永瀬王座との五番勝負の行方が注目されます。