池袋暴走事故裁判 検察 90歳の被告に禁錮7年を求刑

東京 池袋で車を暴走させて、母親と子どもを死亡させた罪に問われている90歳の被告の裁判で、検察は禁錮7年を求刑しました。一方、弁護側は改めて無罪を主張して、すべての審理が終わりました。

旧通産省の幹部だった飯塚幸三被告(90)は、おととし4月、東京・池袋で車を暴走させて歩行者をはね、松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)を死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせたとして、過失運転致死傷の罪に問われ、無罪を主張しています。
15日、東京地方裁判所では、審理に参加している遺族の意見陳述が行われ、妻と娘を亡くした松永拓也さんは「娘の小さな手を握っても握り返すことはなく、2人の遺体を見て底知れぬ絶望を感じた。被告は全く反省していないし、命や遺族と向き合っているとは思えない。法律上、最大限の刑罰が与えられることを望む」と訴えました。

このあと検察は論告で「ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたことに疑いの余地はない。2人の命が一瞬で奪われた結果は重大だ」として、禁錮7年を求刑しました。

一方、弁護側は「車両に何らかの異常があったと考えられる。アクセルとブレーキを踏み間違えて暴走させたということはなく、運転に過失はない」と述べて、改めて無罪を主張しました。

最後に飯塚被告は「アクセルとブレーキを踏み間違えた記憶は全くない。日常の活動に車が必要だと思っていたが、もう少し早く運転をやめておけばよかったと反省していて、お二人が亡くなられたことは本当に、本当に、申し訳なく思っている」と述べました。
15日ですべての審理が終わり、判決は9月2日に言い渡されます。

遺族「検察官の判断に感謝 公平な判決を」

遺族の松永拓也さんは、裁判のあと記者会見をし「意見陳述の原稿は、1行書いたら涙が止まらなくなってパソコンを閉じることを繰り返す、苦しい時間でしたが、やってよかったと思います。2人の命が亡くなり、9人がけがを負ったことを思えば、禁錮7年で足りるものではないですが、法の範囲で最も重い求刑が行われ、検察官の判断に感謝したい」と述べました。

そのうえで「心がつぶれそうになりながら読み上げた意見陳述を聞いても、被告は、いままでどおり過失はないと主張し、変わらないんだと思いました。被告には2人の命と向き合う場所と時間が必要だと思うので、裁判所には公平な判決を下してほしい」と話していました。

また、亡くなった松永真菜さんの父親で、法廷で意見陳述した上原義教さんは「やっと自分の言いたいことを言えました。ただ、言えば言うほどむなしくなるし、苦しくなる。あとは、よい判決が出て、被告が本当に反省してくれることを祈るだけです」と話していました。