横浜 中国人姉妹殺害 やり直しの裁判員裁判始まる 横浜地裁

4年前、横浜市で中国人の姉妹を殺害した罪などに問われている被告のやり直しの裁判員裁判が、19日から横浜地方裁判所で始まりました。

元派遣社員の岩嵜竜也被告(43)は、平成29年、横浜市中区で中国籍の25歳と22歳の姉妹の首を圧迫して殺害し、遺体を遺棄した罪などに問われています。

おととし、1審の横浜地方裁判所は被告の犯行と認めたうえで「これまでの裁判員裁判では、単独犯による被害者が複数の殺人事件で、凶器が使われていない場合は死刑や無期懲役になっていない」として懲役23年を言い渡しましたが、2審の東京高等裁判所は「1審判決であげられたのはすべて親族間の事件の場合で、量刑の判断に大きな問題がある」として審理を差し戻していました。

19日横浜地方裁判所で始まったやり直しの裁判員裁判の冒頭で岩嵜被告は「黙秘します」と述べました。

このあと検察は「刑が軽すぎる」という主張が認められたとしたうえで、計画的で悪質な犯行だと改めて述べました。

弁護側はこれまで無罪を主張してきましたが、やり直しの裁判では犯人性は争われずに、刑の重さのみが争点になることから「被告がもし犯人だったとしても、被害者から偽装結婚を持ちかけられ利用された恨みや悲しみに悩んでいた」と述べました。

姉妹の父親「家族の無念を晴らして」

やり直しの裁判が始まったことを受けて、殺害された姉妹の父親は「大切な2人の娘が悲惨にも殺害され、ゴミのように扱われ捨てられたことを思い、無力感を感じました。娘の人間としての尊厳を返してほしい。私たち家族は、裁判所に対して殺された2人の娘の命の重さに合った刑、死刑を与え、家族の無念を晴らしてもらうことを強く要求いたします」というコメントを出しました。

これまでの経緯と争点

今回のやり直しの裁判で争点になるのは刑の重さです。

横浜地方裁判所で開かれた1審の裁判員裁判で、検察が「計画的で強い殺意に基づく冷酷極まりない犯行だ」として死刑を求刑したのに対し、岩嵜被告は姉妹を殺しておらず、遺体を遺棄もしていないとして無罪を主張しました。

横浜地方裁判所はおととし、被告の犯行と認めたうえで凶器を用いる場合に比べて生命の侵害に対する危険性が異なること、当初から2人を殺害する綿密な計画があったとはいえないこと、これまでの裁判員裁判では単独犯で被害者が複数の殺人事件で、凶器を使っていない事案は死刑や無期懲役になっていないことなどから、懲役23年の判決を言い渡しました。

検察と被告の双方が控訴し、2審の東京高等裁判所は去年、被告の犯行と認定したうえで、量刑に大きな問題があるとして横浜地方裁判所に審理を差し戻しました。

東京高等裁判所が判決で指摘した問題点は、裁判員が量刑を考える際に裁判所が示した資料についてです。

被害者や加害者の数のほか、凶器や計画性の有無などを条件に過去の判決を検索してまとめたものですが、検索条件の設定のしかたが不適切だったとしています。

例えば、1審は「凶器なし」という条件で検索したとみられていますが、2審の判決は相当な力で少なくとも5分程度首を圧迫していることから、凶器を用いた場合に比べて危険性が異なるとはいえないとして、この条件で絞り込むことは不適当だとしています。

こうした条件を変えて検索すると、被害者が2人の殺人事件では親族間の事件以外はすべて死刑か無期懲役になっているということで「検察が死刑を求刑している重大な事件であり、改めて裁判員が参加して適切な資料をもとに量刑を判断すべきだ」として差し戻したのです。

今回のやり直しの裁判では、犯人性は争われず刑の重さのみが焦点になり、さらに重い判決が出される可能性も指摘されています。