南アフリカ暴動 政府 軍増員発表も事態収束せず 計117人死亡

南アフリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大と外出制限によって貧困層の苦境が深まる中、大規模な暴動が続いています。
政府は軍の兵士2万5000人を派遣すると発表しましたが、事態は収束せず、経済的な損害も広がっています。

南アフリカでは、ズマ前大統領が収監されたことに対する抗議デモの参加者の一部が暴徒化し、これをきっかけに商店の略奪や倉庫への放火などが各地で広がりました。

政府は、展開する軍の兵士を5000人から2万5000人に増やすと発表し、15日、最大都市のヨハネスブルク南部の地区では略奪が落ち着きを見せ、住民ががれきの片づけを始めました。

しかし、南東部のダーバンを含めて依然、略奪などが続いていて、政府のまとめでは、これまでの死者は合わせて117人に上っています。

また、経済への影響も深刻化していて、ダーバンの地元当局者は、商品の略奪やインフラの破壊などによる地域一帯の経済的な損失は160億ランド、日本円でおよそ1200億円になるとの見方を示しました。

南アフリカでは新型コロナウイルスの感染が増え、第3波になっていて、WHO=世界保健機関のアフリカ地域事務局のモエティ事務局長は、15日の会見で「暴動では群衆が密になっていて感染が広がることになるうえ、ワクチン接種にも遅れが出ている」と述べ、強い懸念を示しました。