野党4党 国会召集を要求 “五輪感染対策不備などただす必要”

東京オリンピックの開幕を1週間後に控え、立憲民主党など野党4党は、大会の感染対策の不備などを国会でただす必要があるとして、憲法の規定に基づき、臨時国会の速やかな召集を求める要求書を衆議院に提出しました。

立憲民主党の枝野代表、共産党の志位委員長、国民民主党の玉木代表、社民党の福島党首は16日午前、国会内で会談しました。

会談では、東京オリンピック・パラリンピックの感染対策の不備がすでに指摘されているほか、酒の提供停止をめぐる要請の撤回など政府の新型コロナ対応にも問題が相次ぎ、早急にただす必要があるという認識で一致しました。

そして憲法53条の規定に基づき、政府に速やかな臨時国会の召集を求めることを決めました。

これを受けて、野党4党は憲法に基づいて臨時国会の召集を求める要求書を大島衆議院議長に提出しました。

これに対し大島議長は「重く受け止めたい」と述べ、速やかに政府に伝える考えを示しました。

憲法53条では、衆・参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば内閣は国会召集を決定しなければならないとしていますが、召集時期に関しての規定はなく内閣の判断に委ねられています。

立民 枝野代表「政府の姿勢や説明は混乱の極み」

立憲民主党の枝野代表は記者団に対し「感染対策や生活困窮者への支援、それにワクチン接種やオリンピックの対応に至るまで政府の姿勢や説明は混乱の極みにある。こうした状況では国民は何も安心できない。国会で十分な時間を取って政府に説明を求めていかなければならず、その必要性は非常に高まっている」と述べました。

立民 安住国対委員長「国家的な危機 国会を召集すべき」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「感染拡大の中でのオリンピック開催という国家的な危機で、ある種の岐路に立っている。国会でちゃんと議論することを逃げ続けていたら国民は厳しい判断を下すことになる。10月21日の衆議院議員の任期満了から逆算すれば会期はぎりぎりまで延ばして2か月程度とし、国会を召集すべきだ」と述べました。

共産 志位委員長「諸問題議論し打開 国会の責務」

共産党の志位委員長は記者団に対し「感染拡大をどう抑止するのかや、こうした状況下でオリンピックを開催していいのか、さらには政府による飲食店への不法な圧力など問題が山積している。しかし、菅総理大臣は一切の説明責任を果たそうとしない状況が続いている。諸問題をしっかり議論し打開策を見いだしていくのが国会の責務だ」と述べました。

国民 玉木代表「速やかに補正予算を」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「感染が非常に拡大している中で飲食店への支援が弱く、速やかに補正予算を編成すべきだ。一部与党から秋には大型の経済対策を打つという話が出ているが、なぜ今やらないのか。われわれは自分たちの選挙のためではなく困っている個人や企業のための補正予算の編成と経済対策を求めていく」と述べました。

社民 福島党首「国会でこそ議論するべき」

社民党の福島党首は記者団に対し「4回目の緊急事態宣言や西村経済再生担当大臣の発言に加え、オリンピックのいわゆる『バブル方式』に穴があるなど極めて多くの問題が明らかになっている。国民の命と暮らしを守るために、今は国会でこそ議論するべきで責任を放棄してはならない」と述べました。

加藤官房長官「与党とも相談し対応」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で「野党側から憲法53条に基づく臨時国会召集要求が提出されたことは承知している。国会のことでもあるので与党ともよく相談して、対応していきたいと考えている」と述べました。

政府・与党 応じない方針

政府・与党は、新型コロナ対策や東京オリンピック・パラリンピックへの対応については、すでに衆参両院の内閣委員会などの閉会中審査で質疑を行っており今後も対応が可能だとしているほか、当面は感染対策に注力する必要があるうえ来年度予算案の概算要求も控えているとして、臨時国会の早期召集には応じない方針です。

公明 石井幹事長「閉会中審査が開催され審議」

公明党の石井幹事長は記者会見で「政府・与党としては直ちに新しい補正予算や法律をやろうということはない。野党側の要請は新型コロナの拡大状況やオリンピックを控えた、さまざまな懸念について質疑するということだと思うが、衆参両院ともに閉会中審査が開催されそうした内容は審議されていると理解している」と述べました。