「医療」と「地元経済」揺れ動く思い 東京 墨田区の病院事務長

東京 墨田区で80年にわたって地域に根ざした診療を続ける病院で事務長を務める男性は、東京オリンピックを目前に控え「医療」と「経済の回復」のはざまで複雑な思いを抱えています。

東京 墨田区の「墨田中央病院」で事務長を務める小嶋和樹さん(38)は、曽祖父の代から80年続くこの病院で院内のゾーニングや保健所との調整など新型コロナの感染対策の陣頭指揮を担っています。

地元の国技館はオリンピックのボクシングの競技会場となっていて、周辺に人が集まることなどでさらに患者が増加しないか小嶋さんは不安を抱えています。

その一方で、病院の経営者として地元の青年会議所のメンバーでもある小嶋さんは、1年半にわたって営業を自粛するなど苦しい経営を強いられている仲間の姿も目の当たりにしてきました。
仲間の中には東京大会を機に外国人客を見込んで隅田川を遊覧船で回る観光業を始めた人もいますが、無観客での開催となった今、想定していたような集客は見込めない状況です。

小嶋さんは「もちろん、医療を守ることは大事で大前提ですが、同時に経済を回していかないと生活が大変になる人が出てきます。気持ちはずっと揺れ動いていますが、大会が開催されるのであれば感染対策を徹底したうえで、この先の日本がよくなる大会にしなくてはならないと思います」と話していました。