東京五輪開幕まで1週間 安全な大会実現できるか問われる

開幕まで16日で1週間となる東京オリンピックに向けて、海外からの選手団の入国が本格化し、選手たちは最後の調整に追われています。一方で、直前にほとんどの会場での無観客開催が決まるといった極めて異例の事態となる中、大会組織委員会は開幕までに準備を整えられるかや安全な大会を実現できるのかが問われることになります。

1週間後の今月23日に開幕する東京オリンピックは新型コロナウイルスの影響で、1都3県などの会場が直前になって無観客での開催が決まるといった極めて異例な事態となっています。

国立競技場で行われる開会式も無観客となり、当初およそ1万人と見込まれていたIOC=国際オリンピック委員会や各国、それに競技団体などの出席者は数百人規模に減らす方向で調整されています。

さらに選手村が開村し、海外からの選手や関係者の入国も本格化していますが、選手などが検査で陽性となるケースも相次いでいて、競技スケジュールに影響が出ることも懸念されています。

選手たちは本番に向けた最後の調整に追われていますが、大会期間中も新型コロナへの対策は最大の課題となっています。

組織委員会は1年の延期を経て進めてきた準備の見直しを余儀なくされる中で、開幕までに準備を整えられるかや、安全な大会が実現できるのかが問われることにになります。

東京オリンピックはすべての競技に先駆けて、今月21日に福島県でソフトボールの試合が始まり、1週間後の開会式で17日間の大会が幕を開けます。

来日する選手や関係者 検査で陽性となるケース相次ぐ

東京オリンピックに向けた選手や関係者の来日が本格化する中、選手団などが空港やホストタウンでの事前合宿で、新型コロナウイルスの検査で陽性となるケースも相次いでいます。

東京オリンピックには、海外から1万人余りの選手と関係者およそ4万1000人が参加する予定で、今月に入って来日が本格化しています。

事前合宿を行う各地のホストタウンなどでは先月、ウガンダの選手団の2人が陽性となったほか、セルビアから来日した選手1人と、ロシアオリンピック委員会の7人制ラグビーのチームスタッフ1人が、感染したことが確認されています。

さらに難民選手団は役員1人が新型コロナへの感染が分かり、予定を変更して事前キャンプ地のカタールへの滞在を余儀なくされています。

一方で、組織委員会が管理する宿泊施設に滞在したり向かう途中だったりする海外選手でも、15日、初めて1人の陽性が判明し、海外から来日した大会関係者もこれまでに3人が陽性となっています。

選手やコーチなどの感染対策

検査

海外から来日する選手やコーチなどは、日本に出国する前の96時間以内に2回の検査を受ける必要があります。

そして入国する際も空港で検査を受け、その後も原則として、毎日検査を受けます。

検査はまず唾液による抗原検査が行われ、陽性か不明確だった場合は、同じ唾液の検体を使ってPCR検査を行います。

そして2回目の検査でも、陽性だったり不明確だったりした場合は、選手村の発熱外来で鼻の奥の検体によるPCR検査が行われるということです。

行動ルール

日本国内での行動ルールも定められています。

選手やコーチなどは、あらかじめ入国後14日間の活動計画書を作り、組織委員会に提出することになっています。

入国後は計画書に記載したとおりに活動する必要があり、最初の3日間に活動する場合は監督者が同行することやGPSなどによって行動が管理されます。

行動範囲も、宿泊場所や練習会場などに限定され、観光地などに行くことは認められていません。

また、移動手段は原則として公共交通機関の利用は認められず、関係者専用の車やバスなどを使うとされています。

選手村のルール

選手村の入村は競技開始の5日前から退去は競技終了後、2日までとなっています。

選手たちは選手村の中のフィットネスセンターなどでトレーニングする際にはマスクの着用が必要で、メインダイニングホールではほかの人と2メートルの距離を保ち、なるべく1人で食事するよう求められています。

また、選手村に出入りできるのは選手団以外は、運営上必要な人だけに限られます。

違反した場合

こうしたルールに違反したことが確認されれば「アクレディテーションカード」と呼ばれる、大会参加に必要なIDカードの取り消しや失格、それに制裁金が科されることもあります。

また、改めて14日間の待機措置や、国外退去を求められることもありうるということです。

組織委 違反者には厳正に対処

選手や競技団体やメディアといった大会関係者は、新型コロナの感染防止に必要なルールをまとめた「プレーブック」という手引き書を守ることが求められ、違反した場合には罰則が設けられています。

組織委員会によりますと、プレーブックが適用された今月1日以降、IDカードの取り消しや制裁金が科されるといった重大な違反はないものの、違反に対する厳重注意や再発防止の誓約書を提出させるなどの措置を取ったケースはあるということです。

そのうえで、厳重注意が何回も続く場合はより厳しい措置を取るとしています。

組織委員会は違反事例に対して厳正に対処していく方針をIOC=国際オリンピック委員会と国にも伝えているということで「引き続き不正事例の掌握と対処に尽くしていきたい」としています。