高齢受刑者のワクチン接種 山口県内の刑務所 全く進まず

新型コロナウイルスのワクチン接種が、山口県内の刑務所にいる65歳以上の受刑者に対しては全く進んでいないことが分かりました。専門家は「刑務所は生活や作業の場が共有されて感染が広がりやすい」として早急な対応を求めています。

65歳以上の高齢者に対する新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府は今月末までに希望するすべての高齢者の接種完了を目指しています。

法務省によりますと、受刑者へのワクチン接種は刑務所がある自治体が担うことになっています。

しかし、NHKが刑務所や自治体を取材したところ、山口県内3つの刑務所では高齢の受刑者への接種が1人も進んでおらず、開始のめども立っていないことが分かりました。

対象になる受刑者は、先月末時点で合わせて111人いるということです。

それぞれの自治体や刑務所は、これから接種が本格化する64歳以下の市民への対応に加え、住民票が市外にあり「接種券」を受け取れていない受刑者が多いことなどを理由に挙げていて、「今後、速やかに調整していきたい」と話しています。

受刑者の処遇や支援に詳しい山口県立大学の水藤昌彦教授は「刑務所は生活や作業の場が共有され、感染が広がりやすい環境にあると言われている」として早急な対応を求めています。