香港 2年ぶり大規模な本の見本市 政治評論本は出品見合わせ

香港で2年ぶりとなる大規模な本の見本市が始まり、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法の施行後、初めてとなることしは、多くの出版社が政治評論を扱った本の出品を見合わせる事態となっています。

「香港ブックフェア」は、新たに香港で出版された本や海外で人気のある本などを紹介する大規模な見本市で、例年およそ100万人が来場し出版関係者のほか、市民や観光客にも人気があります。

新型コロナウイルスの影響で去年は中止となったため、2年ぶりの開催となったことしは、38の国と地域から544の企業や団体が出展して、14日から1週間の日程で始まり、香港中心部の会場には、朝から大勢の人が訪れました。

ことしは香港国家安全維持法の施行後、初めての開催となりますが、香港政府は、出品される本にこの法律に違反する内容が含まれているとの通報があった場合には、警察に調査を依頼するとしています。

香港では、中国に批判的な論調で知られた新聞「リンゴ日報」が発行停止に追い込まれるなど、言論の自由が狭まりつつあり、出版業界の関係者によりますと、今回多くの出版社が政治に関する本の出品を見あわせたということです。

訪れた人は「さまざまな本が出版され、売られる環境が大切だと思います。たとえ、私がそういう本を読まないとしても、こんな状況は残念です」と話していました。

言論の自由に強い危機感

香港で社会問題や政治評論に関する本の出版を、数多く手がけてきた彭志銘社長は「国家安全維持法はいまだはっきりとした基準が示されているとはいえず、出版業界では、どこにリスクがあるのかわからない」と指摘しました。

このため、多くの出版社が政治的な内容の本の出版を避ける傾向にあり、ことしの見本市では、中国の天安門事件や香港のデモなどに関する本の出品を見合わせていると明らかにしました。

また、香港の新聞「リンゴ日報」が発行停止に追い込まれたことについて「香港の出版社やメディアはこのような打撃に耐えられず、みなおびえている」と話し、出版業界が萎縮していると指摘しています。

そのうえで「出版の自由が脅かされるのは受け入れがたい。出版とは文化の幅を広げ自由なものの考え方を受け継ぐものだ。みな自由に考え、学ぶ権利がある」と述べ、言論の自由が狭まりつつあることに強い危機感を示しました。