感染急拡大のイングランド 19日規制ほぼ撤廃 不安や批判広がる

新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するイギリスのイングランドで、19日、感染対策として続けられてきた規制がほぼすべて撤廃されます。ジョンソン首相が濃厚接触者になり政権運営に影響が出る中で、社会には不安や批判の声が広がっています。

イギリスでは、新型コロナウイルスの変異ウイルスによる感染が急速に拡大し、17日には1日の感染者が5万4000人を超えました。

こうした中、ロンドンのあるイングランドでは、公共交通機関などでのマスクの着用義務や、人との距離の確保といった規制が、19日にほぼすべて撤廃されます。

政府は、感染者が増えてもワクチンの効果で重症化は一定程度、抑えられているとしていますが、専門家などからは、リスクが高いとして批判の声が上がっています。

市民の間でも懸念が強まっていて、大手調査会社ユーガブが7月中旬に行った調査では、およそ6割が規制の撤廃に不安を感じると回答しています。

ロンドンの市長は、市が運営する交通機関では引き続きマスクの着用を義務づける方針を示し、政府との対応の違いが鮮明になっています。

政府内では、新型コロナ対策を主導するジャビド保健相の感染が確認されたほか、ジョンソン首相も濃厚接触者として自主隔離の措置をとらざるをえない事態になり、メディアなどが「自由の日」と表現する19日は、不安や懸念が広がる中で迎えることになります。

イギリスのジョンソン首相は18日、動画で声明を発表し、イングランドでほぼすべての規制を撤廃しても、感染には警戒を怠らないよう市民に呼びかけました。

ジョンソン首相は、インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」によって感染者は増加しているとした上で「もし今、規制を撤廃しなければウイルスが拡大しやすい秋や冬になってしまう。今やらなければいつやるのか。今がそのときだ」と述べました。

そして、ワクチンによって重症化する感染者や死者は大きく減少していると指摘し「どうか、お願いだから警戒を続けてほしい。自分以外の人たちのために用心深さを忘れず、新型コロナウイルスが存在し続けているというリスクを考えてほしい」と呼びかけました。

ジョンソン首相は、感染が確認されたジャビド保健相と濃厚接触したとみられ、7月26日まで自主隔離を続けることにしています。