参院内閣委 野党側辞任要求 西村大臣“感染拡大抑止に全力”

新型コロナウイルス対策で、政府が飲食店への酒の提供停止の要請に関する方針を相次いで撤回したことをめぐり、参議院内閣委員会で、野党側が西村経済再生担当大臣の辞任を重ねて求めたのに対し、西村大臣は、感染拡大の抑止に全力を尽くすことで責任を果たす考えを示しました。

この中で自民党は、飲食店への酒の提供停止の要請に関する方針を政府が相次いで撤回したことに関連し「酒の提供停止に協力している店も苦しいし、していない店も苦しい。飲食店とどう向き合い、支援していくのか」と質問しました。

これに対し、西村経済再生担当大臣は「飲食店や酒販業界の皆様に不安を与えたことを反省し、申し訳なかったと思っている。これだけ感染者が出てきており、応じていただける店とそうでない店がある不公平感の解消も大事だ。支援策を丁寧に説明しながら、粘り強く働きかけを行い、協力いただける環境をつくることに全力を挙げていきたい」と述べました。

立憲民主党は「今後の対策の信頼性や実効性が揺らいでくる。西村大臣が協力を呼びかけても、国民は聞いてくれない。辞任すべきだ」とただしました。

これに対し西村大臣は「酒販業者への働きかけは、強制力を持って行うものではなく、日常の活動の中で働きかけていただきたいという趣旨だった。私の思いが少し強すぎて、このような発言や対応となったが、事業者の皆さんに寄り添いながら、何とかご協力をいただき、感染拡大を抑えていくことに全力を挙げることで責任を果たしていきたい」と述べました。

また西村大臣は、酒の販売事業者からの支援金の申請を受け付ける際、休業要請などに応じない飲食店との取り引きを行わないよう努めることを求めた事務連絡を、14日夜、撤回したことについて「酒の販売関係の皆様は大変厳しい状況にあり、取り引きの安定や事業の継続にも大変な不安を持たれている状況を真摯(しんし)に受け止め、廃止することとした」と説明しました。

分科会 尾身会長 “行動制限に代わり科学技術に投資を”

政府の分科会の尾身会長は、参議院内閣委員会で「『コロナ疲れ』や『緊急事態慣れ』、それに飲食店の人からも『もう限界だ』という声も聞こえ、ワクチンもだんだん接種率が上がってくる。人々の行動制限だけに頼る時代は、もう終わりつつあると思う」と述べました。

そのうえで「行動制限に代わって何ができるかというと、日本には優れた科学技術がある。それがワクチンであり、検査であり、二酸化炭素モニターだ。休業要請はもちろん大事だが、サイエンスやテクノロジーのほうのお金は、それに比べてずいぶん効率のよい使い方だ思う」と述べました。

加藤官房長官「現場の意見受け止め事務連絡廃止」

加藤官房長官は午前の記者会見で「事業者の意見を聞く中で、業界としても感染拡大防止に協力していきたいが、特定の飲食店に対する取り引きの停止は、長年にわたり培ってきた信頼関係を毀損する引き金になり得るといった声や、注文を断れば、ほかの店で購入してしまい、今後の取り引きが一切なくなるといった声があった」と述べました。

そのうえで「現場の意見を真摯に受け止め、事務連絡を廃止した。事業者にはもとより、国民にも経緯などについてしっかりと説明していくことが必要だ」と述べました。

公明 北側副代表「間接的圧力は筋違い」

公明党の北側副代表は、記者会見で「要請に応じない飲食店が多数あることへの対策として考えたのだと思うが、飲食店ではない方々に間接的に圧力をかけるのは筋違いだ。協力金を迅速に支給することがまずは大事であり、どのようにお願いすれば協力してもらえるかを直接検討すべきだ。与党側にも説明がなかったので、しっかり反省してもらい、感染防止に向けて取り組んでもらいたい」と述べました。

共産 志位委員長「政府一体として重大な責任」

共産党の志位委員長は、記者会見で「撤回してすむ問題ではなく、西村大臣には強く辞任を求める。ただ、関係閣僚会議で政府が了承を与えたのも動かせない事実だと考えており、西村氏1人にすべての罪をかぶせる態度は見苦しい。政府一体として重大な責任があり、菅総理大臣の責任も問われないといけない」と述べました。

安倍前首相「スピーディーな支援に重き置くべき」

自民党の安倍前総理大臣は、東京都内で高校生を前に講演し「コロナ禍で、みんなが苦しい中、真面目にルールを守っている人たちもいる。頑張っているすべての皆さんに、しっかりと支援していくことが大切であり、そのために政府や自治体が存在する。使い勝手よく、スピーディーに支援していくことに重きを置くべきだ」と述べました。