東京の空に“巨大な人の顔” 現代アート作品披露

東京都内では16日、朝から空に巨大な人の顔が浮かび上がる現代アート作品が披露され、話題となっています。

空に浮かぶ巨大な人の顔は、3人組の現代アートチーム・目の「まさゆめ」と名付けられた気球型の作品で、東京オリンピック・パラリンピックの関連イベントとして行われています。

大きさは7階建ての建物ほどで、顔のモデルはインターネットなどで募集した1000人を超える中から選んだ実在する人の顔ですが、年齢や性別、国籍は明らかにされていません。

顔の作品は、16日朝早くから東京 渋谷の公園にたたまれた状態で運び込まれ、ゆっくりと広げてから空気を送り込んで膨らまし、午前6時ごろ空に向かって打ち上げられました。

顔の作品を偶然目撃した人は、思わず空を見上げて驚いたり、写真を撮ったりしていました。

16日の午後8時ごろまで複数回打ち上げる予定だということで、現代アートチーム・目の荒神明香さんは「コロナ禍の大変な時期にできたことが奇跡のようです。人の顔が浮かんでいる景色を見てもらって、こんなことやってもいいんだ、謎なことが起きてもいいんだと感じてもらい、何かを想像する力につながっていけばいいと思っています」と話していました。

アート活動の意義は?

このプロジェクトは、メンバーの1人、荒神明香さんが子どもの時に見た夢が作品のベースになっています。

当初は去年の夏に披露される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期となっていました。

そんな中で、目のメンバーは、コロナ禍で文化芸術に何ができるのか、なぜ今、アート活動を行う必要があるのかを議論したと話し、メンバーの1人、南川憲二さんは「コロナ禍で当初考えていたような企画を採択されたからやるというわけにはいかないと考えました。なぜ今これをやりたいのか、そもそもこういった活動をなぜ今やらなければいけないのかを考えました」としたうえで「新型コロナウイルスについて世界規模で医療や経済の観点から語られているように感じていますが、その観点だけでは今の状況は捉えられないと考えています。想像力を持って私たちが今、直面していることについて全く別の角度から見る必要があると強く思ったので、こういった時期ですが顔を打ち上げたいと思いました」と話しました。

そして「アート作品はこれまで、さまざまなものの見方を人類に提案してきました。こういった大変な状況でこそ新たなものの見方を作り出せるような作品を提示する意義があると思います」と、文化芸術がコロナ禍に果たす役割について話していました。

今回、空に浮かべた顔は実在する人がモデルですが、性別や年齢、国籍などの情報は公表されていません。

荒神さんはコロナ禍でこそ誰でもない他者に偶然、出会う機会を大切するという感覚を味わってほしいとしていて「偶然目にする匿名の巨大な顔は自分たちとって圧倒的な他者ですが、その時に自分のことだけではなくて他者のことを考えることになります。今、世界の中で他者のことを考えることの意味を発信したい。また、突然の謎に遭遇することで自分たちが抱えている葛藤や世の中に対して抱いている意味が1度剥ぎ取られた状態になって、自分たちの存在について改めて考えるきっかけになればいいと思っています。そういうことをアートを通じて皆さんに届けたいという気持ちがすごく強くあります」と話していました。