ゴーン元会長逃亡手助け 米軍元隊員ら親子に実刑判決 東京地裁

日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン容疑者のレバノンへの逃亡を手助けした罪に問われたアメリカ軍特殊部隊の元隊員ら2人について、東京地方裁判所は「刑事司法を極めて大きく侵害した」として、元隊員に懲役2年、息子に懲役1年8か月の実刑判決を言い渡しました。

アメリカ軍の特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員、マイケル・テイラー被告(60)と息子のピーター被告(28)は、おととし12月、特別背任などの罪で逮捕、起訴され、保釈中だった日産のゴーン元会長をケースに隠してプライベートジェットに乗せ、レバノンへの逃亡を手助けしたとして、犯人隠避の罪に問われました。

判決で東京地方裁判所の楡井英夫裁判長は「重大事件の被告を海外にまで逃亡させた。1年半が経過したいまも裁判を開く見通しは全く立たない状態で、刑事司法を極めて大きく侵害した」と指摘しました。

そのうえで「大がかりで周到な準備をして職業的な手際のよさで前代未聞の海外逃亡をやりとげた。2人が反省していることを考慮しても実刑は免れない」として、マイケル被告に懲役2年、ピーター被告に懲役1年8か月を言い渡しました。

逃亡劇の詳細が明らかに

世界中を驚かせたゴーン元会長の国外への逃亡。

マイケル被告らの裁判でその詳細が明らかになりました。

保釈中だったゴーン元会長がケースに隠れてプライベートジェットで関西空港からレバノンに向けて離陸したのは、おととし12月29日。

裁判で検察は、ゴーン元会長の国外逃亡の計画は実行の半年ほど前、おととし6月末から7月上旬の間に、妻のキャロル容疑者からマイケル被告が依頼を受けたことから始まったと主張しました。

その後、マイケル被告はゴーン元会長と直接連絡を取り合うようになり、プライベートジェットを使って国外逃亡する方法を伝えたとしました。

判決は、元会長の依頼を受けたマイケル被告がピーター被告や、陸軍所属当時からの知り合いのジョージ・ザイエク容疑者とともに犯行の方法を検討し、音響機材が入っているように見せかけられる大型の箱を購入するなどの準備を行ったと指摘しました。

また、関西空港ではプライベートジェットでの出国の際は検査が行われないという情報を事前に把握したうえで、プライベートジェット機を手配したとしました。

そして、逃亡当日、ピーター被告が自身が宿泊していた東京 港区のホテルの部屋を元会長に提供し、着替えをさせたとしました。

ホテルのカードキーは、あらかじめ元会長に渡していて、荷物は元会長の三女にホテルまで持ち込ませて受け取ったということです。

そして、ホテルで合流したマイケル被告が護衛しながら元会長を関西空港まで案内し、空港近くのホテルで箱に隠したと指摘。

元会長は、箱に隠れたまま荷物として機内に持ち込まれ、プライベートジェットは午後11時10分ごろ、離陸しました。

裁判で検察は「大型の箱に入って逃亡する計画は、元会長が発案した」と主張したのに対し、マイケル被告は逃亡当日はプライベートジェットで出入国できるかを確かめる予行演習のつもりだったと説明し「大阪に着いたゴーン元会長が大型の箱を見た時に『今晩出る』と言って逃亡することが決まった」と述べていました。

これについて判決は「いつ誰が決行の判断をしたかにかかわらず、被告たちは大がかりで周到な準備をして高度に計画的な犯行を実行した」と指摘しました。

また、判決は「被告らは元会長から犯行前だけで合計86万2500ドルの送金を受けていて、そのうちの一部は経営する会社の経費の支払いにあてられた」として、2人が報酬目的で元会長に協力したと認めました。