全勝優勝 横綱 白鵬「この年でできるとは思わなかった 最高」

大相撲名古屋場所は千秋楽の18日、横綱 白鵬が大関 照ノ富士との全勝どうしの一番を制して、7場所ぶり45回目の優勝を果たしました。白鵬は、6場所連続休場から進退をかける意向を示して臨んだ場所で全勝し、復活優勝を成し遂げました。

名古屋場所は14日目を終えて、6場所連続休場から復帰した横綱 白鵬と綱とりがかかる大関 照ノ富士が全勝で並んで、18日の千秋楽を迎えました。

千秋楽結びの一番で白鵬は照ノ富士に勝って、7場所ぶり45回目の優勝を全勝で飾りました。
白鵬の全勝優勝は、歴代1位を更新する16回目、36歳4か月での優勝は、年6場所制が定着した昭和33年以降では2番目の年長記録となります。

白鵬はことし3月に右ひざの手術を受けて、今場所に進退をかける意向を示して6場所連続休場から復帰していました。

初日には新小結 明生にかけ投げで逆転勝ちし、4日目には平幕の隆の勝に土俵際で背中を向けながら回り込んで勝つなど、序盤は持ち味の対応力と相撲の速さで負けない相撲を見せました。

中盤以降は徐々に相撲内容も安定し、力強く寄り切る相撲も見せて勝ち星を重ねました。

千秋楽では今場所綱とりがかかった照ノ富士を退けて、進退をかける意向を示して出場した場所で横綱の貫禄を見せつけました。

白鵬「横綱として899勝 あと1勝で900勝 1勝目指して頑張る」

大相撲名古屋場所で史上最多を更新する45回目の優勝を果たした横綱 白鵬は、取組後の優勝インタビューでみずからの進退について問われ「これで進めるのかな、良かったです」と話し現役を続ける意向を示しました。

右ひざのけがなどから復帰した場所の千秋楽で大関 照ノ富士との全勝どうしの対戦となったことについては「右ひざがボロボロで言うことを聞かなかったので、この一番ですべてをかけようと思って気合い入れてやりました。まさかこの年で、全勝で優勝できるなんて場所前は思わなかったので本当にホっとしている。最高です」と心境を話しました。

今後の目標については「これで横綱として899勝。あと1勝で900勝なので1勝目指して頑張っていきたいと思います」と意気込みを話していました。

八角理事長「勝負に徹した」

全勝優勝を果たした横綱 白鵬について日本相撲協会の八角理事長は「勝負に徹したということ。15戦全勝は立派だ」とたたえました。

一方、綱とりの場所で14勝1敗の好成績を残した大関 照ノ富士については「横綱になると、大関にはなかったものを求められる。それを踏まえて頑張ってほしい」と期待を示していました。

伊勢ヶ濱審判部長「横綱の務めを果たした」

日本相撲協会の伊勢ヶ濱審判部長は、全勝優勝を果たした白鵬について「気合いの入った相撲だった。全勝して横綱の務めを果たしたのではないか」と評価しました。

敗れたものの14勝を挙げた照ノ富士については「落ち着いて相撲を取っていた。慎重な感じもしたけれどその中で勝ち星を挙げてよかったのではないか」と話し横綱昇進が確実になったことについては「まだ横綱なったわけではないですし」と話すにとどまりました。

復帰までの経緯

近年はケガが重なり休場が相次いだ白鵬は、去年11月場所のあと横綱審議委員会から「休みがあまりにも多い」として「注意」の決議を受けました。

右ひざのけがなどで3場所連続休場から復帰を目指したことし1月の初場所前には、新型コロナウイルスに感染して休場を余儀なくされました。

さらに、ことし3月の春場所には出場したものの、右ひざの痛みで3日目から休場し、右ひざの2回目の手術を受けました。

手術ではひざの皿の裏にある軟骨の損傷した部分をなめらかにするなどの処置を受け、執刀した主治医は「横綱の回復力に期待してもリハビリに最低2か月かかる」と見通しを示していました。

名古屋場所に進退をかける意向を示した白鵬は、その後、軟骨の再生医療を取り入れ、ことし4月からはひざの周りの筋肉を刺激して強化するリハビリを行い、6月には土俵上で相撲を取る稽古を再開しました。

名古屋場所直前には関取の炎鵬などとも、申し合いをして調整し、途中休場も含めて6場所連続休場から復帰して、今場所の土俵に上がっていました。

今場所の相撲と復活の要因は

進退をかける意向を示して臨んだ白鵬は、今場所中に迎えた7月7日の七夕の短冊に「15日間取り切る」と書いて部屋の宿舎に飾るなど、場所を全うすることに強い覚悟を示していました。

序盤は、勝ち星こそあげたものの危ない場面が目立ちました。

初日の新小結・明生との対戦では四つに組み合って、相手の引きつけに腰が浮く場面もありながら、痛めた右足で踏ん張ってかけ投げで白星を得ました。

4日目の隆の勝との一番は、土俵際で相手に背中に回られながらも、持ち味の反応の素早さで逆転勝ちしました。

力強さには欠ける相撲の中でも、白鵬は「反応良く動けている」と話し、休場明けでも衰えない、みずからの相撲勘に手応えを得ている様子でした。

関係者によりますと、序盤は毎朝、稽古場に降りて、すり足など基礎運動を行いましたが、中盤以降は、疲労も考慮して体操やストレッチだけにとどめる日を作り、毎日、右ひざの回りを中心にマッサージ受けるなど体調管理にこれまで以上に気を配ったということです。

今場所は取り口にも工夫が見られました。

白鵬は、本来は右足で踏ん張り、左足から踏み込む立ち合いでしたが、今場所は手術した右足への負担を考慮してか、すべて左足で踏ん張って右足から踏み込んでいました。

右四つ左上手が白鵬の形ではあるものの、組んでも離れても相撲が取れる対応力の高さを見せました。

手術の影響と、36歳という年齢から来る衰え、連続休場による土俵勘などを不安視する声もあった中で、終わって見れば”白鵬いまだ強し”を強く印象づける復活優勝となりました。

白鵬「最後は力を振り絞った」と振り返る

大相撲名古屋場所で史上最多を更新する45回目の優勝を果たした横綱・白鵬は、優勝インタビューのあとリモートで報道陣の取材に応じ、優勝をかけた大関・照ノ富士との一番について「譲れない。負けられないっていう、そういう思いだけです。激しい中で冷静さもあったし、相手も勢いがあったが、最後は力を絞った」と振り返りました。

照ノ富士については「15日間の中で、熱戦を繰り広げたのは照ノ富士だけだと思う。本当に安定感があって、7年前の相撲とはまったく違う照ノ富士がいた」と評価していました。

そして、「進退のこともそうだが、東京オリンピックを現役で迎えることが達成でき、親父との約束も果たせた」と充実した表情で話していました。